発見の記録

もふ太郎の投資記録

ケンブリッジ・アナリティカとは?

2017年02月23日 21時52分06秒 | 日記

 昨年(2016年)の政治イベントでの「大番狂わせ」とは、もちろんEU離脱となった6月の英国民投票と、トランプが当選した11月の米大統領選となりますが、そのどちらにも英国データ分析会社のケンブリッジ・アナリティカ(Cambrigde Analytica、以下CA)が深く関わっていたようです。
 
 CAとは選挙に特化したビッグデータ分析を請け負う会社とされていますが、実際はそのビッグデータ(有権者)の行動様式を把握して特殊な方法で各グループに分類し、それぞれのグループに最適な方法で働きかけ、「大番狂わせ」を演出するコンサルタント会社といった方が正確です。

 実際に昨年6月の英国民投票ではEU離脱の急先鋒だったファラージ・独立党党首(当時)のキャンペーンを請け負い、確信犯的なウソを含む放言と毒舌で想定外のEU離脱を演出し、直後に(ウソの責任を追及されないように)さっさと辞任させてしまいました。

 11月の米大統領選ではヒラリーを当選させないためのキャンペーンを請け負い、当初は無名のテッド・クルーズを支援していましたが、(そうでなかったらもっと早かったはずの)撤退を受けて共和党大会直前の2016年6月にトランプに「乗り換えた」ようです。

 また本選では実際にトランプを当選させるため、例えばテレビ討論でヒラリーを嫌な女と思わせるように、それぞれのグループに分類した有権者ごとに、違った細工を中継映像に刷り込むようなこともやっていたようです。

 CAの生命線は、この有権者の行動様式を正確に把握してグループに分類するところですが、それではこの分析のためのデータをどこから入手しているのでしょう?

 実は極めて簡単で、ソーシャルメディア(SNS)各社からユーザーの同意なしに「購入」しています。

 そして数あるSNSの中で最も「価値のある」情報はフェイスブックの「いいね」だそうで、ある人が10個の「いいね」をどこにつけたかがわかるとその人の行動様式がその平均的な同僚以上に把握でき、70個で親しい友人以上に、150個でパートナー(奥さんとか)以上に、300個で本人以上(?)に把握できてしまうそうです。

 つまり気軽にフェイスブックで「いいね」を押すと、それが貴重な情報となってCAに限らず行動様式分析に使われ、その先で膨大な収益を生み出していることになります。その最大の恩恵はもちろん供給元のフェイスブックにもたらされているはずで、もし最初からそういう目的でフェイスブックを創業し「いいね」を考案していたなら、マーク・ザッカーバーグは「悪魔級の天才」となります。
 
 話を戻しますが、このようなSNSの情報を使った分析手法は、ケンブリッジ大学心理統計センターにいたポーランド人のミハエル・コジンスキー博士が2013年に開発したOCEANという心理統計モデルであるはずです。

 「はず」というのは、その頃コジンスキーに英国の選挙マネジメント会社・SCL(Strategic Communication Laboratories)が接近したのですが、コジンスキーは胡散臭いので断っています。断られたSCLは同じケンブリッジ大学のアレキサンダー・コーガン教授と共同で開発したと公表していますが、中身はどう見てもコジンスキー博士のOCEANです。

 つまり完全にパクられたわけです。そしてCAはこのSCLから派生しています。

 そしてこのCAの最大のスポンサーは、クォンツ型ヘッジファンドの雄・ルネッサンス・テクノロジーズCEOのロバート・マーサーであるといわれています。

 天才数学博士のジェイムス・シモンズが1982年に創業したルネッサンス・テクノロジーズは、運用開始以来の年平均リターンが38%と「すさまじい」ヘッジファンドです。あのウォーレン・バフェットでも年平均リターンが20%と言われています。また東京市場でも暗躍しており、東京市場でますます存在感を増し「最強のヘッジファンド、ルネッサンス・テクノロジーズ」といわれています。

 さてそのルネッサンス・テクノロジーズを率いるマーサーは超保守派として知られています。最初からトランプを支援していたわけではありませんが、実際にトランプ政権でも同じ超保守派のスティーブ・バノン(CAの役員でもあります)をホワイトハウス首席戦略官に押し込み、トランプの基本政策に大きな影響を与えています。

