テキスト主体

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勝間光学機械 WP8x30RC-D

2013-01-04 22:23:29 | 双眼鏡 望遠鏡
勝間光学さんの双眼鏡紹介、第三弾、WP8x30RC-Dを、お借りしていますので、持ち主の方にご了解頂いた上で、紹介させて頂きます。

現在、双眼鏡の倍率×口径の基準というか、中心値みたいなのが、8x30(or8x32)です。
各社とも汎用としてラインナップに欠くことの出来ない仕様で、ダハ、ポロ問わず、最も種類が多いと云えます。
それ故、古くから、名機、秀作、逸品に溢れ、現行機では、ポロのニコン8x32SE、ダハのツァイス8x32FLを筆頭にそれこそ高性能な製品が数多くあります。知人が投げ売り価格(3K)で買ったケンコーのウルトラビュー8x30ポロ(国産)でさえ、プラプラした材質を除けば、かなり良い見え味で、愛用されているようです。
そのなかで、勝間光学さんの8x30に興味を持たれる方というのは、他の仕様の製品に比べたら、おそらくは、よりコアな趣向をもたれている方だと思いますので、今回は同じ勝間さんのWP6x30SB-Dとの比較でお伝えしようと思っています。



まず、以前に勝間光学さんにお伺いした事ですがWP8x30RC-DとSS10x50SK-Dの接眼部は同一だそうです。

恐らくは、対物レンズ、プリズムはWP6x30SB-Dと同じっぽいので

一番上の写真は、2種の対物と接眼の組み合わせ展開という構成になっていると思われます。

覗いてみて、まず感じるのが、アイレリーフと瞳径の差、WP6x30SB-D(以下6x30)がアイレリーフ15mm瞳径5mm、WP8x30RC-D(以下8x30)が18mmと3.75mmです。実際はアイレリーフの長いはずの8x30が瞳の位置のシビアさ(ブラックアウトしやすさ)もあって、長いようには感じられず、さっと構えたときの覗きやすさは、6x30に分があります。
最短合焦距離は個人差があるとは思うのですが両機とも5m付近で充分合焦し、差異を感じません。合焦範囲の広さというか奥行きは、6x30の驚くほどの範囲に比べれば、8x30はやや狭いように感じますが、その差は、8x30の視界がより広く拡大されている為に合焦していない部分がよく分かるといった感じです。ちょうど窓の外に少し雪が舞い始め、遠近に降る雪のそれぞれのボケ具合と密度で、よく確認できました。
重さ、構えやすさは6x30の650gに対し8x30は760gと重いはずですが、良質なラバーコートのおかげか、8x30に僅かに分があります。特に手持ちでブレの少ない、両脇を締め、伸ばした小指から中指の腹でプリズム部分を捧げ持ち、人差し指と親指で接眼部を軽くつまんで親指を眼窩の下の頬骨部分に当てて安定させる持ち方では、8x30のほうがずっと保持しやすい感覚です。
肝心の見え味ですが、100mくらいまでは、コントラストやヌケにさしたる差異を感じませんが、300mからそれ以上になると、早朝の朝靄が抜けきっていない所為かもしれませんが、より6x30の視界がクリヤです。ただその差も倍率による差以上には感じられず、実際、夕刻になって、逆光っぽい条件では、どの距離に於いても差異は少なくなりました。
倍率の差は、手ブレのしやすさにも、遠方の見えやすさにも、色収差にも如実に表れています、が両機とも中央部の見え味はかなり良好です。遠方の航空機のシルエット、旅客機3機、小型セスナ1機をとっかえひっかえ追いましたが、8x30のほうが機影を捉えるのも、機影の判別(翼型など)にも優れています。視界内の歪曲収差は、遠近のビル群で確認しましたが、倍率なりで8x30のほうがきつめです。
見掛け視野の広さについては、公開されているスペックのうち、より有効桁数が細かい1000m視野と倍率で計算すると、6x30が1000mで148mなので、実視界8.46°、見掛け視界(新JIS、ISO)は47.9°、8x30が同じく139mなので実視界7.95°、見掛け視界58.1°と10°の差があり、それは倍率との相乗効果で、視界の迫力に差が出ます。ただし、よく云われるように8x30の周辺視野の画質低下は6x30のそれよりもやや大きく、特に最辺縁部はぼやけます。明るい環境下において、眼球のみを動かして、広い視界の最辺縁部を見ようとすると、私の場合では瞳がスイートスポットから外れてしまい、肉眼視野の明瞭域で8x30の辺縁部を見ることは殆どありません。双眼鏡を固定して、目をずらして辺縁部を見るようにすればその乱れ具合が分かりますが、手持ちで、対象を追う場合、周辺視野の悪さは殆ど気になりません。
実際に6x30と8x30をとっかえひっかえ見比べてみて、双眼鏡の視点を一点に固定して視野内を隅々まで見るような場合には6x30のほうが優れています、細密な風景画を見るようなイメージです。
手持ちであちこち鳥を追ったり、索敵したりするような場合、8x30のほうが優れています、何より大きく見え、連続して双眼鏡を振って(向きを変えて)いると、ブレも全く気になりません、中央に強いモチーフのある印象画を見る感じです。






