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「志」の英語教育

英語教育実践について日々の雑感を語ります。

案の定?

2009-01-20 04:30:04 | テスト
悪い予感が当たったというべきか、予想通りと言うべきか、残念ながらセンター試験自己採点の結果は低いものであった。普段は8割を切ったことのないような生徒が6割前後というケースも珍しくない。

ただし、これは勤務校に限ったことではない。近隣の他校の様子をうかがっても大して差はなく(むしろよりダメージは大きかったりする)、難易度がかなり上がったのは間違いないようだ。加えて、国語、数学ⅡBの主要教科が難化したことで、全体の平均も大きく下がっている。まあ、2、3日して大勢が判明するまでは何とも言い難いのだが。

しかしながら、たとえ全体平均が悪くて受験生皆が点を取れてなくとも、頭の中にイメージしていた予想点と大きくかけ離れた点を取ってしまうと、焦ったりショックを受けたりするのが当然だろう。

もし、本校3年生の皆さんが、これを読む機会があれば、一番大切なのは前向きな気持ちを忘れずに落ちついて今できることを着実に進めることだということをしっかり理解して欲しい。悪いイメージに自分の気持ちを支配され、憂鬱にモチベーションを抑え込まれるのがもっとも怖いこと。

過去を見ても、センター全体の平均が低いときの本校の進学状況は逆によい。今こそ、精神面で君たちの真価が試されているのだということをよく覚えておいてください。


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センター試験、どうでしょう?

2009-01-18 23:49:11 | テスト
センターが終わって、とりあえず筆記の方を拝ませていただいた。各予備校は「例年並み」か「やや難」という見方をしているがどうだろうか。3年を担当する年は、自分が教える生徒の顔が浮かんで、ついつい平均点の予想が低めになってしまうのだが、それを差し引いても、かなり厳しめの試験だったのではと感じている。

センター試験の問題作成者に知り合いはいない「はず」なので、言いたいことを言わせてもらいます。人間関係が壊れる心配はありませんので。

まず、第1問。ここの出題方法を毎年ころころ変えるくらいなら、リスニングの問題をもっと充実させようという発想にはならないのか。発音に関する明示的な知識を学ぶことにここまでの執着を見せる理由はなんなのでしょう?

加えて、問題に用いた語は本当に発音問題の中で聞くのに適切なものか? fragileとかsubtitleとか何%の受験生がその意味を知っているのか興味があるところ。また、absorb やcomfortなどorの問題はアクセントを揃えないと不細工なのでは?

続いて第2問。ごくごく基本的な語のちょっと変わった用法を聞くという手法は良くあるのだろうが、It runs in the family. はセンターの問題としてどうなのか? 弁別力は大丈夫? 

第2問Bもリスニング導入後に消えるのではと噂された問題であるが、今年も健在であった。よく、ここの問題は単に定型会話表現の知識ではなく、ディスコース力がカギになると言われる。今年は I'll tell you what. や I couldn't agree more. のような定型表現の知識がポイントになっておりちょっと違う印象。いったい何がやりたいのか・・・。

第3問Cは英文のリードをしっかり読ませるための仕掛けが素敵だ。特に3番は、リードを読まずにI could have joined the party I had とやってしまった受験生が結構いることだろう。でも・・・これだけ語数を増やして、作文代わりの問題にまで読解力を要求したものでしょうかね。

第3問Aは例によって語意想像の問題で、a can of wormsとsporadicが出題された。何となく全体の語彙レベルが上がったので、この程度の言葉なら知っているという受験生もそこそこいたものと想像する。おそらく、あまりにも難しすぎる語はやめておこうという判断になったのだろう。B、Cは比較的簡単だったので、ここを後回しにして時間が足りなくなった受験生が気の毒です。

第4問のA、問2のThere is no hope~だとかThere are almost no tree~ などは不細工な錯乱肢の典型。あり得ないから。その一方で、問3は「雨林の保護が開発よりも経済的に大きな利益につながる」という必ずしも一般的なスキーマ通りではない選択肢が正答になっていて、ちぐはぐな印象。

Bの問診票などは、まさに試験のために作ったという風情。アメリカにいる日本人が病院へ行かなければならない状況を想像してみたらいい。発症から6日たった後、8度5分の熱と頭痛、咳くらいの症状でわざわざ外国で病院へ行きますか? 8度5分の熱がそんなに重要な情報なの? 建築家のパラフレーズ力と測定したいはずのスキャニング能力との関係は?