 そしてCAは、来るべきオランダ総選挙、フランス大統領選挙、ドイツ総選挙に向けて密かに活動を開始しているようです。スポンサーがマーサーである以上、CAは必ず超保守的政党あるいは候補者を支援することになります。

本当に大丈夫なのか? トランプ政権

2017年02月17日 21時00分09秒 | 日記

 北朝鮮の金正男暗殺も気になりますが、残念ながら北朝鮮に関して信頼できる情報ルートがなく、記事にできるほど真実に接近できていません。ただ金正恩は間違いなく「地雷を踏んだ」と感じるため、近々記事にするつもりです。

 そこでトランプ政権ですが、表題はもちろんトランプ大統領の過激な言動や乱発する大統領令を心配しているわけではありません。トランプ政権の土台そのものが大丈夫なのか?という内容です。

 まず米国では大統領に属する行政権と、連邦議会に属する立法権が明確に区別されています。現在の連邦議会は上下院とも共和党が過半数を占めており、上下院共和党も「今のところ」トランプ大統領と大きく反目していません。ところがトランプ政権は連邦議会と政策協議する「以前」の状態なのです。

 閣僚(各省庁の長官)の議会承認は今週になってようやくムニューチン財務長官が承認され、15閣僚のうち9閣が承認されましたが、過去の政権では「とっくに」すべて承認されています。議会承認は上院だけで、定員100名(うち共和党が52名)の過半数を取ればいいだけですが、承認された各長官もほとんど過半数をわずかにこえただけです。

 さらにそれ以上大きな問題は各省庁で実務を取り仕切る幹部のうち、議会承認が必要な政治任用ポストが全部で693ありますが、先週末(2月10日)の段階で承認済みが8名、指名されて承認待ちも27名しかおらず、残り658のポストは指名すらされていません。

 2月10日の日米首脳会談で、懸念された通商・為替・金融で米国側から厳しい要求がなかったと安堵されていますが、単に米国側が実務の話ができる体制になっていなかっただけです。

 現時点におけるトランプ政権最大の問題点がこれで、大統領に属する行政権を行使しようにもその体制が全く出来上がっておらず、各省庁で実務が正式にスタートできるまで相当時間(3~6か月?)がかかりそうです。そのうち各省庁の業務停滞により大混乱となるはずです。

 そこでトランプ大統領は各省庁の体制が整うまで大統領令の乱発で凌ぐしかありませんが、もう1つ「気になる兆候」があります。それは補佐官や特別顧問など大統領を直接補佐するホワイトハウス事務局に権限を集中させ「側近政治」にしてしまうことです。

 この補佐官や特別顧問は議会承認が不要で、どうしても大統領選における功労者が任命される傾向にありますが、それだけ直接行政への関与は厳しく制限されています。ところが実際に各省庁の業務が停滞してくると、このホワイトハウス事務局が行政に大きく関与してくることになります。

 その「気になる兆候」の1つは、ホワイトハウス事務局で新設の首席戦略官・大統領特別顧問となったスティーブ・バノンは過激なナショナリストでレイシスト(人種差別論者)ですが、トランプ大統領はすでに1月28日にこのバノンを国家安全保障会議(NSC)の常任メンバーに昇格させています。

 トランプ大統領の外交に関する過激な発言は、すべてこのバノンから出ています。

 NSCは米国の安全保障に関する最高意思決定機関でありCIAもその傘下にあります。常任メンバーは大統領、副大統領、国務長官、国防長官、国家安全保障担当大統領補佐官などですが、バノン昇格の「あおり」で安全保障担当補佐官のマイケル・フリンが辞任に追い込まれました。

 補佐官就任前に駐米ロシア大使に、オバマ政権終期のロシア制裁は「心配いらない」と囁いたことが発覚したからとされていますが、そもそも米国はロシアに限らず駐米大使館の通信はすべて傍受(わかりやすく言えば盗聴)しているため、今ごろになって発覚したはずがありません。つまりこれは後付けの理由で、トランプ側近の勢力争いに敗れて放逐されたことになります。

 さらにもう1つの「気になる兆候」は昨年12月21日にホワイトハウス内に貿易政策を担当する国家通商会議(NTC)が新設され。そのトップに対中強硬派のピーター・ナバロが起用されています。最近はそうでもありませんがトランプ大統領の中国への過激発言は、このナバロから出ています。