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1 コメント

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亀レスですみません (MK52)
2013-01-22 00:22:41
最近何だか雑事が多くて、すっかりご無沙汰しておりました。

勝間のWP8x30RC-Dと言うのは、実はそれ以前にもあった6x30の鏡体を使い、接眼レンズの設計を変えて8x30にしたモデル(最初はWP6x30と同じシボ革タイプ、一時期一般向けに販売されていた)を、1980年代ぐらいからラバーコートの外装にして、更に広角仕様にした物(この時点でまた、接眼レンズの設計を変更した?)ですね。比較的有名なのは勝間で製造し、tascoのブランドで米海兵隊に納入された物で、それから同じ仕様のサダム・フセイン時代のイラク軍用というのを写真で見たことがあります。
もちろんこのタイプの最大のユーザーは何と言っても日本の陸自でしょう。今でも使っているらしく、最近では1月13日に陸自が習志野でやった降下訓練(?)で、防衛大臣がそれを使って観戦していました。でも現在の陸自の物は一般販売の物と形は同じですが、軍用ですからもちろんレチクルが入っているのと、それから測距議などのレーザー光線から眼を保護する「レーザー・フィルター」が装備されているはずです。「レーザー・フィルター」が入ると、ピンクとかブルーの「色被り」が酷くなって、また明るさも犠牲になりますから、今の軍用双眼鏡と言うのは全く一般ユーザー向けではなくなっています。

 勝間光学さんではWP8x30RC-DとSS10x50SK-Dの接眼部が同じだと言っていたということですが、僕の想像ではおそらく8x30の方が先でしょうね。何しろ8x30と言う規格は、戦後6x30に代わって普及して来た軍用双眼鏡の標準規格ですから。ただ同じ8x30でも何度か設計変更をして、特に広角設計にした段階でSS10x50の接眼部を流用したということがあるのかも知れません。

 6x30はもう2年以上使っていますが、他の双眼鏡と比較したことも無いため知りませんでしたが、公称値のアイレリーフと実際の感覚的な見易さと言うのは違うものなんですね。確かに6x30はさっと構えただけで、視野が「一発で決まる」という感じが非常に良いですね。もう1台使っている20年以上前の「ニコンE10x35」は広角設計(実視界6.6°)でアイレリーフは長めのはず(具体的な数値は)なんですが、確かに無造作に構えると瞳の位置が決まらない感じがします。

 8x30と6x30の比較を随分詳しく書いていただき、かなり具体的に分かったように思います。一長一短と言うか、やはりかなり違った個性を持った2種類の双眼鏡ということのようですね。強いて言えば、8x30の方はラバーコートの外装とか、広い視界による動的な観察に適した特性からすると、やはりより軍用に特化したモデルだということでしょうか。
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