第5問はかなり難化した印象。ここをドル箱としてあてにしていた受験生はボロボロになったかも。そもそも、最近のセンターの傾向は「易しめの問題を大量に」という方向性だったはず。しかし、今回の5のA、Cを見ると、記述の中の細かな誤りを探し出し排除させるという趣旨の問題であるように感じる。スピードと大枠の理解が大切だというのがセンター試験からのメッセージではなかったのか。

第6問は、昨年の問題よりは読みやすかった。でも、それはおそらく私が英語教育に対して普通の人以上の興味があるからだろう。問題から透けて見えるのは、発信のためには英語は英語を通して身につけるべきだというお上からのメッセージである。

なんだか新学習指導要領擁護論を聞いているような印象だったが、こんな場面でそんなことをステートメントとして流すのも、やっぱりせこいんじゃないでしょうかね?


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3年生の皆さんへ

2009-01-11 10:48:44 | テスト
早いもので今年もセンターまであと一週間を切りました。
3年生の皆さん、自分を信じて落ち着いて試験に臨んでください。

大切な試験ではいつもあがってしまうという人は、試験中に緊張したら深呼吸をしましょう。鼻から大きく息を吸ってゆっくりと吐き出すと、心拍スピードが落ちつき平常心を取り戻せるでしょう。

試験が終わる前にはマークミスがないか十分に確認してください。マーク欄が一つずれていたなどということは意外とよくあるものなのです。

試験が終わったら、済んだ試験のことは考えずに次の試験の準備をしましょう。自分ができたと思っても、(そうでなくても)友達に手応えを聞かないのが思いやり、あるいはエチケットです。

自分一人ではない。周りには一緒に頑張った仲間がいる。努力はきっと報われる。受験の神様はあなたの頑張りをずっと見てくれているはずです。


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センター試験は怖くない? その3

2008-10-07 07:10:26 | テスト
大学時代、ジャズピアノの上手な先輩が、自分は本番に弱いと悩んでいた。私たちはうまくいったときのイメージを持ち、そのイメージを自分のパフォーマンスの基準と考えるが、いつでもそれができるわけではない。本番では自分の持てる力の80%くらいしか出ないものだと初めから認識しておくことが大切。

スポーツでもそうだ。練習に負荷や緊張感が足りなければ本番で焦ってしまい失敗する。普段から真剣に集中して練習に向かうことが必要だ。集中力のない練習は逆効果になる。集中力を欠いて練習を繰り返せば、いい加減に取り組む姿勢が強化される。わざわざ失敗する可能性をあげるために練習しているようなものだ。

センター型の演習や模試でも同じこと。自分に負荷をかけ全力で取り組むことが必要である。具体的にはできるだけ速く解答すること。スピードだけ上げていい加減に取り組むのではだめだ。自分にできる最高のパフォーマンスを最短の時間でできるように自分に挑戦するのだ。卯城先生もファストリーダーがさらに速く読むよう意識させることの大切さを強調されていた。

演習の時に本番の75%の時間を目標に解答していれば、本番で80%の力しか出せなくとも、余裕を持って解答できるというものだ。

センター試験は怖くない? その2

2008-10-06 06:50:18 | テスト
センター型模試や演習の際のアドバイスからの続き・・・

センター試験の良問とは
 言うまでもなくセンター試験は大学への入学を志願するものを選別するために使われる試験である。大学は力のある学生が欲しいので、センター試験に期待されるのは、力のある受験生は高得点を取れ、力のない受験生は高得点が取れない問題である。当たり前のことのようであるが、これが意外と大切なことだ。下らない引っかけ問題や、裏をかいた問題は原則的に出せないということになる。
 
 例えば、広告の問題で表にあるそのままの数が正解になるような問題を作ったとする。そうすると、その他の可能性を考慮した上でその数字を選んだ受験生と、単にその数字があったからというだけでその数字を選んだ受験生に同じ評価が下ってしまう。これは、センター試験の役割を考えれば非常に拙いことだ。

センター試験では「言い換え」がポイントになる。
 実は数字に限らず、問題文中にでてきた表現をそのまま用いた選択肢は誤答である可能性が高い。理由は数字の場合と同じである。本文中に出てきた言葉と同じ言葉があるからという理由で選択肢を選ぶのは、問題が解けない受験生がいかにも用いそうな手段である。そのような受験生に得点を与えるのは好ましいことではない。

それではどうするかというと、言い換えを用いるのだ。逆に言えば、言い換えが用いられている選択肢は正答である可能性が高いことになる。

言い換えの方法1・・・品詞を変える。例えば本文中では動詞で用いられている言葉を名詞に置き換えて表現する。ただし、この手法は比較的簡単なため、誤りの選択肢(錯乱肢という)に使われる場合も多い。

