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北米project 3 ~Encouragement of Canadian Rockies. その47 【2015/07/08~18】

2016-11-11 23:05:05 | 海外旅行記

2015年7月18日(土)11時24分
アルバータ州カルガリー 遺産公園歴史村

7月8日から長々と続けてきた北米P3も今日で残念ながら最終日。両親は早々に日本へ帰ってしまいますが、私の帰りの飛行機は17時とまだまだ余裕があります。
そこで、ホテルをチェックアウトして両親を空港でおろして別れを告げた後、私は一人カルガリー市街地へと戻ってそのまま通り過ぎて、ダウンタウンの南側の近郊にある「遺産公園歴史村 Heritage Park Historical Village」というよさげなテーマパークへ。この和訳はどうも頭が悪い感じに聞こえますが、他にどうしようもない感じもするしで、アレです。素直にヘリテージパークと書いた方がいいかも。
どんな施設なのかを一言で表せば、カナダ版の博物館明治村というのが一番しっくり来ます。敷地は約51万㎡、保存されているアトラクションと展示物は約180個となっています。その上時代はおよそ1860~1950年代ごろを設定していて明治村とおおよそ同様、さらに蒸気機関車や路面電車、蒸気船なども動態保存されていて、おいおい本当に明治村だなって感じです。

カルガリーのダウンタウンでもLRTやバスを見たかったということもあり、滞在時間は2時間でした。
しかしまあ、時間が全然足りませんでした。建物全部を回ることは出来ませんでしたね。1日余裕で滞在できる施設です。

で、この建物はカナディアンパシフィック鉄道(CP)のカルガリー駅の駅舎だった建物です。1893年に建てられました。
ここの地方特有の砂岩で建築され、屋根の隅棟に張り出した窓がやはりこの地方特有の建築様式とのことです。
CPのことにも少し触れられていて、1885年の大西洋~太平洋横断鉄道の建設完了以降、観光業に参入して一流ホテルの開業や内陸部や公海での蒸気船の運行をしたり、大陸西部での農業事業の基盤作りのために拓殖企業を運営して酪農業や灌漑の指導をしたりと、まあ手広くやっていたようです。
これ行く行くは自分ちの鉄道で物資輸送させるための算段でしょうからね。需要がある所に鉄道を敷くのでなく鉄道を敷いた所に需要を作るという発想です。



まあ全部を見て回れないだろうなというのは初めから気づいていたので、見たいものを優先的に見ていきます。というわけで最初に見に行ったのは蒸気機関車です。
先述したとおり、ここでは蒸気機関車が動態保存されていて来園者のアトラクションとして使われています。列車だけでなく関連施設も保存されているのがここの良いところ。
これはミッドナポール駅 Midnapore station。カルガリーの南にあったCPの駅で1910年に建てられました。旅客の待合室の他に貨物の保管所、事務室も備えた複合施設の駅でした。
この駅のある土地は元々フィッシュクリーク(魚川)だったのですが、ここの郵便局長がインドのミッドナポール宛の手紙を見つけたのがきっかけで地名の名前を変えたといいます。なんだそりゃ・・・。
ミッドナポール駅は、カルガリーとフォートマクラウドを結ぶ路線の途中駅の1つとして1912年に開業しましたが、戦争だなんだで乗客が伸びず、1918年にソッコーで廃止されます。諦め早すぎぃ!その後CPは1964年に駅舎を寄贈しますが、売値は1ドルだった模様。
室内を見ている余裕はなかったぞい・・・。



建物がギュウギュウに詰まっているかというとそういうわけではなく、芝生の広場もあります。普通にピクニックとかにも良さそうなんですよね。



蒸気機関車を見つけたので近づいてみます。ちょうど駅に停車しているところでした。



というわけで蒸気機関車列車です。客車は3両編成で内2両は木造オープンデッキ、ダブルルーフ客車とよさみのある代物。
機関車はなんだか日本でも走っていそうな大きさで、カナダにしては小ぢんまりとしています。やっぱりこのくらいのほうが維持しやすいのかな?



