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全国一般東京東部労働組合の記録

旅行添乗員の残業代で労基署がHTSに是正指導!

2007年10月03日 08時58分52秒 | 添乗員・旅行業界

「みなし労働は認めない」
「添乗員に残業代を払え」

阪急トラベルサポートに労基署が是正指導出す!

NHKテレビニュース動画
http://www.jca.apc.org/j-union/movie/index.htm

すべての旅行添乗員のみなさん!阪急交通社の子会社である阪急トラベルサポート(HTS)を、私たち全国一般東京東部労組HTS支部が労働基準法違反(残業代未払いなど)で申告していた件で、三田労働基準監督署は10月1日、HTSの中家久年社長に対して文書で「残業代を支払いなさい」との是正勧告・指導を出しました。

添乗員が1日18時間働こうが19時間働こうが、残業代を1円も支払ってこなかったHTSを含む旅行業界に対して「違法行為(労基法37条)」と、ついに国(労基署)が断定したのです。業界が残業代不払いの理由にあげてきた事業場外みなし労働については「認められない」との結論を下しました。

1日8時間を超える労働契約は無効であること、1日8時間・1週40時間を超える添乗には残業代を支払うこと、休日労働・深夜労働の残業代を支払うこと、残業代は日当を8時間で割った額に法定の割増率をかけた額を過去2年にさかのぼって支払うこと、飛行機やバスなどに乗っている間も労働時間と認めることなど、私たちの主張を全面的に認めた画期的な内容です。

申告したのは、阪急交通社の海外・国内ツアーにHTSの登録型派遣として働いている添乗員6人です。いずれも今年1月に結成したHTS支部を代表する組合員で、それぞれ過去2年分の残業代として400万~600万円を請求しています。

今回の労基署の是正指導は、阪急交通社だけではなく、JTB、近畿日本ツーリスト、HIS、クラブツーリズムなど各社のツアーで同じ働き方をしている全国1万人以上いるすべての添乗員に当てはまるものです。

添乗員の労働時間については、業界団体の調査でも国内ツアーで平均14時間、海外ツアーでは10時間から16時間以上が95%を占めています。1日8時間という労働時間の原則は適用されず、「超」がつくほどの長時間労働を強いられています。

それにもかかわらず、添乗員の日当は国内平均で9212円、海外平均で12743円、平均年収は230万円にしかなりません。いま話題の「ワーキングプア」(働く貧困層)の典型例です。

こうした長時間労働と低賃金の原因となっているのが、労働時間の例外である事業場外みなし労働という制度(労基法38条の2)を旅行会社が無理やり添乗員の仕事に当てはめることによって「どれだけ働いても残業代はゼロ」としてきた業界の長年の慣行でした。

実際、私たちの運動に追いつめられたJATA(日本旅行業協会)、TCSA(日本添乗サービス協会)、サービス連合の3団体が今年2月に「みなし労働を認めろ」と厚生労働省に申し入れていました。こうした業界側の主張に今回、労基署はきっぱりと「NO」を突きつけたのです。以下に、是正指導の文書からその部分を抜き出します。

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添乗業務に従事する派遣労働者の労働時間は、事業場外みなし労働時間の適用をしていると説明がありましたが、事業場外みなし労働時間制の対象となるのは、事業場外で業務に従事し、使用者の具体的な指揮監督が及ばず、労働時間の算定が困難な業務です。貴事業場において、添乗業務に従事する派遣労働者については、アイテナリーや運行指示書によって具体的な指揮を受け、添乗日報により労働時間の把握が可能であること、アイテナリーや運行指示書に定められた旅程通りのサービスが確実に提供されているか否かを管理すること、またサービスの内容の変更が必要な場合における代替サービスの手配その他措置を講ずることを業務としていることから、行程の全期間について明らかに労働を提供しない時間を除いて労務の提供が求められていると認められること、さらに交通機関乗車中であってもマニュアルなどを通じて業務指示が出ていることから、乗車中の時間も労働者が自由に利用できることが保障されている時間とは認められず、当該業務に従事する労働者については事業場外みなし労働時間制の対象とは認められません

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私たちが呼びかけた「添乗員への偽装みなし労働を許さない」という全国署名運動に協力してくれた個人・団体をはじめ、このブログで応援してくれたみなさんのおかげです。本当にありがとうございました。

このほか労基署がHTSに出した主な是正指導は次の通りです。

・年次有給休暇を付与すること
・打ち合わせ、精算、対客業務を実労働時間に応じた賃金を支払うこと
・労働条件の書面による明示をすること
・添乗員の就業規則と36協定を作成すること
・長時間労働の添乗員に医師の面接指導など、安全衛生上必要な措置を講じること