 トランプ政権で重要な決定が「過激な側近」に委ねられる危険性だけではなく、その側近の勢力争いが過激化して空中分解してしまう恐れまであるのです。

 つまりトランプ政権の各政策が大丈夫なのか?ではなく、そもそも行政執行能力があるのか?と本気で心配になってきます。
 行政執行能力については、東京都の小池知事についても能力がないのではないかと心配していますが。

東芝が決算発表延期に至った背景

2017年02月15日 22時30分07秒 | 日記
 
 東芝は昨日(2月14日)正午に予定されていた2016年4~12月期の連結決算発表を、その直前になって見送りました。

 その理由は「内部統制の不備を指摘する内部告発があり、新たな不適切行為の疑いが浮上したから」などと言われていますが、それは決算発表見送りの理由としては「奇妙」です。決算発表とはその時点で確定した数字をできるだけ早く公表するものであり、仮にあとから不適切行為が発見されればまたできるだけ早く公表すべきものだからです。

 東芝は昨日の決算発表で昨年末に公表した原子力関連の巨額損失を計上してしまうと2016年12月末時点で債務超過となり、その時点で財務制限条項に抵触して1兆4000億円ある有利子負債の大半が期限前償還を求められてしまうため、東京証券取引所などが「何らかの配慮」をするのではないかと想定されていました。

 昨年末の公表とは、原子力子会社の米ウェスティングハウス(以下WH)が2015年末に買収していた米原発エンジニアリング会社のストーン・アンド・ウェブスター(以下S&W)で数千億円規模の損失が発生するという「奇怪」なものですが、それでも公表された損失はそこから最速の決算で(つまり本日予定されていた決算で)計上しなければなりません。

 東芝は稼ぎ頭の半導体事業を分社化し、その20%未満の株式を第三者に売却して2000~3000億円の資本を増強し、債務超過を解消しようとしていますが、それでも本日(2月14日)に巨額損失を計上してしまうと「いったんは債務超過」となり、財務制限条項に抵触してしまいます。

 そこで金融機関は東芝に期限前償還を求めて回収に走らないと、今度は金融機関に株主代表訴訟のリスクが出てきます。

 そこで本日に巨額損失を計上すべきと主張する監査法人と、「3月末までには資本増強で債務超過を回避するので、そこを何とか」と抵抗する東芝との間で、調整がつかなかったと考えます。

 東芝の監査法人は昨年6月に「あの」新日本監査法人からPwCあらた監査法人に交代したばかりで、簡単に譲るわけにはいかなかったのでしょう。

 そこで出てきた妥協策が本日の決算発表を1か月延期し、監査証明の必要な四半期報告書の財務局への提出も「許容されている限度いっぱい」の1か月延期し、ともに3月14日としたと考えます。

 たぶんその3月14日までに半導体事業の分社化・一部売却による資本増強にめどをつけ、そこで2016年12月末時点の債務超過回避を再度監査法人に頼むか、あるいは一時的に債務超過となってもまもなく資本増強で解消できるので財務制限条項には目をつぶってくれと金融機関に頼むつもりなのでしょう。
 
 とりあえずは「時間稼ぎ」しただけです。

 いずれにしても資本増強がますます「待ったなし」となるため、本日夕方になってやっと記者会見した綱川社長は「分社化した半導体事業の過半数以上の売却」も言及しました。

 東芝の半導体事業にはまだまだ競争力がありますが、支配権のない20%未満の株式売却では買い手にとって魅力が乏しいはずです。しかし支配権を完全に売り渡す過半数以上の売却となると世界中で「奪い合い」となり、かなりの高値(本日は1兆円を割り込んだ東芝全体の時価総額より高値)で売れるはずです。

 ただそれでは東芝は唯一の有望事業である半導体事業を(たぶん)外国企業あるいは外国ファンドに売り渡してしまうことになり、ここからどれだけ損失が積み上がるかわからない原子力事業だけの会社になってしまいます。

 確かに日米原子力協定があるため、東芝は(日立も三菱重工も)原子力事業を切り捨ててしまうわけにはいかず、日本政府も原発を止めてしまうわけにもいかず、結果的に東京証券取引所、(歴代3社長の刑事責任追及を頑として見送った)検察庁も官邸も経済産業省も財務局も、東芝に対しては徹底的に過保護で対応することになります。

 そして今度は金融庁が金融機関に対して「東芝に対しては過保護に対応するように」と指導するのかもしれません。

 かくして原子力事業会社となる東芝は、東京電力と同じように国策企業としてゾンビのよう生き残っていくことになりそうです。

トランプ次期大統領と孫正義社長をつないだ「共通の知人」とは?

