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ワタミ過労死裁判 遺族の意見陳述(1)

2014年03月25日 10時59分34秒 | ワタミ

(写真=裁判後の報告集会で声を詰まらせるワタミ過労死遺族の森豪さん)

ワタミ過労死裁判第2回期日の支援傍聴と報告集会参加をお願いします!
ワタミ過労死裁判 父・森豪さんの意見陳述

居酒屋チェーン「和民」で過労死した森美菜さん(当時26歳)の遺族がワタミと当時社長だった渡辺美樹参議院議員らを相手取って起こした裁判。2月17日に東京地裁で開かれた第1回口頭弁論で遺族が行った意見陳述のうち、森さんの父・豪さんによる意見陳述を全文、以下に掲載します。次回、母・祐子さんの意見陳述を掲載します。

第2回口頭弁論は3月27日(木)午後1時30分から東京地裁705号法廷で行われます。裁判終了後には今回も弁護士会館509号で報告集会を行います。皆さんの支援傍聴と集会参加をお願いします。

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意見陳述書

東京地方裁判所 民事第36部合議2B係 御中

上記当事者間の上記事件について、原告森豪は、次のとおり意見を陳述します。

平成26年2月17日

原告 森 豪

1 私の娘、森 美菜は、2008年4月1日ワタミに入社した後、2か月余りで、亡くなりました。なぜ、2か月余りで死ななければならなかったのか。警察からの知らせで駆けつけた私たちに、警察は、聞き込みをしたが、死因が分からないと言い、墜落死として処理し、約1年後に自殺としました。なぜ死んだのか。その原因を、ワタミでどのような仕事をし、どのような生活をしていたのかということを、私たちは問い続け、その結果、娘の死の原因がワタミの過酷な業務にあり、娘を死に至らしめた責任がワタミにあることが明らかとなり、ワタミという会社とそのシステムをつくりだし、運営した者に損害賠償を求めるために提訴致しました。

2 娘が勤務した当時のワタミの会長、渡邊美樹氏は、娘の葬式に、警察も分からなかった死因を「心の病み」とする弔電を送ってきました。その「心の病み」について、労働局の審査官は、会社の業務によりもたらされた精神状態であることを明らかにしましました。更に、渡邊美樹氏は、葬式後しばらくして、「すべての責任は私にある」と私たちに手紙を送ってきました。この「責任」を、他の被告らとともに果たすことを求めるのが、私たちの提訴の目的です。

3 私たちは、娘の死の原因を具体的に知りたい、その遺族としての強い一念から、葬式後ひと月ほどして、娘の2か月余りの期間の具体的な行動を調査し、報告するように、ワタミに要請しました。そのワタミによる最終報告を基礎に、私たちの調査による修正を加えて作成したのが、今回提出した行動表です。

4 私たちの調査、そして労基署、労働局の審査官の調査、審査官の最終的な報告書である決定書、さらに簡易裁判所の民事調停で分かったことがあります。それは、娘の同期の女性が、会社を辞めて言った「言うこととやっていることが違う」という言葉に表現されています。娘が、娘なりに、食と農業の大切さを思い、社会奉仕的な仕事にもつきたい、多くの人と接したいという思いから選んだワタミという会社は、夢に満ちた会社である、「ありがとうを集める」会社である、働きがいのある会社であるとの宣伝文句の裏側に、従業員の過酷な労働実態を隠していました。表と裏が違うのがワタミという会社です。

5 娘が事前に知らせて欲しかったとレポートに残したように、入社前にどのような業務をするのか、店舗での必要な作業の実態の説明もなく、労働契約書で勤務実態や労働条件等を説明することもなく、店舗業務に十分な事前研修もないまま店舗に配属して、客に料理を出しながら覚えていくというやり方で娘に負担を加え、所定労働時間8時間、週休2日制と入社前に説明しながら、営業時間が勤務時間だと言い、店舗勤務の最初から連日の長時間労働・時間外労働を強制し、休憩も休日も十分に与えず、勤務時間外に強制的に購入させた渡邊氏の著書や課題図書のレポート提出、理念集の暗記テストなどを強制し、研修会やボランティア活動も、任意でなく強制しました。もっとも許せないのは、閉店後にすぐに帰ることもできない、始発まで電車を待たねば帰れない社宅を娘にあてがったということです。そのために、娘の負担が異常に増加し、疲労を深め、心身の制御ができなくなるほど疲労困憊した状態で亡くなりました。

6 2008年によくわからないまま行った労災申請が、労災不認定となり、労働局の審査官への審査請求によって、2012年に業務上の死亡ということで労災と認定されました。そのことに対し、渡邊美樹氏は、「労務管理ができていないとは思わない」とツィッターで述べ、「すべての責任は私にあります」と言った手紙の言葉を否定しました。渡邊氏の弔電にあった「心の病み」は、審査官により、業務に起因する「不適応障害」と説明されました。

7 労災認定後、ワタミとの交渉に於いて、ワタミという会社の従業員、担当者、役員等は出席せず、代理人との話合いでは、労働実態は分からないことに私たちは気づき、会社の担当者を交えた直接交渉を求めました。しかし、ワタミは、これを拒否し、加害者が被害者を裁判所に呼び出すという形で、簡易裁判所での民事調停の申立をしました。その調停申立理由を「損害賠償金額の確定」とし、責任があるから賠償するという趣旨を言いながら、調停の場では、「安全配慮義務違反はない」と言って娘の死についての責任を否定し、「労災の決定を重く受け止める」と言いながら、労災認定をした審査官の判断根拠の一つひとつを否定し、労災決定の内容を否定しました。実態が明らかにならなければ、金銭の話はできないと、私たちは娘の死に至った労働実態の説明を求めましたが、ワタミが調停の場で行うと約束した「真摯な対応」は見られず、ワタミの説明では、娘の死の原因が明らかになることはありませんでした。これでは、死んだ娘も浮かばれないと思い、提訴を決意しました。

8 娘が突然放り込まれた労働環境は、娘の人権、生活権を奪うほどの過酷なもので、このような労働環境をつくり、運営した渡邊美樹氏らの経営陣とワタミという会社が、娘を死に至らしめました。被告らには、娘を死に至らしめた責任があり、その賠償を求めます。

9 私たちは、娘が死に至る前に、「五里霧中」と書き、疲労困憊のなか、入社以前に抱いたイメージとまったく違う会社の実態に疑問を抱き、夢を裏切られた絶望的な状態で死んでいった娘の魂が安らぐことを切に願っています。娘の魂を安らかにする判決をお願いしたいと思います。

以上

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<裁判第2回期日>
■日時:2014年3月27日(木)午後1時30分
※10分前に直接法廷に来てください。ただし、座席の関係で傍聴の制限がありえますので、その際はご容赦願います。
■場所:東京地裁7階 705号法廷(東京都千代田区霞が関1-1-4)
※東京メトロ丸の内線・日比谷線・千代田線「霞ヶ関駅」A1出口から1分

<報告集会>
■日時:2014年3月27日(木)午後2時ごろ
※裁判の終了時間等により多少前後する可能性があります。
■場所:弁護士会館5階 509号(東京都千代田区霞が関1-1-3)
※裁判終了後に徒歩で移動します。

<連絡先>
全国一般東京東部労組 書記長:須田光照
電話 03-3604-5983

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