今までに描いたはがき絵をいろは歌に沿って紹介していくシリーズが四周目に突入です。現代仮名遣いにない「ゐ」と「ゑ」はとばします。「を」と「ん」で始まるはがき絵もありませんので、全部で四十四作品を紹介する予定です。
四周目はお絵かきのチャットゲーム「あつまれ!おえかきの森」で「相方」なる人物と合作した投稿絵を中心に紹介していきます。いわゆる「はがき絵」として描いたものではありませんが、新たに解説文を付けて紹介していきますのでお付き合いください。
四周目の第三回目は「と」「ち」「り」の三つです。
『と』・・・トケイソウ
トケイソウの花をアップで描いて「時」という字をデザインして書き添えました。先にバックを黒で塗ってから絵を描きました。
トケイソウはトケイソウ科トケイソウ属の植物の和名です。めしべが三裂しているのを時計の長針、短針、秒針に見立て、花弁が円形に並んで放射状に配置されているのを時計の文字盤に見立てた名称です。特徴ある花の構造だと思います。果物のパッションフルーツの花でもあります。俳句では夏の季語になっています。
・江ノ電の柵は枕木時計草 松本 三千夫
・天国の時をきざむや時計草 鷹羽 狩行
・時計草時計回りに刻流れ 宮津 昭彦
『ち』・・・千鳥
千鳥はチドリ目チドリ科の鳥です。40種類以上いるそうです。この絵はコチドリという種を描きました。河原の石ころとそっくりな卵を産みます。卵やひなを狙う敵の目をくらますために、巣から離れてから飛び立ったり、親鳥がけがをしたふりをして敵の注意を引き付けたりすることがあるそうです。
千鳥は俳句では冬の季語ですが、このコチドリは夏を中心に活動します。かき氷の旗に「波に千鳥」の柄があしらわれていますね。あれはコチドリなのかもしれません。波を世間にたとえ、大波小波を夫婦で乗り越える意味から夫婦円満、家内安全を表す縁起の良い文様です。家紋にも採用されています。
「酔」という字をデザインして書き添えましたのは、酔った人の足取りがおぼつかないことを指す「千鳥足」という言葉があるからですが、波と戯れるようにつつーっと浜辺を走り、甲殻類やゴカイなんかを捕食している様子はおぼつかないどころか、大変すばしこく見えます。
・俊寛の枕ながるゝ千鳥かな 飯田 蛇笏
・楯に似し岩めぐり鳴くは千鳥かな 河東 碧梧桐
・子千鳥の蜘蛛より軽く走るかな 川端 茅舎
『り』・・・リーフィーシードラゴン
トゲウオ目ヨウジウオ科の魚、リーフィーシードラゴンを描きました。ドラゴンなので「龍」という字をデザインして書き添えてあります。褐藻類に擬態していますが、タツノオトシゴと非常に近い種です。タツノオトシゴ同様、オスに育児嚢があり、メスはオスの育児嚢に産卵し、オスは稚魚が自分で泳げるようになるまで卵や稚魚を守ります。
リーフィーシードラゴンも近似種のウィーディーイードラゴンも、タツノオトシゴも季語にはなっていないようです。他の季語と取り合わせて作句するとよいですね。
・春の海竜のおとし子拾ひけり 幸田 露伴
私はちりめんじゃこの中にタツノオトシゴを見つけて、マッチ箱に脱脂綿を敷いてそこに保管していたことがあります。どこかに無くしてしまいましたが、しばらくは宝物でした。
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