いきなりだけど「窶す」って読めます?
正直言えばこんな漢字読めなくてもいいんです(笑)
もちろん読めたほうがかっこいいですが。
正解は「やつす」なんだけど、「やつす」ってわかります?(笑)
我が社担当の30前のシティ信用のイケメン兄ちゃんは「初めて聞きます」と言ってました。
「んじゃ『やつれる』ってのはわかるやろ?」
「はい、それはわかります」
そうなんです。「やつす」「やつれる」は漢字で書くと「窶す」「窶れる」で同じ漢字です。私も若い頃は「やつれる」はわかっても「やつす」なんて言葉を知りませんでした。
で、しつこいようだけど「やつす」ってわかります?(笑)
どうして今日こういう話になったかというと、現在私のトラックでは「ユーミン週間」で400曲ほどあるユーミンの曲をランダムに聞いているのですが、ユーミンが荒井由実の時の最後のオリジナルアルバム「14番目の月」の中の一曲に「朝陽の中で微笑んで」って曲があるんだけど、その歌詞の一部に
「宇宙の片隅で めぐり逢えた喜びは うたかたでも 身をやつすの」
これを聴いた時に、今の若い人たちは「身をやつす」ってわかるのかな?なんて考えながらも、私の知っている「やつす」と「身をやつす」の「やつす」は全然意味が違う言葉だなぁなんて思ったんです。
私が知っている「やつす」は“お化粧をする”“身奇麗にする”という意味です。上方落語でよく出てくる言葉です。「蛇含草」という落語の最後のほうで、お腹いっぱい餅が入っている主人公が家を出る時に
●ちょっと鏡貸しとぉくなはれ
◯今さらやつさいでもえぇやないか
●やつすのんと違います。うつむいて下駄が探せません。
という風に出てきます。この場合の「やつす」は鏡を見て髪型を整えるみたいな感じでしょう。
しかし「身をやつす」の「やつす」は私が知っている「やつす」ではありません。
この「やつす」はもちろん「やつれる」という意味での「やつす」です。
さて、ネットでの国語辞典をコピペしてみると
やつ・す【俏す/窶す】 の意味
1 目立たないように姿を変える。また、みすぼらしい姿にする。「身を―・す」
2 やせるほど思い込む。顔形が変わるほど、一つのことに夢中になる。「恋に身を―・す」
3 出家する。
4 省略する。
5 くつろぐ。
6 似せてつくる。まねる。
7 化粧する。めかす。
ユーミンの歌詞で出てくる「身をやつす」は2番めの意味の「やせるほど思い込む。顔形が変わるほど、一つのことに夢中になる。」でいいと思います。
しかし「やつす」にこんなたくさん意味があるとは驚きです。
しかも1番に書かれているのと、私が知っている7番の意味では全く違うわけです。これには驚きました。どちらも「現状の姿を変える」という意味では共通していますが。
私が「やつす」という言葉を聞いた時、もちろん「やつれる」という言葉の変化だと思いましたが、「やつす」には「化粧をする。めかす。」という意味があり、「やつれる」と「やつす」は違う言葉だと認識していました。
ちなみに「やつれる」もネット辞書のコピペを紹介すると
やつ・れる【窶れる】 の意味
1 病気・心労などで、やせ衰える。「病気で別人のように―・れてしまう」
2 見栄えのしないようすになる。みすぼらしくなる。
3 人目につかないように、服装などを粗末にする。みすぼらしい姿になる。
4 落ちぶれる。
「やつす」の1番目と「やつれる」の3番目が全く同じなんですね(笑)これにも驚きました。
みなさんは「やつす」知ってましたか?(笑)