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2017.9.17 表大雪お鉢平周遊  快晴の下紅葉を楽しんで

 土曜の車中泊地は、旭岳温泉の第三駐車場。

ここは以前砂利が敷かれた広い駐車場で、ニジマスのフカ場が隣接していた。

そしてそこに人が入り込むことはめったになく、

いつも広々とした中で一人車中泊を楽しんだものだ。

ところが最近全面が舗装され、車両区分のペイントが施された。

すると暗くなっても数台が駐車したままだ。

一部はここに車を置いて山中泊しているのだろうが、

我々と同じく、明らかに車中泊とわかる車も数台ある。

そうなると落ち着かない。

常に誰もいないところで車中泊している身としては、

とにかく落ち着かないのだ。

車内のカーテンを全て閉じ、静かに酒を飲む。

『旭岳』登山口は半分観光地だもんなあ・・・

 

 日曜の朝、ロープエェーの始発が6時なので、

5時に起床し、準備を整えてロープウェー駅の駐車場に向かった。

車中泊した駐車場を出ると、広い車道の両側には、

既にたくさんの登山者がロープウェー駅を目指して歩いている。

その光景には驚かされたが、更に有料駐車場の前で車列の最後尾に着いてギクッ!

車が何台も並んでいるではないか!

もうガックリきて引き返すことを考える。

隣りでHiromiも「帰ろう」と言う。

しかし時は紅葉の最盛期、チャンスは逃がしたくない。

冷静になって車列の前方に目をやると、駐車場はまだまだ空いている。

少し待って駐車料金500円を払い中へ。

「ホッ・・・」

北海道の山の2000m級は、毎年9月の第二週に紅葉の最盛期を迎える。

従ってその時期には何度も訪れているのだが、

こんなに人や車が押し寄せたのを目にしたことはない。

やはり年々訪れる人が増え続けているのだろう。

 

 そんな状況下であることから、ロープウェーは臨時便として5時半が始発となっていた。

そして我々が乗ったのは6時発のこの日の第三便。

まあ、ほぼ予定した時刻のロープウェーに乗ることができたことに、再び「ホッ・・・」。

更に混み合っていることを想定してか、通常15分間隔で運行しているロープウェーが、

どんどん折り返しで行き来を繰り返す。

運営会社のはからいに感謝したい。

 

 6時5分、ロープウェー姿見駅をスタート。

ルートは「裾合平」~「中岳分岐」~『間宮岳』~『荒井岳』~『松田岳』

~『北海岳』~「黒岳石室」~「北鎮岳分岐」~『中岳』~「裾合平」

この日も紅葉狙いだ。

 

 「裾合平」に近付くと前方に『安足間岳』から『当麻岳』の稜線が目に飛び込んでくる。

まずはこの紅葉風景が素晴らしい。

7

時5分、「裾合平分岐」。

何度も立ち止まって写真を撮る私に対し、

Hiromiはスピードを誇示するべく、振り返って私の写真を撮ることもなく、

素晴らしい紅葉の風景に見入ることもなく、ただただどんどん進んで行く。

何のために嫌な混雑を乗り越えてそこに至ったのか、まるで理解できていない。

この日はロングランと位置付けたことを後悔する。

 

 8時、「中岳分岐」。

ここから時計とは逆回りに「お鉢平」を一周する。

まずは『間宮岳』に登るのだが、私が変!

大腿に残った前日の疲労が全く回復していない。

従ってそこに酸素を送り込もうとする心肺機能がフル回転して、きついきつい。

正直よちよち歩きだ。

そんな事情にはお構いなしで、Hiromiはどんどん先へ行く。

ただ、ポイントポイントでは写真を撮る都合があるので、止まって待つように言ってある。

 