言い換えの方法2・・・同意語を使う。このパターンはよくあると思う。例えば、put up with をstandやbearに置き換えるなど。逆に言えば同意語に置き換えられた場合にその語を知らないと正解にたどり着けない。センター型問題では選択肢中に使われる語で知らないものがあると致命的になる。語彙力を鍛えるべし。

言い換えの方法3・・・反意語を否定する。例えば、「テレビを見るときには部屋を明るくしろ」であれば、「暗い場所でテレビを見るな」という言い換えが考えられる。

言い換えの方法4・・・上位概念を使う。以前のエントリーにも書いたので参考にしてください。http://blog.goo.ne.jp/zenconundrum/e/b71a855aa942b3b3373d5cfe434ce5eb

センター試験は怖くない? その1

2008-10-05 17:09:07 | テスト
センター型模試や演習の際のアドバイスから・・・

1 センターで大切なのはスピード
 以前のエントリーでも書いたが、今のセンター試験では早く解答することが大切。目安は、第1問+第2問で15分弱、第3問で20分強、第4問+第5問で20分強、第6問で20分強。「センターの失敗」は時間配分を誤り、後半の読解問題に十分時間が割けなかったということとほぼ同義。それ以外は単なる実力不足かおっちょこちょいだ。

2 センター読解で要求される力とは
まず第一に、大切なところを拾って読む力、すなわち要約の力。スキミング。二つ目に、必要な情報を検索し、どこにあるかを素早く突き止めて読む力。スキャニング。そして、文の自然な流れを意識しながら読む力、先の展開を正しく予想しつつ読む力。談話の力。

3 センター第5問は
各パッセージの後半に答えの鍵となる情報が含まれる。前半に鍵が出たのでは大量の文章を受験生に読ませることができないので後半に置くのは当たり前。

4 センター第4問は
広告や図表に出てきた数は、原則的にはそのまま答えになることはない。それが答えになるようなテストで測れるのは、数字が認識できるかどうかという能力になってしまう。そのため、必ず計算が関わってくる。計算は「掛け算と引き算」など2重になっている場合があるので十分注意すること。(しかしながら、昨年正答率が低かったことを考えると、今年の問題は比較的単純な計算かもしれない)

TOEIC IP

2008-08-18 06:33:52 | テスト
先週末はTOEIC IPを実施。実質の受験時間は2時間だが準備や説明、片づけなどを含めると、どうしても午前中がまるまる潰れる。それでもなお、実施担当者には他ではなかなか得難いメリットがある。それはTOEICの疑似受験体験ができるということだ。

監督者はリスニングの流れ等の確認のために、問題冊子を開き中身を見ることが許されている。本番と極めて近い形でTOEICの問題を眺められるのはやはり有り難いことである。

以前に文科省の研修でTOEFLを受験したときは、ほとんど時間は余らなかった。英検を受けたときも時間に余裕があったという思いはない。果たして今回のTOEICはどうかというと、30分弱余った。もちろんマークシートへの記入は一切していないから、実際に受ける場合にはそれほどの時間は余らないだろうが。

試験の手応えは、答えに確信が持てない問題が10問弱といったところ。実際の誤答は5~10問くらいになるのだろう。実際に答案を提出してみれば何点くらいになるのだろうか。

これをいうと意外だという反応が多いのだが、実は私は今までにTOEICを受験したことがない。おそらくこれからも受験はしない。

TOEICは英検と違い合格・不合格がないので良いようだが、実は結構シビアだと思う。TOEICははっきりとした数字で結果が示されるので受け取った結果はそれ自体それ以上でもそれ以下でもない。「合格」の場合はそのラインを超えていることを意味するのであり、そのライン上にいることを意味するものではない。強いていうなら、TOEICにおける合格点は一つしかないのだ。

TOEIC IP実施します

2008-06-20 00:59:14 | テスト
主に3年生を対象に、夏休み中のTOEIC IP受験者を募った。今の3年生を教えるのは今年が初めてであるし、教えている生徒は学年の半分であることを考慮すれば、30名を超える受験希望者がいるということは志の高さの現れと見ていいだろう。

今の勤務校でTOEIC IPを行うのは今年が3回目。希望者のみの受験とは言え、地元の国立大学で人文系統を学ぶ学生の平均と変わらない校内平均になるのだから決して「高校生には早すぎる」試験ではない。

今までの結果から見ると、いわゆる難関と呼ばれる大学に合格する生徒の多くが600を超える。国公立大文系合格者の下限が400くらいだろうか。東大・京大クラスになれば700を目指したいところ。外大合格者は以外に点数の幅が広い。

海外経験のない生徒の最高点が750前後。ただし、700を超える子は英会話学校に通い続けているなどのプラスαの勉強が効いているケースが多いようだ。海外経験の長い子は900を超えることも珍しくない。

