私小説的今日

昨日と今日、そして明日
「一つの絶望を別の絶望に、一つの混沌を別の混沌に、言い換える」

うつ病の夫を持つ妻は考える

2011年02月23日 | 日記
うつ病で会社に行けない夫を持つ妻は考える。
専業主婦の妻には収入を得る手段がない。小学生の子供を持つ身で今後の生活を維持していくことは大きな課題。生活の糧は夫のサラリーしかない。その夫がうつ病で会社に行けなくなった。収入が減る。最悪は失業するかもしれない。これからの生活はどうなるのか、毎日毎日不安で眠れない。休職中一定期間は本来のサラリーの6割程が保障されるが、その期間が終わると休職期間満了で解雇になる。
休職中も世間の目がある。「あそこのご主人、うつ病で会社に行ってないらしいわよ」というママ友たちの噂話に怯える。今はなんとか誤摩化せても休職期間が長くなればそれも難しくなる。世間体が悪い。世間体を気にする。

夫はとりあえず様々な雑音から身を隠し、病が癒えるのを待つしかないと思う。なるべく普通に振る舞おうと家族の前でも努力する。妻にはその努力がわからない。同じ病気になってみなければその程度や細かな体調の不具合は理解しようがないのは仕方ない。

妻から見れば夫は病気に見えない。いろいろな本やネットでうつ病の症状を調べてみるがどうもうちの夫は本当のうつではないように見える。詐病ではないかと疑う。ただ怠けて会社に行きたくないだけで、好きなことは好き勝手にやっているように見える。ついつい「いつまで休むつもりなの?これからのことをどう考えているの?子供の手前もあるでしょ?全然病気に見えないし、食欲も出てきているし、いったいどこが悪いの?」と責め立ててしまう。

夫は言い返すことができずに自分の部屋に籠る。耳を塞いで眠ることで逃げる。
夫は布団をかぶりながら恨み言を繰り返す。
「結局オレは金づるか。金づるでしかないのか。苦しんでいる夫をいたわるという気持ちはないのか。お前の世間体のためにオレは生きているのか」

うつ病の夫も、そんな夫を持つ妻も、いっぱいいっぱい。
なんと厄介な試練だろうか?この試練をこの夫婦はどう乗り越えていくのか。

課題山積。試練過酷。しかし、これを乗り越えてこそ、夫婦、か。


神様が問うている。

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3 コメント

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うつ病の夫を持つ妻は考える (そら吉)
2011-02-23 23:17:11
世間体は困ったものです。ここでオープンにしてるのだから、こそこそする必要があるのかな。病院に奥さんもいっしょに行って話を聞けばいいのになと思う。篭ったり、きつい言葉がなくなり病気をお互い理解し、優しくなれると思う。お互いが背中を向けて治療できる病気ではないでしょう。今後のこともあるけれど、子供を含み、みんなで今の生活、治療を考える必要がありますね。奥さんは、いたわり方がわからないだけですよ今は。金づるなんかと考えているはずがありませんよ。
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知っているだけに・・・ (aoi)
2011-02-24 13:58:27
奥様を知っているだけに、胸が潰れる思いで読みました。
財津さんを責めることで自分の精神状態をなんとか保っているのかもしれません。
奥さんは不安で不安で仕方ないはず。
財津さんをいたわる気持ちの余裕が持てないのだと思います。
持てなくて当然です。
別の意味で奥さんも追い詰められているのですから・・・。

奥さんを知っているだけに
この病の辛さを知っているだけに辛いです。

お互いがいたわり気を使いながら暮らすのも
どこかに無理がある気がします。
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共通の課題 (財津達也)
2011-02-24 15:49:59
そら吉さん、aoiさん、コメントありがとうございました。
自分がうつ持ちであることを話していたらいろんな人から「実はうちの主人も」という種類の相談をたくさん受けました。実に多くの人から。その中で大きな問題が、これでした。夫婦でうつに向き合うということ。いろんな課題があります。自分の人生観まで問われるような切実な問いを背負います。しかしみなさん、なんとかこの問題を克服しようと頑張っていらっしゃる。自分もこれをなんとか乗り越えなければと思っています。
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