アイヌ民族関連報道クリップ

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人・かお・トーク:関東地方のアイヌ民族団体「レラの会」会長・長谷川修さん /山梨(毎日新聞)

2009-05-20 00:00:00 | アイヌ民族関連
人・かお・トーク:関東地方のアイヌ民族団体「レラの会」会長・長谷川修さん /山梨
 ◇「アイヌは先住民族」定義を--長谷川修さん(61)
 アイヌの権利回復に尽力するようになったきっかけは

 ◆アイヌは日本人になれと言われ、言葉はもとより伝統文化の継承さえも禁じられました。幼いころを振り返ってもあまりいい思い出はありませんね。ただ、学校で自分がアイヌだということを隠すようなことはしませんでした。

 自分が変わったのは高校生の時。河川敷に住んでいた知人のアイヌ3世帯が行政に退去を迫られた時でした。旭川市に住むアイヌの歴史は強制移住の繰り返しでしたから、その知人や家族と街頭でビラを配って訴えましたが、結局は退去させられました。はっきり言って絶望しました。「もう何をしても無駄だ」と投げやりになり、高校卒業後に上京する決意をしました。

 上京後はアイヌであることは伏せました。

 アイヌの復権運動を始めたのは、25年ほど前、妻の実家のある山梨に移り住んでからでした。3人の子供たちに「自分のことをきちんと伝えなければならない」と思うようになり、「もう一度やらなければならない」と決意しました。

 どんな活動をしているのですか

 ◆8年ほど前から、明治時代に東京へ強制連行されて亡くなったアイヌの人たちを供養する伝統儀式「イチャルパ」を東京都港区の芝公園で行っています。支援者も含め100人が集まり、今年も8月に行う予定です。

 構造的な差別から逃れるために北海道を離れたアイヌは多いのです。生まれ育った地に帰ることがかなわなかった人を何人も知っています。孤独の中で無縁仏となっている人も多いのです。イチャルパはそういったすべてのアイヌの鎮魂のために行っています。

 日本社会に望むことは

 ◆アイヌの先住民族認定を求めた08年6月の国会決議を受けて、政府の「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会」が、アイヌの「先住権」などについて話し合っています。日本の歴史を検証した上で、政府が侵略行為を謝罪し、アイヌを先住民族として認めることが最も重要だと思います。

 「先住民族」の定義は、植民地化されてもアイデンティティーを維持し、文化を伝承しようとする人たちのことです。今も北海道は開拓地と表現されていますが、私たちからすれば、開拓ではなく侵略であり、植民地化なのです。日本の政府と社会が過去の侵略行為を認めなければ、アイヌを先住民族として定義することはできないのです。【聞き手・沢田勇】

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 ■人物略歴

 ◇はせがわ・おさむ
 北海道旭川市出身で市川三郷町在住。母がアイヌだったことから、会社勤めをしながら、アイヌの権利回復を目指して活動を続ける。首都圏のアイヌ団体でつくる「アイヌウタリ連絡会」の事務局長も務める。

毎日新聞 2009年5月20日 地方版





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