 8時20分、『間宮岳』。

ここから平坦な2,000m大地を歩き、

8時30分、『荒井岳』。

そこに立って目にする「お鉢平」や、

遠く『忠別岳』から『トムラウシ山』にかけての風景が美しい。

そしてそんな美しい風景をカメラに収めることもなく、

Hiromiはまた歩き出し、どんどん先へ・・・

後ろからトレランの男性がやってきた時には、

しばらくその男性のあとを追って走っていた。

そして男性が走るのをやめて歩き出すと、ぴたりとついて離れない。

う~ん・・・

なんか違うんじゃないかぁ・・・

 

 9時10分、『北海岳』。

このピークは『白雲岳』との分岐となっており、たくさんの登山者が集っていた。

従ってそのままスルー。

『北海岳』からは深くえぐられた狭い登山道をどんどん下る。

そしてそこには黒岳ロープウェーを利用して登ってくる登山者が大勢やってきて、

道を譲る時間が長いこと。

登りはさっぱりスピードが上がらない私も、

下りはいまだHiromiの数倍のスピードで下りられるのだが、

とにかく人、人、人・・・

「お鉢めぐり」の最低標高である「赤石川」を渡ると「黒岳石室」への登り返し。

ダラダラ、ゆっくりゆっくりの自分が情けない。

 

 10時ちょうど、「黒岳石室」。

ここでHiromiを未踏の『桂月岳』に向かわせた。

疲労困憊の私はパス。

こんなことは初めてだ。

ここから『北鎮岳』』への登山道から、『桂月岳』への登路がよく見渡せる。

Hiromiが登って行き、下降してくる様子もはっきりだ。

速い!

30分ほどで戻ってきた。

それから「北鎮岳分岐」へ向かうのだが、私にとっては辛い辛い登り。

しかしHiromiは相変わらずスーイスイ。

ただ、ヘロヘロの私も写真を撮ることは決して忘れないので、

ところどころのポイントでは立ち止まって風景写真を撮る。

けれどHiromiは風景なぞ目に入っておらず、

身近の登山者を標的として相変わらず暗黙の闘争を繰り返している。

何か違う、私は間違ったことを教えたか・・・

 

 11時20分、「北鎮岳分岐」。

大勢の登山者が休息している。

当初はここから『北鎮岳』」~『比布岳』~『安足間岳』を回って「当麻乗越し」に下る予定だったが、

見上げる『北鎮岳』頂上には人がゴチャゴチャ見える。

即、『中岳』から「裾合平」に下ることにして下山開始。

そして11時40分、『中岳』。

その後、「中岳分岐」で「お鉢平」一周を迎え、「裾合平」目指して下山。

その途中で昼食とした。

いつものようにインスタントラーメンを食べ終わると、

Hiromiが言った、「あれっ!? いつもラーメンの汁を捨てるのに、今日は全部飲んじゃったの?」

そう、無意識に全て飲みきっていた。

それで元気が出た。

塩分が不足していたのだ。

その後「裾合平」から姿見駅までのアップダウンは苦にならず・・・

 加齢とともに、これまでには必要としなかったものが必要になる。

気遣う必要がなかったことを気遣わなければならない。

なさけね~っ!

そんなことをつくづく考えさせられる夏山シーズンだった。

 

 13時50分、「姿見駅」。

下りのロープウェーも人がゴチャゴチャで、東京の通勤電車を思わせた。

そんな中で汗だくの我々は気が引け、「早く麓駅に着いてくれ~」と願わずにはいられなかった。

 

 下山後、有料駐車場にはまだまだ入ってくる車列が!

その列は延々数キロに及んだ。

今日は素晴らしい写真をたくさん撮れたし、

この混雑を体験してはもうこの時期にここを訪れることはないだろう。

 

 美瑛町に移動し、いつもの銭湯で汗を流して『十勝岳』麓に移動。

そしていつもの車中泊地で「かんぱ~いっ!」。

Hiromiは二日間未踏の山に登れたことに満足し、

いつまでも興奮冷めやらぬ様子ではあったが、

私は冷静に、近い将来私の元を放れ、巣立っていくであろう弟子の姿を見ていた。

 

 三連休最終日の朝目覚めると、天気予報の通り雨。

しかも台風が目の前に迫っているとのことで、そのまま帰途に着いた。

 

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