代々木上原こどもクリニック

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アレルギーの話 2 乳児湿疹とアトピー性皮膚炎

2014年05月06日 | 院長の話
院長の高見です。
先日もクリニックでアレルギー勉強会がありました。
今回は、前回のメンバーの他に東京医大小児科アレルギーグループの佐藤(智)先生、佐藤(美)先生、長尾先生とママさんDr金城先生、そして東京医大八王子医療センターの三浦先生が参加してくれました。佐藤(美)先生と三浦先生はアレルギーで有名な国立病院機構相模原病院で勉強されてきた先生です。

今回のメインテーマは“食物アレルギーに対する経口免疫療法”に関する話でした。この治療は鶏卵、牛乳、小麦などを口にするとアレルギー症状が出てしまうためそれらの食品を制限している方を対象として、少しずつ原因となる食物を摂取していきアレルギーを克服するという治療法です。
昨年からこの治療を東京医大でも始めています。治療の対象は3歳以上の方となりますが、ご興味のある方はご相談下さい。

今日は“乳児湿疹とアトピー性皮膚炎”に関してお話させていただきます。
生後1~2ヶ月児のお母さんから「この湿疹はアトピーではないですか?」という質問を受けることがあります。生後1ヶ月頃から顔の頬や額を中心とした赤みを帯びた湿疹に対してです。

一般にこの時期の顔や体の一部にできる湿疹を“乳児湿疹”といいますが、これは新生児挫創(赤ちゃんニキビ)や脂漏性湿疹などのことを総称しています。
赤ちゃんニキビは、赤くブツブツしたものや中に白いシンのあるもので、頬や額にでやすいものです。脂漏性湿疹は髪の生え際やまゆ毛、鼻などにできることが多く、脂っぽいかさぶたやフケのような固まりがこびりついたりすることが特徴です。共に妊娠中のお母さんからのホルモンの影響が原因であるため、生後3~4ヶ月頃まで見られます。

一方、アトピー性皮膚炎も乳児湿疹と同じくらいの時期からではじめることや症状が似ていることなどから、生後1~2ヶ月で両者を区別することは難しいこと考えられています。アトピー性皮膚炎の特徴は掻痒感(かゆみ)が強いことと湿疹が長く認められることなので、生後4ヶ月以降になっても乳児湿疹がよくならないときはアトピー性皮膚炎の可能性が高くなります。

乳児湿疹、アトピー性皮膚炎のいずれの場合も、皮膚管理の基本は皮膚を清潔に保つことです。ベビー用石鹸を使って、お母さんの手でよく洗ってあげてください。乾燥しているときはワセリン(プロペト)やヘパリン類似物質(ヒルドイド、ビーソフテン)を使用します。炎症(赤み)が強い時は弱いステロイドを併用することが一般的な治療法です。

赤ちゃんの湿疹に関してわからないことがあればご相談下さい。
次回は、“アトピー性皮膚炎と食物アレルギー”に関してお話させていただこうと思っています。
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