2017年02月10日 22時37分38秒 | 日記

 ソフトバンクの孫正義社長は、昨年12月6日にNYのトランプタワーでトランプ次期大統領と会談し、総額500億ドル(5兆7000億円)を米国でIT分野を中心とした新興企業に投資し、5万人の新規雇用を生み出すことを約束しました。

 米国優先の経済政策とくに米国内の雇用拡大を公約に掲げるトランプ次期大統領にとっても好ましい約束となり、上機嫌で自宅のあるトランプタワーの1階まで孫社長を見送りに出てくるところがテレビでも報道されていました。

 確かにトランプの経済政策が米国優先なので、その米国に集中投資することは「理にかなって」います。まあソフトバンクの稼ぐキャッシュフローの大半は、日本国内で寡占状態の携帯電話事業から来ているため、米国だけではなく日本での投資や雇用の拡大も少しくらいは考えるべきだとは思いますが、本日言いたいことはこれではありません。

 またソフトバンクは10月にサウジアラビアのムハンマド副皇太子と「10兆円ファンド」の共同設立で合意していますが、さっそくその資金を振り向けるようです。確かその10兆円の約半分はサウジアラビアが出すため、ソフトバンクが勝手に米国で優先的に投資すると言って大丈夫なのか?とも感じますが、これも本日言いたいことではありません。

 孫社長はインタビューで「(トランプ次期大統領と)共通の知人に会談をセットしてもらった」と話していました。それではその「共通の知人」とは誰だったのでしょう?

 12月6日付け「急いでカジノ法案を成立させる背景とは?」の最後は、トランプの大スポンサーであるシェルドン・アデルソンが1999年にラスベガスにベネチアン・ホテルを開業してカジノに進出したときに資金を提供したのは誰だったか?で終わっていました。

 その答えはソフトバンクの孫正義社長です。

 ソフトバンクは店頭市場(当時)に上場したばかりの1995年、アデルソンからコンピューター展示場のコムデックスを8.6億ドルという法外な価格で買収しました。

 アデルソンはその資金を元手に、ラスベガスで老朽化していたサンズ・ホテルを会社ごと格安で買い、爆破解体して1999年にベネチアン・ホテルとして開業して初めてカジノ業界に進出しました。ラスベガスでは後発だったためマカオなど海外進出に最も熱心で、リーマンショック時には破産寸前となったものの現在では世界有数のカジノ運営会社となっています。

 そもそもアデルソンがコムデックスを売却してホテルを買った理由は、ラスベガスで開催するコムデックスの巨大な展示場に集まる多数の人々はほとんどカジノで遊ばないため、ラスベガスのホテルが結託してコムデックス来場者の宿泊費を割高に設定したからと言われています。

 そこでアデルソンはコムデックスとホテルを「入れ替えた」わけで、もともとカジノが目的だったわけでもなさそうです。

 一方でそのコムデックスを買収した(同時にコンピューター関連出版大手のジフ・デービスも買収した)ソフトバンクは、ITバブルが弾けた2001年にコムデックスを「格安」で売却してしまいした。結局コムデックスは2003年に倒産しているため(現在は再生されています)、明らかにアデルソンの「入れ替え」が成功したことになります。
 
 ただ孫社長もコムデックスを通じて、米国のコンピューターやIT業界に人脈を広げたことも事実で、単純に投資結果だけでは判断できません。

 そこでやっと表題にある「共通の知人」となります。もちろん確認できたわけではありませんが、かなりの確率でそのアデルソンだったと考えます。

 アデルソンはトランプの大スポンサーであると同時に、孫社長は20年以上前にコムデックスを法外な高値で買収してカジノに進出させてくれた恩人(カモ?)だったからです。

 その「共通の知人」がアデルソンだったとしても、トランプ次期大統領と孫正義社長の会談にはアデルソンの「思惑」が込められているなどというつもりはありません。また500億ドルの米国への投資や5万人の新規雇用も、孫社長が一方的に約束しただけです。
 
