KEIの珈琲。。。

自家焙煎珈琲店開店を夢見ての記録ブログ。

しかし色々重なり、現在一休み。
今は、その時の想いの記録帳です。

一杯の珈琲。

2007年01月16日 | 日々、あれこれ。
お店を開ける日の朝、必ず、一杯出しの珈琲を淹れます。



その日の体調や、その他、重なる要因を与して淹れていたのは
少し前のこと。
今は、在庫の様子を見て、その時その時で違う珈琲。
今日はたまたま、『冬ブレンド』。
厳密に言うと、商品(冬ブレンド)の残り物。



以前、バランス悪く、納得行かず・・・で、商品として封印した、
袋開けず終いの『自己』返品商品。
完全密封とはいえ、時間はそれなりに経過。
他の豆に関しても、以前から試してきたことではあるけど、
納得いかずの廃棄は、ここの所まず無いと言って良かっただけに、
多少心に引っかかりつつ、見過ごしてきました。

『今、どういう状態にあるのか』

形式上『賞味期限』を提示してありますが、キチンと封してあれば
そうそう風味が劣化しないことは、自分の豆に関してはあるつもり。
他店製品は、分かりませんが・・・。



それでも自身、「失敗」と思っているだけに、少々懐疑的に・・・

銀色の封を開きます。



ところが予想外のインパクトが、目の前に顕れました。
ジッパーを開くと、想像以上に芳しい香りが、フワッと広がります。
失敗と思っていた香芳の一部の角が、大いに取れ、
珈琲香の甘味を中心としたアロマが、部屋を包みました。
早速、淹れてみます。

15g、ネル、一杯出し。
これが私の基準。

20、30gと多く使い、粉をいたずらに細かくはしません。
飲み方は色々ありますが、これが最もハッキリした味であると、
私は考えています。
もちろん、普通に淹れるときのみの、話しですが・・・。




粉に染み込むお湯は、次第にセピアを思わせる繊細な泡となり、
美味しそうにネルの中に浮かびはじめます。
けしてサラサラ感はなく、珈琲に含まれる旨味のエキスが
互いに引き寄せあって、『ふうわり』と光ります。
そこから立ち上る香芳は、ココアにも似て、あくまで『甘味』を
中心としたアロマが立ち上りました。

この香り。

これを閉じこめて、さらにこの香りにクロスするような味を
ここから落とさないと、結局普通の珈琲に落ち着いてしまいます。
少々気を使いながらの、抽出となりました。



珈琲良質成分はけして多い物ではなく、淹れ方次第で如何様にも
変化します。
もちろん、焙煎という化学変化や、珈琲豆そのもののポテンシャル、
その他基礎的な要因でも、大きく変わってくるのですが・・・。





そして、淹れ終わりました。





当時の焙煎の名残が、香りの中に溶け込んでいますが、それは
嫌味なレベルではなく、甘味を太い柱とした苦味のフレーバー。
口に含むと、トロッとした感触から、香りに追随した旨味が、
パッと広がります。
そして、いつまでも口にまとわりつくことなく、消えていきます。


旨い、珈琲です。


・・・当時、失敗と思っていたものからのサプライズに、
朝から気持ちは上向き。
やっぱり珈琲は、キチンと応えてくれます。

究極の所、お客様が感じてナンボなので、今は『珈琲』として
商品にできる環境が無い以上、端的には自己満足の世界。
でも、旨い物は旨いのです。



私の珈琲豆販売サイト『KEIの珈緋』には表記したのですが、
予約購入でかつ、工房(お店)まで取りに来てくれた方には、
無料でお淹れするサービスをいたします。
『喫茶店的営業』を行いますと、設備的に改装は難しく、
近隣理解も必要になってくるので、現在の所ハードルが高いのです。
そこで、
『購入でかつ、来ていただけた方。』
という、限定をしております。
どうぞご了承下さい。






先日、近所の方がやってきて
「飲ませてくれませんか?」
と仰ってきました。
見ての通り、部屋は片づきつつあるものの、飲食は未整備。
それでも良ければ・・・と、時間を戴いた上で、お出ししました。
その方と、ざっくばらんに話しをしました。
「ここまで出来るのが理想ですが、まだ難しいのですよ」と。
「ここまで・・・」とは、もちろん、珈琲をお出しすること。
いわゆる、喫茶業です。

その方は、かなり年輩の方。
近頃のリタイアメント(定年退職)組と呼ばれる年代です。
最近、退職に備えて趣味を持つように・・・と、色々話題が出ますが、
みんながみんな、慈善活動に参加したり、サークルに参加したり、
その他多数派の集まりが好きな訳無く、小さな時間を、
自分の裁量で過ごしたい方もいるわけです。
そんな、世代の抱える話を語りながら飲んだ珈琲は、その方に
どのような感触で伝わったのか、知る由もありません。
私自身確認しているので、『苦湯』でないのは間違いありませんが、
ただ、飲み終えたときに、感触を思い起こすような、
そんな味でありたいと、つくづく感じました。


一杯の珈琲。


それは、お茶を点てるのにも似て、気持ちを差し出すもの。
とかく難しい蘊蓄や、自己満足に溢れがちな飲み物だけど、
何か感じるような『趣向品』でなければ、珈琲でなくなる。

「また来て下さい」

そう笑って、お送りできるような時間の友でいたいと思います。






「自分の心が伝わっているか。」







これが、私の一杯出しには、重要なエッセンスです。











 ご意見、メッセージ、お待ちしています。

  (メッセージフォームに、つながっています。)