いずれも「添乗員に人権を」とのスローガンで運動してきたHTS支部の主張に沿った内容です。労基署は会社に対して、10月25日までに是正し、その結果を報告するよう命じています。

HTSの添乗員のみなさん!今こそHTS支部に参加し、残業代支払いをはじめさまざまな権利を会社に認めさせましょう。全国の添乗員のみなさん!それぞれの会社で支部を結成し、HTS支部とともに立ち上がりましょう。

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49 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (大阪)
2007-10-03 09:37:30
これはスゴイ。待ちましたね長く。
労働時間の事で争いが予想されますが、それにしても
大きな大きな成果であります。おめでとうございます。
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ありがとう (トラサポ添乗員)
2007-10-03 11:32:07
委員長はじめ本部、支部の皆様に心より感謝申し上げます。
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感謝!感激! (現役添乗員)
2007-10-03 12:00:29
皆様、本当に有難うございます。
うれしくて涙が止まらない。

本当に有難うございます。
返信する
どうなるのでしょうか・・ (派遣添乗員)
2007-10-03 13:00:05
みなし労働が、国(労基署)で違法行為(労基法37条)と認められ、過去2年にさかのぼって支払うこととありますが、本当に払ってもらえるのでしょうか?
派遣でも払ってもらえるのでしょうか?
何も言わなければそのままにされそうな気がします・・。言う勇気もなかなかありません・・。派遣会社はどこまできちんとして頂けるのか今後に期待します。
また、派遣会社での情報をお願いします。
返信する
皆で一緒に! (Unknown)
2007-10-03 13:00:15
とうとうやったね! 労組のみなさまおめでとうございます。

みんなも恐れないでどんどん主張しようよ!
考えてみれば当然の権利ですよ。いままで仕事をはずされることが怖くて何もいえず、それをいいことに業界は無理難題を押し付けてきた。
非情なのは、それが一社ではなく全社が申し合わせたように添乗員の本来の収入に「たかって」いたのだ。
(まるでハイエナのように・・・・・)
払うべきものを払わず、搾取してきたわけだ。こんなことはもう許さないぞ!

皆! 各社の添乗員! 立ち上がるぞ!
返信する
やっと権利が認められた! (組合員です。)
2007-10-03 13:58:09
申告してから4ヶ月余り、異常・異例ともいえる長い時間待ち続けました。
ようやく私達の正当性が公的に正式に認められたことになります。
署名やビラ巻き、ここでの意見・・・様々な多くの方々の協力なしには得られなかった権利です。
本当に有難うございました。
これからも応援を、どうぞよろしくお願いします。

2年に遡った未払い残業代を取り戻すのにはあと少し時間をかけなければならないと思いますが、もっと大切なのは、この先の残業代等が正当に支払われるようにすることです。そしてその状態を「当たり前」にしていくことです。
これまでの動力を無駄にしてはなりません。
そして当事者である添乗員の仲間ならなおのこと、自分のことだから、この火種を消沈させないためのこと、考えてください。
数は力。添乗員の立場からの意見を多岐に渡ってより力を持たすためにも、私達は、皆さんの組合への参加を呼びかけます。
ご連絡をお待ちしています!
一緒に意思表示をしましょう!

返信する
おめでとうございます! (CT添乗員)
2007-10-03 14:14:47
組合の皆様お疲れ様でした。

諦めかけていたので、本当に嬉しいです。

日本も捨てたもんじゃないですね。

クラツーの添乗も変わるかな?

やっぱりHTSさんみたいに組合つくらないと知らん顔されるのでしょうか?

ちょっと心配です…。
返信する
希望の光 (現役添乗員)
2007-10-03 16:27:19
みなし労働廃止、ヤッターバンザイ!です
本当、その通りじゃありませんか
私たち添乗員は、そのツアーごとにレポートだって書いて会社に提出しているんです。
それによって、どのくらいの残業に当たっているか?何時間労働を強いられているかが一目でわかります。
それを、これまでは、軽視されてきたのです。

内勤者の人間には認められている残業手当、それが添乗員にも今こそ認められる。
労組の方々のお力添えのおかげです!!
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なぜ? (Unknown)
2007-10-03 17:02:12
『是正勧告』ではないのですか?
返信する
「なぜ」に対する回答 (HTS支部担当スタッフ)
2007-10-03 17:16:00
今回の是正指導は、細かく言えば「是正勧告」と「指導」の両方が出ています。問題の残業代未払いについては、「労基法37条1項」と「労基法37条3項」で是正勧告書を出したうえで、その理由などについて指導票で説明しています。そのほか「労基法15条」(労働条件の明示)、「労基法89条」(就業規則の作成)についても是正勧告書が出ています。
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