 しかし孫社長は、自分も当事者となった20年以上前のアデルソンの「入れ替え」を思い出して、少しくらいは「これでいいのかなあ?」と考えてほしいと思いますが、まあ無理でしょうね。

 時代のスピードも速くなっているため、今度は5年くらいで答えが出るかもしれません。

2039年の真実・ケネディ暗殺 その2

2017年02月09日 16時00分37秒 | 日記

 少し時間が過ぎてしまったのですが、1963年11月22日に米国第35代大統領のジョン・F・ケネディが遊説先のダラスで暗殺されてから、ちょうど50年がたちました。

 一昨日付け「2039年の真実・ケネディ暗殺」の続編です。ここでは軍産複合体、CIA、マフィアの「仕業」と思えるような状況について書いてありますので、併せて読んでください。

 米国政府の正式な調査報告書であるウォーレン委員会報告書では、オズワルドの単独犯行で、一切の背後関係は発見されなかったとされていますが、それを信じている米国人はほとんどいません。

 そこで昨年の記事で書ききれなかった内容の追加です。

 ケネディが暗殺半年前の6月4日に、政府紙幣を発行する大統領令11110に署名したので、FRBを牛耳るユダヤ資本に暗殺されたという「陰謀論」があります。実際に42億ドルの政府紙幣が発行されていたのですが、ケネディの暗殺で全額が回収されてしまい、その後は発行されていません。

 写真でみるとFRB発行のドル紙幣とほぼ同じデザインですが、FRBのマークの代わりにUnited States Note(政府券)と印刷されています。

 それではどうしてケネディは、こんな中途半端な額の政府紙幣を発行したのでしょう?

 確かにFRBは1913年に設立されたユダヤ系銀行が株主の「純粋の民間銀行」です。しかしそれだけでケネディはユダヤに対抗して通貨発行権を取り戻そうとしたというのも単純すぎます。ケネディが歴代大統領で唯一のカトリック教徒だから出てきた陰謀論でしょう。

 FRBの発行するドル紙幣は、米国国債を小口・無記名・無利息に分割したもので、正確には通貨ではありません。米国憲法では通貨発行権は議会に属すると規定されているからです。しかしこのFRBが発行する「小口国債」が、世界で唯一の「米国の通貨」として流通しているのです。

 米国では議会(立法)と政府(大統領・行政)の権限が厳格に区別されており、大統領には通貨発行権がありません。この大統領令11110とは、もともと憲法上で認められている政府紙幣の発行権限を、改めて確認しただけのようです。

 現在でも政府は3億ドルを上限に政府紙幣の発行が認められています。

 つまりケネディの大統領令11110は、FRBから「通貨」発行権を取り上げる目的でもなかったはずです。

 繰り返しですがFRBは「通貨」を発行できません。しかし発行する「小口国債」が世界で唯一の「米国の通貨」として流通しているため、実質的には通貨発行権があることになります。しかし裏付けとなる米国国債を取得しなければならないので、「打ち出の小槌」を所有しているわけではありません。

 どうもケネディが政府紙幣を発行したために暗殺されたというのも「無理」があるようです。

 もう1つ、昨年の記事で書ききれなかったザプルーダー・フィルムについてです。

 これはウォーレン委員会にも証拠として提出されており、数多くのコピーが「勝手に」作成されているのですが、どうも重要なコマが抜かれているようで肝心なところがギクシャクした動きになっていました。

 しかし、コマが抜かれる前のフィルムとされるものがユーチューブにアップされています。確かに当時みたフィルムよりも動きがスムーズのようです。謎とされる晴天に黒い「コウモリ傘をさす男(?)」や、レインコートを着て合図を送るような男も映っています。

 実際にみて確認してください。

ユーチューブはこちら→http://youtu.be/kq1PbgeBoQ4

 いずれにしても、謎は永久に解明されないのでしょうね。

2039年の真実・ケネディ暗殺

2017年02月07日 23時32分46秒 | 日記


 ちょうど49年前の1963年11月22日(日本時間では翌23日未明)、米国35代大統領ジョン・F・ケネディが遊説先のテキサス州ダラス市で暗殺されました。

 表題を「2039年の真実」としたのは、この事件に関する資料の機密指定解除が2039年と異常に長く設定されているからです。落合信彦氏が同題の本を書いています。

 この話題を取り上げたのは、これを米国国家による陰謀・隠匿と決めつけるのは簡単なのですが、この機会にもう一度振り返ってみて米国という国の「言いようもない奥深い不気味さ」を感じたからです。

