好きな模様の一つに唐草がある。
つる性植物がモチーフの唐草には、
繁栄や長寿の意味がある。
そういえばそうだったと、
五月も末の柏餅を見て思った。
端午の節句の柏餅。
こどもの日に柏餅を食べるのも、
枯れた葉を冬の間も落とさず、
新芽が出るまで残す柏に
子孫繁栄の願いを込めるところから。
その習慣が根付いたのは
江戸中期のことらしい。
以来何百年と重ねられてきた、
願い。
前を通りかかっただけなのに、
「今月いっぱいですよ」
と響く声に止まる足。
あの声は、もしかしたら
今に息づく先人の祈りだったのか、
と思ったり――
しばらく砂糖を控えている。
お餅には少しの間、
冷凍庫の中で待機いただこう。
さて唐草に蝶。
青に惚れたこのコップ、
何に圧倒されてか
わからないけれど、
箱から出してきて、
またお湯ばかり注いでいる。