標高 210~350m 滋賀県
2014年5月3日(土) くもり
メンバー 山の神と私
コースタイム 9:10西明寺10:15--道迷い--11:15西明寺駐車場--11:30金剛輪寺12:40--昼食--13:10百済寺14:30
今回は山登りではなく、ハイキングの計画を立てた。新緑の3つの寺を歩いてめぐり、季節運行のシャトルバスで最初の寺に戻る予定だった。しかし、お寺の仏像や庭を心ゆくまで見ているととても回りきれない。それ以上に今回は道を間違ってしまって、あっけなくタイムオーバー。振り出しに戻って車で回ることになった。
前泊の伊吹山の麓の宿を8:05に出て、長浜から高速に上がった。湖東三山PAスマートICで下りて、西明寺(さいみょうじ)の駐車場には9:10に到着した。GWだから満車に近いのではないかと危惧していのたのだが、予想に反してガラガラ。ちょっと拍子抜けする。庭園に入ると、まず不断桜が目を引いた。春だけでなく、秋と冬にも花を咲かせるという。
門をくぐると蓬莱庭。順路通りに歩いていくと、美しい庭の全貌を眺められる。さらにガマが鳴いている道を上がっていくと、本堂に出る。堂内には釈迦如来立像をはじめとして重要文化財指定の多くの仏像が安置されている。聞くところによると、織田信長が近江の寺を次々に焼打ちにしたらしく、多くのお堂が消失したということだ。それぞれのお堂に安置されていた仏像をいったん疎開させ、焼け残った本堂に集めたらしい。信長は比叡山や本願寺ばかりでなく、仏教勢力を根絶やしにするくらい、あちこちを焼いていたのだ。
10:15西明寺を出た。駐車場を下った左手に遊歩道がつけられていた。薄暗い杉の道を進んでいく。最近手入れがあまりなされていないのか、ちょっと荒れている。道を間違ったのは、林道に出てからだった。その道を進もうとすると、山の神がこっちじゃないのと、山に入っていく道を指す。上のほうにピンクテープが付いていた。なんか違うんじゃないかと思ったが、少し上がっていけばわかるだろうと、登りはじめた。きちんとした登山道に見えた。しかし、しばらく行くと突然踏み跡が不明瞭になる。それでもテープを頼りに強引に登っていくと、伐採地に出た。ああハズレだ。このテープは林業関係者のものだ。山の神に戻ろうといって時計を見ると、もうリカバリー不能な時間になっていた。それでなくとも西明寺でかなり時間を費やしていたからなあ。
間違った分岐に出て、はてどうしようかとなった。私はこのまま歩き、最後の百済寺は明日の参拝として、着いたらそのまま西明寺に戻ろうと提案したのだが、山の神は首を縦に振らない。今日中に全部回って、予定どおり明日は竹生島に行きたいのだ。このまま歩いていくと、あわただしくなるのは確かだ。常に時間を気にしなければならない。
結局無理はせず西明寺に引き返し、車で移動することになった。肩を落としながら、引き返し始めると、意外にも人が歩いてくる。和服の方までいてちょっと驚かされた。
11:15西明寺の駐車場に戻り、再出発となった。車だとあっという間だ。11:30には金剛輪寺(こんごうりんじ)着。もみじが多い境内で新緑がすがすがしい。紅葉の時期は、そのもみじは血のりのように真っ赤になるらしい。まずは茶室の水雲閣とその周囲の庭園を愛でた。縁側に山の神と座って、和尚の解説テープを聞く。京都嵐山の寺にいるような錯覚にとらわれる。
参道は奉納されたお地蔵さんがずらりと並んでいて壮観だ。すべて涎掛けと風車がつけられている。階段を上りつめると、二天門。そして本堂になる。本堂では、秘仏が公開されていた。聖観世音菩薩。奈良時代の高僧、行基がこの仏像を彫っていると、血が流れたという伝説が残っている。行基は驚いて、のみを置いたという。だからきちんと彫りぬかれていない観音様。生身の観音様と呼ばれている。一説には、彫っているうちに魂が宿ったとされている。こうしたいわれを聞きながら、生身の観音様を見ていると、本当に生きているように思えてくるから不思議だ。
さて昼メシはどうしようか。金剛輪寺から幹線道路に出て、道沿いに何かうまいものやはないかと車を走らせていると、赤信号。左手に「仕出し」の大きな幟が出ていた。ここでは食べられないのか。しかし通過するときに横目でちらっとその建屋を見ると、人がいてメシを食べているように見えた。あれ、食堂だねえと山の神。Uターンは面倒だから、次に出てきた店にしようと、どんどん走ってはみたものの、何も出てこない。百済寺のほうへ折れていくと、ますます何もない。しかたなく幹線道路まで引き返してさらに走っていくと、この先に道の駅と出てきた。そこでいいやといっていたのだが、道の駅の手前にあった台湾美食屋に思わずハンドルを切ってしまった。ここでボリューム満点の定食(もれなく台湾ラーメンがついてくる)を食べることになった。
13:10百済寺(ひゃくさいじ)着。満腹で重い足取りで山門をくぐると、甘茶がふるまわれていた。
左:錦鯉と山の神 右:鐘を撞く山の神。ご利益があるといいのだが
喜見院の庭園に入ると、池があった。水面に口を突き出してパクパクやっている錦鯉が群れている。それを見た山の神は、すぐに鯉のエサを買って、撒き始めた。すごい勢いで食らいついてくる(写真左上)。朝から何も食べていないのか。
さあ、もう帰ろうかと山を下ろうとしていると、お参りの締めにと、山の神がそそくさと鐘楼に向かっていた。いくばくかの喜捨。そしてゴーンと一発低く響く音。何かいいことがあるといいな。