水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

雑念ユーモア短編集 (77)信仰

2024年05月17日 00時00分00秒 | #小説

 人々が個人で見えない力を信仰するのは自由だが、その信仰の対象が個人ではなく複数の人になると、次第にその信仰は組織化され、増幅して問題となっていく。人類の歴史でもこの手の問題は政治や社会に大きな影を落とし、ここ最近でも我が国の国会で問題視されているくらいだ。この男、一小市民の禿尾はこの問題を解きほぐす解決策はないものか? …と、日夜、総理大臣にでもなった気分で偉そうに考えていた。そして雑念を重ね、ようやく辿り着いた結論が浮かんだのは、それから一年後だった。
『そうだっ!』
 何が、そうだっ! なのかは、知る人もない禿尾だけの閃(ひらめ)きだった。そこで、館川のそうだっ! と浮かんだ結論を掻い摘んで箇条書きにしてみよう。
 [1] 信仰の見えない力をプラス{+}と捉えれば、必ずマイナス{-}も起こり得るという信仰のデメリットとして新たな信仰を起こして流布すれば、プラスマイナス0{±=0}となり、問題の信仰を流布する力はやがて失速し、消滅する
 [2] [1]の新たな信仰は、問題視される信仰のデメリットを信仰として広めるのだからデメリットの解決は信仰以外の何物かをおいて他はない・・と、すればいい
 [3] 問題となる信仰は迷信だから、信が迷わないようにすればよい。すなわち、信を長く太らせることだ、信長公のように…
 大まかに箇条書きすれば、このようになる。
 雑念が起こす信仰の問題は解決策が非常に難しく、怖いのです。^^

                   完


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