CP2023蒸気機関車。
日本のテンダー機並の大きさ(C11にテンダーをくっつけたみたいな大きさ?)をしているんで親しみが湧きやすい機体なんですが、動輪を見てみると0-6-0(0C0)配置。この大きさで先輪と従輪がないという親しみもクソもない見たことのない配置でした。
いやいや、本線用機関車でこれは無いでしょ、入換用じゃあるまいし・・・と思ったところで、もしやこいつって入換機(スイッチャー)なのでは?と疑りに入って調べたところ、マジで入換機でした。マジか、この規模でか。末期の9600形じゃあるまいし。

なおこの機体の番号CP2023は架空の番号で、そもそもこの機体がCPに所属したことは無いという経歴詐称カマです・・・。
本当は1944年1月にリマ・ロコモーティブ・ワークスがアメリカ陸軍向けに製造した機体(S/N 8140)で、USAX4076号機としてバンクーバーの操車場で入換をしていたと言われています。そして色々あって現在はここにいるということです。
CP2023の他にもここにはCP2024がいて、やはり経歴詐称車。この番号になった根拠は、U-2-a形の未使用の番号を割り当てたから、とのこと。このU-2-a形は恐らくこのCP2023/2024と同系列の機関車だった可能性が高いです。



モリッシー,ファーニー&マイケル鉄道 Morrissey, Fernie & Michel Railway; MF&M62号客車。
客車についてはよく分からないです。乗ってみれば車内に経歴の書かれた解説もあったやもしれませんが・・・。
<2016年11月16日追記>
ネットの海からサルベージした謎資料によると1885年製とのこと。130年前とかクソ古いゾ・・・。(追記終わり)

木造、ダブルルーフ、オープンデッキ、台枠トラスバーと、アメリカン全開の客車で非常に好ましいです。窓も天地方向が大きくて車窓が良さそうですね。
MF&MはBC州東部にあった炭坑鉄道です。カナディアンパシフィックとアメリカのグレートノーザン鉄道と接続していて、採掘してきた石炭を輸送していました。貨物列車の他に炭鉱の町ファーニーから炭坑まで坑夫を輸送するための列車も運行していて、それに使われていたのがこの客車なのではないかなぁと踏んでいます(確証はない)。



MF&M63号客車。同型車ですね。製造年も同じ。
乗ってみたかったぞい・・・。



3両目はカナディアンナショナル鉄道の15097号客車。
これだけ鋼製でシングルルーフで全長も長い。ややよさみに欠けますが、窓ガラスを取り払ったオープンカーなのが魅力。それと地味にセミクロスシート車になっているんですけど、もしかして元々は近郊輸送客車とかそういうの?(いわゆるコミューターコーチは実際に存在していた)
<2016年11月16日追記>
謎資料によると、製造は1892年でワグナー・パレス車輌製。上記木造車とそう大差ない年齢だったぞ・・・。
元々は寝台客車だったらしく、その後1954年にマウンテンオブザベーションカーという展望車に改造されました。これどういう車両かというと、わたらせ渓谷鐵道や嵯峨野観光鉄道のような窓ガラスのない解放展望車のようなものです。山の空気を感じられるということでこういう名前になったんだと思います。
車両中央はガラス付きの密閉客室で、風雨も凌げられる構造になっています。
そんな昔からこういう観光用車両があったとは驚きですね。(追記終わり)



時刻表は黒板で手書きしていくスタイル。味がありますね。
現役時の本数は、こんな書き方で済む程度の本数だったってことでお察し。
なおここの線路は鉄道模型よろしく環状に敷かれています。大抵は折り返し運転をするところが多い中で、これって意外と贅沢な土地の使い方をしていると思いますよ。



列車がもうすぐ発車なので、駅から離れて沿線撮りすることにします。さっき書いたとおり意外と開けているので撮りやすいのです。
場所を決めあぐねている間にも来てしまいました。



これはV。
スイッチャーと言えども機体が大きいので迫力は十分です。



ちょっとカッコつけた撮り方を。



列車が行ったところで、少し鉄道から離れて。
園内には遊園地もあります。遊具も骨董品ばかりを集めたような内容になっていましてね。よく揃えたもんだと。
これはみんな大好き空中ブランコで、なんと1920年製。しかも独フリッツクライス社製のワンオフ遊具。出力は7.5馬力。
1984年に寄贈されて4年後に復元、以来ここで子供たちを回し続けています。よく維持し続けているよなと思います。



19世紀カナダの町並み。こうもテンプレじみた町並みなのかと思うほど頭の中の町並みと合致します。あと道が広い。



(一応)馬車に乗っている人々。牧歌的だ。19世紀の格好で訪れたらめちゃくちゃ楽しいだろうな。

今日はここまで。これも結構長引くと思うのでみなさんもそのつもりで・・・。


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