 事件発生直前のケネディ大統領には、以下の「敵」がいたはずです。

 まず大統領就任直後の1961年4月、キューバのカストロ政権を打倒するためにCIAが1600人もの亡命キューバ人をビックス湾に侵攻させたものの大失敗に終わりました。ケネディ大統領はCIAのアレン・ダレス長官やチャールズ・カベル副長官(実弟が暗殺時のダラス市長)らを解任し、同時に実弟のロバート・ケネディ司法長官に命じてCIAの不法行為を厳しく取り締まり始めました。

 そもそもなぜCIAがキューバのカストロ政権を打倒しようとしたのかですが、カストロ以前のキューバは自由主義国でマフィアにとって大切な収益源でした。もともとマフィアと親密だったCIAも恩恵を受けていたはずで、ケネディはマフィアを厳しく取り締まると同時にCIAの解体も考えていたようです。

 ケネディの父親ジョセフは禁酒法時代に酒の密輸で財をなしており、実際に息子の大統領選挙ではマフィアに協力を依頼していました。従ってマフィアにとってケネディ大統領の行動は裏切りでしかなかったことになります。

 またケネディは当時のベトナム戦争を徐々に終結させようとしており、軍事予算を削り各種兵器の開発を中止しました。ケネディの存在は軍部・軍事産業全体(軍産複合体)にとって死活問題だったのです。

 つまりCIA・マフィア・軍産複合体がケネディの敵だったのですが、これらも互いに密接な関係を持ち、また当時の米国政府や議会内にもこれらと親密な人物が数多くいたはずです。

 ケネディがテキサス州のダラスを訪問した目的は、もちろん1年を切った次回の大統領選のためでした。前回の大統領選では地元のリンドン・ジョンソンを副大統領候補にしたもののテキサス州は僅差の辛勝で、ケネディ本人とテキサス州の民主党との関係は必ずしも良好ではなかったようです。想像を逞しくすれば、テキサス州ではリンドン・ジョンソン「大統領」待望論があったはずです。

 さて事件は、ロシア亡命から帰国したリー・ハーヴェイ・オズワルドがパレード中のケネディ大統領に3発の銃弾を撃ち込んで暗殺し、逮捕されたオズワルドも2日後に何と警察署内でジャック・ルビーに射殺されました。

 昇格したリンドン・ジョンソン大統領は、すぐに連邦最高裁判所長官のアール・ウォーレンを委員長とする調査委員会(ウォーレン委員会)を立ち上げます。約10か月後に出来上がった報告書ではオズワルドの単独犯行で一切の背後関係が無いとされていました。

 唯一の証拠は、パレードの通り道にある教科書ビルの6階でオズワルドの指紋の付いたライフルと薬莢が3つ発見されたことです。

 このライフル銃は第二次世界大戦時にイタリア軍が使っていた旧式のもので、オズワルドは19ドルほどで入手しています。これを報告書では5.7秒間で3発発射して2発を命中させたとしていますが、後ほど同条件でどんな名手が撃っても当たりませんでした。

 さらにケネディの乗ったオープンカー(普通は防弾車を使うはずですが)にはコナリー・テキサス州知事(後に財務長官)も同乗して被弾しているのですが、実は委員会の調査中に「外れた」弾が1つでてきてしまい、ケネディが2発被弾しているため、コナリーを撃った弾丸の説明がつかなくなってしまいました。

 そこで何とケネディの体を通過した弾丸がコナリーにも当たったという「魔法のような」説明で済ませています。

 たまたまですが先導していたパトカーの無線がONのままで、ライフフルの発射音を捉えていますが「はっきりと5発」録音されています。音を分析すると「少なくとも2種類のライフルから発射されている」ようです。どう考えてもオズワルドの単独犯行ということは考えにくいのです。

