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ファイナンシャル・ジャーナリスト 竹川美奈子のブログ。
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資産形成の大本命に!? 対象者拡大で個人型確定拠出年金の普及は進む?

2015-01-05 15:45:35 | 確定拠出年金

皆様、明けましておめでとうございます。
今年もできることを一歩ずつ、丁寧に取り組んでいきたいと思います。引き続き、お願い致します。

さて、2014年12月30日に与党の「平成27年度税制改正大綱」が公表されました。何回かにわたって、個人にとって気になる点をいくつか取り上げたいと思います。まずは確定拠出年金です。以下、ポイントを整理してみます。 

1つ目は「個人型DCの加入対象者の拡大」です。
これまで、個人型確定拠出年金(以下、個人型DC)については自営業者などの第一号被保険者と、企業年金のない会社員しか加入することができませんでした。
今回の大綱では、対象者を拡大し、公務員や専業主婦(第三号被保険者)、企業型DCを実施している会社の会社員、確定給付型企業年金に加入している会社員も利用できるようになります(企業型DCの加入者については、マッチング拠出を行わないこと、企業型確定拠出年金の規約に定めがあることが必要)。

これにより、確定拠出年金の加入対象は国民年金の加入者すべてとなります。これにより、どのような職業やライフスタイルを選択しても、長期的に、継続的に資産形成を行えるような制度になりそうです。これはよいこと! 個人型DCのセミナーを行うことがありますが、これまで継続性の観点から加入を躊躇する人も多かったからです。

 【個人型DCの掛け金の上限】

従来の加入者
①自営業者等:月6.8万円/年81.6万円
②企業年金のない会社員:月2.3万円/年27.6万円

新たに加入対象に
③企業型DCのある会社員:月2万円/年24万円(*1)
 (他の企業年金がない場合)
④企業型DCのある会社員:月1.2.万円/年14.4万円(*2)
 (他の企業年金がある場合)
⑤確定給付型年金のある会社員:月1.2万円/年14.4万円
⑤公務員                :月1.2万円/年14.4万円
⑥業主婦(第3号被保険者)      :月2.3万円/年27.6万円

*1・2企業型DCの拠出限度額は、それぞれ年額42万円、年額18.6万円となる

非課税の制度というと、NISA(少額投資非課税制度)に注目が集まりがちですが、個人型DCは、原則60歳まで引き出せないという縛りはあるものの、NISAに比べて税制上の優遇は手厚くなっています。老後資金用であれば、個人型DCは資産形成の大きな柱になると思われます。

制度の特徴や税制上のメリット等については、以前、投資信託の情報ポータルサイト「投信まとなび」で「個人型確定拠出年金」の連載をしていました。税制上のメリットについても記載しましたので、ご興味がある方はご一読ください。
 ●投信まとなび 竹川美奈子の「個人型DC」で自分年金

2つ目は「中小企業の場合、会社が個人型DC加入者に対して掛金を拠出することが可能となる」ということです。そして、この事業主が支払う掛け金(小規模事業主掛金)は企業型DCの会社掛金と同様、損金となり、個人の所得ともみなされません。
そして、3つ目は「ポータビリティの拡充」です。確定拠出年金から確定給付企業年金、中退共から確定拠出年金というように、退職給付制度間における資産移換が認められます。

以上のように、今回の大綱では、確定拠出年金法等の改正を前提として、インパクトのある改正が盛り込まれています。実現すれば、個人が資産形成を行う上で活用を大きな柱となりえます。もちろんこれは税制改正大綱なので、法案が通ればという前提です。また、スタート時期もまだ未定。確定拠出年金法の改正、システム対応などを経て、スタートするのは早くても2016年度、あるいは2017年度になるかもしれません。それまでにしっかりと制度を理解したり、投資の勉強をしたりして準備をしておくとよいでしょう。
また、現在、個人型DCを取り扱う金融機関は200社ほどありますが、積極的にPRしていないところも多いのが現状です。加入対象が拡大し、マーケットが広がることで、金融機関の口座管理料の見直しや商品の品ぞろえの充実なども期待したいところです。

<ご参考>
個人型確定拠出年金に関する提言】
様々な立場から現役世代の資産形成を支援するメンバーで「より多くの人が使える、よりわかりやすい制度」へ改善する提言をまとめ、12/1に塩崎厚労大臣に提出し、本日(12/3)記者発表も行いました。詳しくは以下をご覧ください。
すべての国民が使える 「確定拠出年金制度」を求める 民間有識者会議


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