LO(O)SE40!

緩く自由に色んな物をどんどん海に投げていく旅の始まり

流れる星は生きている

2017年08月12日 06時40分57秒 | Weblog
藤原ていの「流れる星は生きている」読了。

その後の夫婦の活躍、息子の活躍を知っているから、ここで死ぬ事は無いっていうのは頭では分かってるんだけど、満州引き揚げ者達が故郷へと一心不乱に進む道は何度も死線を越えて、最初は助け合った人達も、そんな余裕もなくなり、人の心を失い、人を疑い、憎み、生きる為の鬼になって進む道のり。

まだ避難中、班を作って暮らしていた頃、歌を作ってみんなで歌う。それが流れる星は生きている。
鬼になりながら、連れてる子供に暴言を浴びせながら、いつか帰る。いつか夫に会える。と何もない著者を慰めたものは夜空の星だけだった。

戦争に負けました。満州から引き揚げ者が大量に帰ってきました。一二代遡れば、そんな人は沢山いるだろうけど、その人それぞれに、苦難と鬼になった道のりがあるんだろう。

口を閉ざしたまま亡くなっていった人が大半のなか、美化もてらいもなく淡々と人の醜さや、鬼になる著者の筆力に涙もでない。泣いたら失礼。でもさすが新田次郎を支え、二人で雪山に向かって仕事をした人だ、と思いました。

人の死や、死体の扱いに読み進めるのが辛い人もいると思いますが、これが当時の現実。是非読んでいただきたいなあ、と思いました。