今年の3年生は、模試の偏差値でみると例年より若干高いので、TOEICのスコアがどうなるか興味深い。しかしながら、リスニング力には若干の不安もある。先日のマーク模試では苦戦をした生徒が多いようだ。まあ、今の時点ではそれも仕方ない。十分に指導していないのだから。

センター・リスニング導入後、学年によって結構詰めてリスニングを指導したケースと、それほど早くから練った対策をしなかったケースの両方があるが、最終的に大きな差になって現れることはないように思われる。業者のデータを見てもリスニングの得点分布にさほど大きな散らばりはない。

いずれにせよ、TOEICは生徒が普段体験する種類のテストとは要求される力の質が違うから、対策や実際の受験を通して、より深みのある英語力を身につけてくれることを期待している。

英語テストでスカベンジャ・ハント

2008-05-20 19:34:53 | テスト
前回に触れた勉強会の宿題について、参加者各々が提出したものをまとめたファイルが届いた。発音やアクセント、代名詞が指すもの、並べ替え、下線部訳など比較的オーソドックスなものが多いようだ。

そんな中で、案の定テスティングで有名な関西大学S先生お得意の「穴なし穴埋め」や「内容的間違い探し」などもいくつか見られた。実は私の提出した問題もちゃっかりこの方式を採用しているのだ。

しかし、さすがにそれだけでは芸がないので、基本的スタンスを同じくする出題のバリエーションをいくつか挙げている。

英文を読みながら答えを探していかなければならないので、個人的にはスカベンジャ・ハントと呼んでいる方式だ。詳細については勉強会のある今週末以降に述べたい。

とりあえず、基本スタンスだけ・・・
1)定期テスト(既習で意味はわかっているはず)なので内容を問う出題はしない。
2)いわゆる総合問題のように複数の出題形式を1題に組み込むことはしない。
3)試験中に英文を読まなければ解けないような出題を心掛ける。
4)日本語を使って答える出題はしない。
などといったところ。

これに加えて、今回の宿題はアイディア交換だと捉えたので、
5)通常よく使われる並べ替えや穴埋めなどの定番問題ははなし

同僚の間では非常に評判の悪いこの方式。理由は大学入試で見たことがないからだそうだ。定期考査なんだから大学入試と違って当然でしょと思いつつ、嫌われない範囲で少しずつ出題している。

勉強会に参加される皆さんの目にはどう映るのか興味あるところではある。

定期テストにおける和訳

2008-05-11 16:05:55 | テスト
ある方に骨を折ってもらって、とある勉強会に参加できるようになった。その会の「宿題」として長文問題を使って「定期考査」を作れという課題が出た。参加者間で作問アイディアを交換する材料とするわけだ。

定期考査の作問といえば、ちょっとした思いがあって、昨年は他校のいろいろな先生方にどのような考査問題を作っておられるか聞いて回っていたのだ。

きっかけは同僚の指摘である。それまで自分(あるいは自分の勤務校)はいわゆる「和訳」の問題を定期テストで出題することは極力控えていた。

ところが、ご年配の同僚が増え学年団を組む過半数の指導者が和訳を定期考査に課すことを望んだのだ。曰く、大学入試で出題される形式が定期考査で課されないのはおかしいと。

これに対しては真っ向から反対するという選択肢もあろう。しかし、一歩譲って考えてみるた。日本語で答えさせる問題は本当に定期考査では一切使うべきではないのだろうか。その可能性を改めて問い直す意味で、定期考査における日本語で答えさせる問題の意義について多くの方に聞いてみたいと思ったのだ。

結果的には多くの方が、「点数をとらせるための問題?」として、ある程度は和訳などの問題を組み込んでいるという答えだった。

そんな中で一番納得できた(そして予想どおりだった)答えは当時、筑駒にお勤めだった久保野先生である。

リーディングの力は一度読んだ教材では測れない。ただし、定期テストで全ての課題文を初見のものにすることはできない。そこで、既習の文を使った問題は前置詞やイディオム表現などを書き入れる問題にする。内容を問う問題はパラレルな文(章)を用意し、そこから出題する。

パラレルな文章とは、扱う題材に共通性がある文章や使われる語彙や表現に共通性のある文章である。インターネットがある現在では内容的にパラレルな文章は簡単に入手できる。教材によっては初めから付属している場合もある。

今では、定期考査においてもある程度は初見の文章を出題するようにしていて、そこから日本語で答えさせる問題も出題するようにしている。もちろん、たとえ初見の文であっても和訳を問うことには反対だという方も沢山おられるでしょうけど。