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(28)宮戸優光のスネーク・ピットがIGFとスクラム!

2008-09-14 04:41:05 | ヤスカクの風まかせ日記~安田拡了
13日。この日、後楽園ホールに向かった。全日本プロレスがあったからだ。しかし、メインはキャプテンフォールマッチということでカードを見たら、なんだか結果が“読めてしまう”ので「まあ、見なくてもいいだろう」とホテルオークラに急いだ。
 午後8時から猪木と宮戸優光、ビル・ロビンソンの会見がオークラで行なわれるからだ。事務所に届いたリリースを見て「これは提携だな」と思っていたが、やっぱりだった。これまで猪木に何度もインタビューしてきたが、猪木はいまのIGFに対して不満だらけだった。試合が猪木の思うストロングプロレスになっていないからだ。
いつか「猪木さんが現場を取り仕切ったほうがいいのではないか」と話したことがあったが、猪木は「自分は忙しい体。俺に代わってやってくれる人材が必要。本当なら俺のやりたいことがわかっている佐山が現場を仕切ってくれれば一番いいんだが」と話していたことがあった。
しかし、いまの佐山はリアルジャパンと武道競技の構想で手一杯。IGFを手伝う余裕はない。
そんなふうに思っている時にIGFの解説をした宮戸優光氏と猪木が意気投合。提携となったというわけだ。
ビル・ロビンソンと宮戸氏は現在のプロレスが強さを追求していないことを憂い、高円寺のジム「スネーク・ピット」で理想の選手作りをしており、プロレス最強という部分で猪木の考えと酷似している。
 おそらくIGF名古屋大会は宮戸氏のネットワークであるUインター出身者たちがこぞって集合し、IGFを強力なストロング思想に切り替えてくれることだろう。
 会見で宮戸は「Uインターでやってきたプロレスこそ最強ということでやってきた。Uインター魂というのは、まさしく猪木イズム。そういう意味でお話をさせていただいて、こういうことになった」。またロビンソンは「キャッチ・アンド・キャッチ・キャン・レスリングを現在のプロレス界に活かしたい。オールドスタイルではなく、プロレスが格闘技に遅れをとっている状況を打破したい」と語った。
 猪木は「閉塞した状況に風穴を開けていく。IGFの旗揚げの時、ハンセンがプレディターにプロレスとは何かを教えていた。俺が直接話せないことを代弁してくれていた。俺はなかなか時間が取れないし、熱い思いをひとつのところに集めないといけない。それには熱い情熱がなければ。(この提携で)もう一度流れが起きるような基礎を作っていけたらと思う。賛同してくれる若いエネルギーがあって、そういう選手の場を作っていこうかなと考えています」
 ロビンソンは「レスリングは最近は背広組が牛耳っている。これを打破しないと本当のレスリングは戻らない」とも語っていた。まさにWWEプロレスを意識しているのだろう。

 この提携はプロレスを本来の強さを求めるプロレスに戻すという意味で、本来ならマスコミが大騒ぎをするレベルの出来事だった。
 しかし、翌日のスポーツ紙を見たらほんの少ししか紙面に出ていない。これは残念でしかたがない。だが、考えてみるとスポーツ紙記者はサラリーマン。すぐに担当替えがあるのでプロレスにそれほど愛着も感じられないのだろう。
 となれば専門誌の記者の熱さに期待するしかない。だが、その専門誌の記者でさえ今は、70年代、80年代の強さを求めて道場で懸命に練習していた選手たちの姿を見ていない若い世代ばかり。いまのプロレスにほとんど疑問を持たなくなっている世代なのだ。

 強さを競うプロレス。
 それがどこかに忘れ去られてしまっている。
 そこに怒りを感じているのが猪木であり、だったらそういうプロレスラーを育てようとしてきたのが宮戸だったのだ。
 宮戸のストロング思想はビル・ロビンソンをパートナーにしたことでもわかるが実力本位のプロレス。その実力をリングに反映させてきたのがかつてのUインターだった。だから、Uインター出身の桜庭や高山たちがいまだに強さを売り物にできているのだ。宮戸を現場にすえて活動すればIGFは凄く面白い団体になるはず。そう思う。

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