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13 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
なんかいい・・・ (NOB)
2007-01-17 00:30:41
最近、KEIさんの記事を読んでいると、動画が浮かんできます。文章力がどんどん上がっているのではないでしょうか?
リタイアされたご近所の方とのコミュニケーションが眼に見えるようです。とてもいい感じ。

豆をお店まで直接いただきにいけば、KEIさん自ら淹れる珈琲が飲めるという非常に高いプレミアがあると聞けば、声と顔が見えない状況でのコミュニケーションの楽しみを捨ててしまう勇気も湧きそうだったり・・・
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コーヒー (Emma)
2007-01-17 17:20:40
大好きなコーヒー
時間とお金があれば毎日のようにスタバやシアトルズ ベストに通う日々・・・
でもやっぱり納得のいかない日もあるわけで・・・
KEIさんのようにお家でおいしいコーヒーが飲めればなぁ~と思わない日はない!!!

今度日本に一時帰国したときに伺おうと思う今日この頃
Blogを読んでいるとなんとなく実家と近い気がするのです(^-^)
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Unknown (チーズくま)
2007-01-17 21:45:48
チーズやワインにも共通するところがあるかも…と思いながら読ませていただきました。
どちらも農産物加工品ですが、原料の大切さ、原料を作る自然環境と人の手間、原料を加工する人、熟成する人の努力と愛情が、おいしいものを作り出すのですね。
大事に味わい、その時間を楽しみたいと思います。
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KEIより。 (NOBさんへ・・・。)
2007-01-18 09:35:11
実際の姿が貧弱なので、文章で惹きつけるべく、精進しています。(爆)
冗談はさておき。
お褒めいただいて、恐縮です。
こういう『エッセイ』的な文章を書いているときは、日記を書くよりも短時間で書き上げています。
自分の姿を、第三者的なイメージで書いているので、他の方にも伝わりやすいのでしょうか。

NOBさんのお料理を見ている限り、私の珈琲でなくても、お茶やその他、趣向品も大切に淹れておられるでしょうから、私よりもよい入り方しているかもしれません☆
『見えない状況でのコミュニケーション』
近頃は、いろんな交わりの形がありますので、ご無理はなさらずに・・・。
現状、不定期の開店です。(週末、ほとんど開けられていません)
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KEIより。 (Emmaさんへ・・・。)
2007-01-18 09:43:35
えっ?
ご実家、お近くですか!?
何かご縁がありそうですね、宜しくお願いいたします♪

Emmaさんが、久しぶりに実家に帰り・・・
「最近、近くに変なお店が出来たのよ。暖簾出てるけど、『珈琲』だけじゃ何しているか分からないし、怖いわね。。。」
と話しがあったら、間違いなく我が家のことです。(爆)

お店というより、部屋。
しかも不定期でご迷惑おかけしますが、気が向いたら、どうぞ。
こちらこそ、楽しみにしています。
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KEIより。 (チーズくまさんへ・・・。)
2007-01-18 10:00:19
チーズ、ワイン・日本酒大好き。
スコッチウィスキーは、心の友です。
某・菓子会社で色々賑わっていますが、食品の根元は、作り手のこだわりと愛情があってナンボ。
まだまだ未熟な私ではありますが、愛情だけは負けないつもりで携わっています。
これからも、宜しくお願いいたします。
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着実に・・・ (かよ)
2007-01-18 15:11:28
KEIさん、こんにちは。
少しずつ着実に、夢に近づいているように思います。
KEIさんのこだわり、それとお客様。
いつか、繋がっていくと良いですね。
私もご近所なら、美味しい珈琲の溢れ方、教えて頂きたいです。
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KEIより。 (かよさんへ・・・。)
2007-01-18 18:12:33
近すぎるとなかなか自分の姿が見えないもので・・・。
「近づいている」と感じて頂けて、光栄です。
当の本人は、ブログで書いているほどのインパクトは感じていないのですが、何事も前向きに繋げていくことは重要ですよね☆

淹れ方のコツ、基本の『き』は、
「美味しくな~れ~」と、心に念じて丁寧にお湯を注ぐこと。
です♪

かよさんは、料理と家族を重ねて作られているので、珈琲も綺麗に優しく淹れられるはず。
私より守る人が多い分、私より美味しくはいる。
ですよ☆
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冬ブレンド。 (pingu)
2007-01-19 14:36:19
飲んでみたいですね~♪
普段はお茶も紅茶もコーヒーもいろんなものを飲んでいますが、コーヒーに関しては、確実にあと戻りできなくなってしまいました~(^o^;)
KEIさんのコーヒーは思い入れや情熱が加味されたスペシャルですよ~☆
美味しいコーヒーで始まる朝、理想です!

私も集団行動的なことが苦手なので、近くにおいしいコーヒーが飲める小さなお店なんかあったら、通ってしまいそうです。

KEIさんの心、しっかりコーヒーに込められていると私は思います(^o^)
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KEIより。 (pinguさんへ・・・。)
2007-01-20 16:29:50
責任感を感じる、お言葉。<後戻りできない
恐れ入ります。
お応えすべく、精進しますね!
小さいお店。
しかも、お出しできるお店。
これが、現状では最大の目標。
今住んでいるところでは難しいのですが、
具現できる方法を何とか模索するつもりです。
沢山の暖かいお言葉、有り難うございます!
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