明仁天皇が「生前退位」の希望を表明したのは8月8日のこと。既に2か月余を経過している。当初マスコミが大きく取り上げ、それに関連する問題点を明らかにしてきたが、本格的議論はこれから始まる。世論調査では国民の多くが天皇の意志に賛意を表したが、それは率直な国民感情であると思う。しかし、憲法・皇室典範とそれに関わる過去の歴史、将来展望-天皇制問題を見据えた上での検討はこれからだ。
論点はある意味では単純明快である。しかし天皇発言が「パンドラの箱」を開けたと云われているように議論の前途は簡単には予測できない。
公式的議論は10月17日からの「有識者会議」からだ。一般的に言ってこの種の会議は、政府等の意図を補完する役割を担う。従って人選も慎重に進められる。安倍総理らの意向は「明仁天皇のみに限定する特別立法」である。しかし民進党は皇室典範の改正を視野に入れているようだ。多数決で解決を図ることは出来ない難しい課題である。
言うまでもなく基本的論点は「生前退位」の可否である。しかし、それを前面に出しての議論では統一見解をまとめることは出来ないであろう。安倍総理が所属する「国民会議」や「神道政治連盟」は強い反対意見を持つが、天皇の強い意向、国民多数の支持と云う状況下では、その対応に苦慮している。その結果が「特別立法」方式ではないか。
この為有識者会議の論点整理として「天皇の過重な公務負担のあり方、軽減方途」「摂政制度と生前退位の在り方」「生前退位のための法改正ー単独立法・皇室典範改正等」が考えられている。
しかし、これだけには留まらない。女系天皇等皇室のあり方全般にも及ぶことも想定される。そして、より重要なことは天皇制自体のあり方の検討である。
「天皇ハ神聖ニシテ侵スベカラス」(帝国憲法第3条)存在であった時代、そして先の戦争で国民は悲劇的惨禍を受けた。その犠牲の上に現在の平和憲法が存在する。にもかかわらず憲法改正論議の中で、再び天皇の「元首」化、そして天皇の「神格化」を意図する大きな組織が存在するからである。このことは引き続き論議していきたい。
有識者会議氏名
今井 敬(経団連名誉会長)小幡純子(上智大法科大学院教授)
清家 篤 (慶応義塾長) 御厨 貴 (東大名誉教授)
宮崎 緑 (千葉商科大教授)山内昌之(東大名誉教授) /strong>
論点はある意味では単純明快である。しかし天皇発言が「パンドラの箱」を開けたと云われているように議論の前途は簡単には予測できない。
公式的議論は10月17日からの「有識者会議」からだ。一般的に言ってこの種の会議は、政府等の意図を補完する役割を担う。従って人選も慎重に進められる。安倍総理らの意向は「明仁天皇のみに限定する特別立法」である。しかし民進党は皇室典範の改正を視野に入れているようだ。多数決で解決を図ることは出来ない難しい課題である。
言うまでもなく基本的論点は「生前退位」の可否である。しかし、それを前面に出しての議論では統一見解をまとめることは出来ないであろう。安倍総理が所属する「国民会議」や「神道政治連盟」は強い反対意見を持つが、天皇の強い意向、国民多数の支持と云う状況下では、その対応に苦慮している。その結果が「特別立法」方式ではないか。
この為有識者会議の論点整理として「天皇の過重な公務負担のあり方、軽減方途」「摂政制度と生前退位の在り方」「生前退位のための法改正ー単独立法・皇室典範改正等」が考えられている。
しかし、これだけには留まらない。女系天皇等皇室のあり方全般にも及ぶことも想定される。そして、より重要なことは天皇制自体のあり方の検討である。
「天皇ハ神聖ニシテ侵スベカラス」(帝国憲法第3条)存在であった時代、そして先の戦争で国民は悲劇的惨禍を受けた。その犠牲の上に現在の平和憲法が存在する。にもかかわらず憲法改正論議の中で、再び天皇の「元首」化、そして天皇の「神格化」を意図する大きな組織が存在するからである。このことは引き続き論議していきたい。
有識者会議氏名
今井 敬(経団連名誉会長)小幡純子(上智大法科大学院教授)
清家 篤 (慶応義塾長) 御厨 貴 (東大名誉教授)
宮崎 緑 (千葉商科大教授)山内昌之(東大名誉教授) /strong>