次の日は土曜日だった。
野球部は遠征試合のために、鹿児島市内の中学へ午後から行っていた。
遠征に行くのはレギュラーと準レギュラーだけだ。
ぼくたち補欠は、グランドならしをしたら、帰ってもいいことになっていた。
遠征試合を具合が悪いと言ってばっくれたコッペが、ぼくの横に立っていた。
「おまん、具合が悪いんやないんか?」
「カツよ、試合どころやないやろが、とにかく計画を立てんとよ。
グランドならし終わったら、クラスに来いや」
ぼくは俯いて、
「ああ」
と答えた。
放課後の二年一組の教室に入ると、ぼくは立ち止まってしまう。
コッペの他に三人の女子が机をくっ付けて車座に座っている。
ぼくは思わず、
「コッペや、昨日のこと三人に話したんか?」
コッペはニヤニヤ笑っている。
「おう、おまんと二人で話してても埒いかんじゃろう!女のことは女に聞くんが一番じゃろうが。
カツや、ほんとに退部になってもいいんか?」
ぼくは黙ってたじろいでしまう。
ぼくとコッペ、三人の女子は一緒に給食を食べたり、宿題を写させてもらったりして、
普段から仲が良かった。
コッペが、
「それに、マナミとキョウコは、カツと恋人契約結んでも良かって!」
ぼくは、思わず、
「え!」
と声を出してしまう。
添田マナミは頭が良い。メガネを掛けているが、鹿児島の典型的なえら張り美人。
中薗キョウコは清楚でおとなしい性格、こちらも日本美人という感じなのだ。
ぼくはマジマジ二人を見てしまう。
ぼくの中に悪魔と天使が降りてくる。
でも二人の中の一人を選んだら、ぼくたち五人の関係は崩れてしまうと思う。
ぼくはため息をつく。
一番快活な宝田チナツが笑い出した。
「カツは、恋人契約が嫌なんやろ!」
コッペもマナミもキョウコも笑い出した。
ぼくもホッとしてしまう。
マナミがキリっとした顔でみんなを見る。
「みんな、この計画名は、カツに彼女を作る大作戦よ!」
ぼくの他の四人は、
「おう!」
と言って手を挙げた。
ぼくは俯いて、小さな声で、
「おう」
と言った。
※つづく
野球部は遠征試合のために、鹿児島市内の中学へ午後から行っていた。
遠征に行くのはレギュラーと準レギュラーだけだ。
ぼくたち補欠は、グランドならしをしたら、帰ってもいいことになっていた。
遠征試合を具合が悪いと言ってばっくれたコッペが、ぼくの横に立っていた。
「おまん、具合が悪いんやないんか?」
「カツよ、試合どころやないやろが、とにかく計画を立てんとよ。
グランドならし終わったら、クラスに来いや」
ぼくは俯いて、
「ああ」
と答えた。
放課後の二年一組の教室に入ると、ぼくは立ち止まってしまう。
コッペの他に三人の女子が机をくっ付けて車座に座っている。
ぼくは思わず、
「コッペや、昨日のこと三人に話したんか?」
コッペはニヤニヤ笑っている。
「おう、おまんと二人で話してても埒いかんじゃろう!女のことは女に聞くんが一番じゃろうが。
カツや、ほんとに退部になってもいいんか?」
ぼくは黙ってたじろいでしまう。
ぼくとコッペ、三人の女子は一緒に給食を食べたり、宿題を写させてもらったりして、
普段から仲が良かった。
コッペが、
「それに、マナミとキョウコは、カツと恋人契約結んでも良かって!」
ぼくは、思わず、
「え!」
と声を出してしまう。
添田マナミは頭が良い。メガネを掛けているが、鹿児島の典型的なえら張り美人。
中薗キョウコは清楚でおとなしい性格、こちらも日本美人という感じなのだ。
ぼくはマジマジ二人を見てしまう。
ぼくの中に悪魔と天使が降りてくる。
でも二人の中の一人を選んだら、ぼくたち五人の関係は崩れてしまうと思う。
ぼくはため息をつく。
一番快活な宝田チナツが笑い出した。
「カツは、恋人契約が嫌なんやろ!」
コッペもマナミもキョウコも笑い出した。
ぼくもホッとしてしまう。
マナミがキリっとした顔でみんなを見る。
「みんな、この計画名は、カツに彼女を作る大作戦よ!」
ぼくの他の四人は、
「おう!」
と言って手を挙げた。
ぼくは俯いて、小さな声で、
「おう」
と言った。
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