LO(O)SE40!

緩く自由に色んな物をどんどん海に投げていく旅の始まり

久々の歩け歩け遠足

2019年03月10日 14時11分00秒 | Weblog


まずは10時に友人と現地集合で金杉橋近くの東京都人権プラザで開催中の写真家、齋藤陽道さんの「感動、」展へ。
中は撮影可能だったようですが、何か撮れなかった、見るのに精一杯で。写真集「感動」から、生命力ほとばしる写真の数々。
その生命力も生の激しさ、強さ前面にというわけではなく、画面を構成する空気や光と等しい感じでジワジワっと伝わってくるような。その熱が伝わる感じは高温サウナで皮膚の外側からガーッと来るのではなく、ミストサウナで毛穴全部で浴びるような。
齋藤さんの写真は本でなく初めて実物を見たけど、より光が全編ものすごい。暗い画面も、日陰も。生きるって、それだけで光なんだなって思う。自分が感じてようが感じまいが。
子供のとき、ゴボっと吐血した時に、血にもビックリしたけど口を抑えた手にドバっとホカホカした温度の液体を感じて驚いた。血って温かいのかって初めて知った瞬間。
その時感じたような温かさを感じました。体温くらいの温かさ。でも血なの。そんな感じ。
近くに「金杉湯」って銭湯もあるので、写真にヒタヒタに浸かったあとひとっ風呂も良いかも、と思いました。人生全肯定コース。
また、会場には、齋藤さんおすすめの本や、言葉を知らない野生児として育てられたヴィクトールを巡る齋藤さんの思索や叫びが詰まったノート、触覚で触れて見る写真、齋藤さんの世界を作る色々なものが。
が、時間がないので大門で友人と別れ、次は浜松町からモノレールで天王洲アイルへ。

天王洲近辺で「TENNOZ ART FESTIVAL 2019」という催しが開催されていて、川と運河とマンションや公園、倉庫、その中に壁画が侵食。その中の画家、淺井裕介さんの作品を目指して。

青空に映える大きな水神さまが(勝手に命名)、力強く跳ねています。おおお。
淺井さんの絵は泥絵が多いので茶系の大地のイメージですが、当たり前ですが水も大地に含まれるので青ばっかりの絵も違和感なく淺井ワールド。前からここにいましたっけ?って感じ。
淺井さんのキャンバスは、コースターや紙切れの裏から、屋内屋外の壁、空間に置いたダンボール、木の間に渡した布、ところ選ばず、たちどころに世界が現れる。
遠くから近くから、ずっと見ていられる。その中にいれる至福と言ったらこの上ない。生命全肯定。
描かれる大きな生き物の中に、小さな生き物、小さな村、流れる音楽、のびる植物、全部呑み込んで全部芽吹いている。山や森があって動物がいて、その下に町があって文化があって人がいて、水はその下や間をずっと流れて海へ向かって、調和が壊れたらひとたまりもない。
去年は水害が多かったし、それは恐ろしいものだけど、怖いからって蓋をできる類いのものではない。どうすれば共存できるか。そんなことのヒントにもなるな、と思った。

さて、次を目指し品川駅まで歩いて新橋乗り換えで表参道へ。

TOBICHIというギャラリーでやっている写真家、幡野広志さんの「写真家の写真展」へ。

ガンで余命宣告を受けている写真家として有名な幡野さん。noteやツイッター等写真を見て、いいなあと思っていたけど作品を見るのは初めて。
まずはギャラリー左手1階「いただきます、ごちそうさま」

いただくために奪う命を巡る写真。動物園のふれあいコーナーで「羊かわいい〜」って触れ合った後で目に入ったジンギスカン屋に行こうと言った時にボロクソ言われた事があるけど、何でボロクソ言われるか分からなかった。
そして間違ってなかった。と思う。命をいただくために奪う、それを毎日繰り返している。そこに思いを馳せることは忘れちゃいけない。可愛い、可哀想、でジャッジするバカバカしさ。
2階に上がって「優しい写真」

息子さん優くんの文字通り優しい写真で溢れています。優くんの表情もいいんだけど、きっとファインダーを覗く幡野さんの優しい視線と、それを一身に受ける優くんから出る優しさがこの世界を作ってるんだろう。
私が一番好きなのは、優くんを抱えて鏡越しに撮っている写真。いつか、優くんも一人ぼっちで辛いときも、世を呪うときもあるかも知れない。多くの人と同じように。でも、この一枚はもとの道に帰れる強さと優しさがあるなって思う。
1階に戻って右手「海上遺構」

海に残る朽ちた元あったものの数々。海って命の源にあるものの中に、腐りながら死んでしまったものが共存しているおとぎ話のような光景。すごい静かな写真で、止まってるに等しいくらいゆっくりすぎる時間が流れている感じ。ずっと見てられる。ここがいつか行くところかって思う。

最近はあまり遠出も出来ないし、天気も悪かったし、ストレスもたまりがちだったのですが、私と猫の体調も落ち着いてきたので「今だ!」と思って行きたい所を全部詰め込んだ強行軍。
巡ってみれば一本大きなものが繋がってる様な遠足でした。
生きること、死ぬこと、その存在の全肯定。

感謝しかない。

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