 改竄されたサプルーダーフィルムについて書く紙面が無くなってしまったので省きますが、ご興味のある方はネットにも出ていますので読んでみて下さい。

 そして事件後の数年間で「目撃者」が少なくとも32人変死していることや、国立公文書館の機密資料も大半が「紛失」しているらしいことなどを考えると、2039年になっても何も解明されないような気がします。

 そして現在もCIA・マフィア・軍産複合体は「健在」のままなのです。

米国大統領令について

2017年02月05日 23時04分02秒 | 日記


 トランプ大統領は就任当日の1月20日、オバマ前大統領の主導で成立した医療保険制度改革(オバマケア)の見直しを指示する大統領令(Executive Order)に署名しました。

 また週明けの1月23日には環太平洋経済連携協定(TPP)から「永久に」離脱するなど、合計3件の大統領令に署名しました。

 それではこの大統領令とは何なのか? 

 言葉の意味は、米国行政の最高責任者である大統領が自らの指示の及ぶ連邦政府や軍に対して、議会の承認を得ることなく行政権を直接行使するために発令されるもので、大統領行政命令とも執行命令とも言われます。

 要するに大統領令とは、米国大統領がいつでも勝手に発令できるもので、法律と同等の効力を持つとされていますが、当然その権限は大統領の行政権の範囲内に限られます。

 米国では大統領の行政権と連邦議会の立法権が明確に区別されているため、連邦議会の承認を飛び越えて勝手に命令できるものではありません。

 1月20日の大統領令も、オバマケアは2010年に連邦議会により正式に承認されているため、あくまでもその見直し案を連邦議会と折衝せよという命令にすぎず、法改正が行われなければ(あるいは行われるまで)現行のルールが適用されることになります。

 またTPPは、まだ連邦議会が承認(批准)していないため米国には何の権利も義務も発生しておらず、「もうやめようね」という行政サイドの意志表示となるだけです。可能性はありませんが連邦議会が勝手に承認(批准)すれば、大統領は拒否権を行使できるものの、連邦議会が再承認(3分の2以上の賛成)すれば発効してしまいます。

 実際には大統領令の権限あるいは制限範囲が憲法で明確に規定されているわけではありません。トランプ大統領が今後も重要事例で大統領令を「乱発」するなら、近い将来にその権限を巡り深刻な問題になるような気がします。

 大統領令が連邦最高裁判所から「違憲」とされた例は、過去にたった2回しかありません。

 大統領令はもちろん1789年就任のワシントン初代大統領から存在します。1907年から通し番号が振られるようになり、リンカーン大統領が1862年に発令した「奴隷解放令」がNo.1となりました。

 ちなみにトランプ大統領の1月20日の大統領令にはNo.13766が振られています。

 過去最大の大統領令を「乱発」した大統領はフランクリン・ルーズベルトで3522件もありました(在任期間も12年強と長かったこともあります)。最近ではブッシュ(息子)大統領が291件、オバマ大統領が277件となっています。

 歴史上最も有名な大統領令はケネディ大統領が発令したNo.11110で、政府(財務省)に政府紙幣を発行させるものでした。実際に42億ドルの政府紙幣が発行されました。

 これがケネディ暗殺の最大の理由とも言われますが、2013年11月26日付け「2039年の真実・ケネディ暗殺 その2」にも書いてあるように、単なる陰謀論でしょう。
 
 ニクソン大統領の金ドル交換停止(1971年8月15日)は、大統領令すら発令されていません。いまだにニクソン大統領は何の権限で金ドル交換を停止できたのかは(いまだに停止されたまま)謎のままですが、その背後にキッシンジャーがいたことは確かです。

 トランプ大統領が通商面、国際金融面でニクソン大統領を「踏襲」しないとも限りません。トランプ大統領の背後にもキッシンジャーの影があるからです。
 
 ところで大統領令の中には、前任あるいはもっと前の大統領が発令した大統領令を廃止するものも含まれます。トランプ大統領はオバマ大統領による大統領令の70%を廃止するつもりだとも言われています。

 ただ大統領令によっては勝手に廃止できないものもあるはずで(連邦議会により法制化されたものなど)、今後はいろいろ微妙な問題が出てくるような気がします。

 いずれにしてもトランプ新政権は、今まであまり注目されることがなかった大統領令を最大限に利用するようで、それがまた新たな混乱を生み出していくような気がします。