LO(O)SE40!

緩く自由に色んな物をどんどん海に投げていく旅の始まり

アドルフ・ヴェルフリ展に行って来ました。

2017年06月17日 10時35分07秒 | Weblog
昨晩は中々寝付けず、眠りも浅く、日の出と共に起きて、もう一眠りすっか~と思うも眠れず。
昨日の展覧会で喰らった余波かしら?、と。

鉛筆の濃淡だけで、大きくも緻密に自分の頭の中の世界を吐き出した作品にただただ圧倒され、山下清的な感じかしら?、と思っていたら大間違い。

山下清も貼り絵とは思えない程、ダイナミックでグラデーションも鮮やかな作品を作り上げましたが、山下清の作品に流れているのは、その対象に対する「好き」や「愛」、または「思い出」といった情緒豊かに開かれたものに対して、
現実の世界とは別に、自分の頭の中の世界を作り上げ現実として生ききった
全く閉じたものである事。見ている私達はその世界に放り出され、濁流に飲まれるような感じで彼の物語を旅する。
綺麗な色使い、可愛いキャラクター、洋服や小物にしたい様な独特な模様や紋様。一枚だけをパッと見ただけなら、彼のバックグラウンドを知らなければ「キモかわ」の絵で終わるのに、この全ての作品が後半生を出る事なく過ごした精神科の個室病棟から産まれたこと。
貧しくて幼くして母親と別れ奉公に出ては、奉公先を転々としまともな教育も受けられず、人との関係もうまく築けず、婦女暴行で逮捕され、出所しては逮捕され、最終的に幼女暴行で精神科へ入れられるまでの前半生。

本や映画、ラジオ等情報はあっただろうけど実際には「知らない」世界各国へ旅に出て、彼の頭の中のアメリカや彼の頭の中の中国等を描く絵画を見ていると絵は最高なんだよ、最高なんだけど、放たれる情報量が半端じゃなくて、いまだにまだ処理出来ない。

だって、彼の頭の中の世界とはいえ彼の見る現実を全て絵にしようとしてるんだよ。そこには音楽が流れ、人々や動物がいて、建築物があって、貨幣経済も織り込まれ、犯罪も起きて、戦争も起きて、恋もして不倫もして、「本当の現実世界でやった事、出来なかった事、受け入れられなかった事、知らない事。」が彼の頭の中で「彼の王国(彼の王国では彼が王)。」として再構築されたその全てを。

その物語の一節に、
「ごきげんよう紳士、淑女のみなさん:?
私に、何をお望みかな?
私は飼い慣らされてはおりませんぞ:
野性動物というわけでもありませんがね。」
と、あり。何かもうそこでブワッと涙が。
悲しいや可哀想とかではなく、衝撃で。

ふーっ。

もちろん、今とは時代背景も違うし、精神科に収容されていたといっても、その環境や治療法も違うだろうから何とも言えないけど、
色んな障害や病気で社会生活が送れなかったり、馴染めなかったりするんだけど、この一点に関しては凄い才能を見せる。とか凄い集中力を発揮する。とかは時折メディアでも取り上げられたり、書籍が出たりして何となく自分でも知ったような気でいたけど、
結局、障害があろうがなかろうが人はそれぞれ、その人の現実を生きていて、赤の他人がおいそれと知れるものではない。という当たり前の事に気付き、そのおいそれと知れるものでは無いものを知ってもらおう、見てもらおう、とする彼の作品は芸術や絵画なんてものを飛び越えて、生きる事のあらゆる困難を否応なしに考えさせられるものなのでした。

芸術、絵画に興味がある人はもちろんの事、全く興味が無くても、子を持つ方や、学校や病院の先生、バリアフリー関係の活動やお仕事をされてる方達にも見ていただきたいなあと思いました。

明日まで!。
東京駅ステーションギャラリー。
大人一般1,100円。

あー、ちょっと落ち着いた。

添付の写真は本文とは全く関係なく、凄い良い匂いだったから撮ったもの。名前を知っていたら教えてください。

では素敵な週末を~。

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