柚豆のスケッチブック

季節の手作りレシピと和布で楽しむ日々の装い

おいおい泣いてしまいました。

2013-07-07 15:50:42 | はがき絵


新田次郎文学賞受賞作
帚木蓬生 「水神」

いつも行く美容院のテーブルの上にありました。
初めてみる作家の名前でした。

「水神」は、作者の故郷に近い福岡に伝えられる実話をもとに、眼前に筑後川が流れて
いながら、恵みの水を得ることができない水枯れの村の庄屋五人が百姓たちを従えて
水を引くための堰を築く大工事に乗り出す物語です。悠然と流れる筑後川。だが
台地に住む百姓にはその恵みは届かず、人力で土手から五、六間も下の筑後川から打桶というもので二人
息を合わせて汲み上げ 果てることなく村へ水を運ぶ苦役を行っている。 高田村の庄屋助左衛門、
彼が歳月をかけて地形を足で確かめながら、この大河を堰き止め、稲田の渇水に苦しむ村に水を分配する大工事を構想 その案に、同じ事情を抱える四カ村の庄屋たちも同意する。

彼ら五庄屋の悲願は有馬藩と周囲の村々に容れられるのか・・・・・


ついに五庄屋の誓詞血判をもって、工事が始まった。
工事の費用一切 五庄屋もち 命も身代もすべてを賭けるである。

もう一人の主役有馬藩士菊竹源左衛門。
工事中死人が出たのを、五庄屋が受ける磔の刑を、身代わりの
切腹で五庄屋を救った。源左衛門は庄屋や百姓たちに責めが及ばぬように。
藩に向けて、嘆願書を出す。もう涙なくして読めない嘆願書は、何と十九ページも、
続くのである。

打桶の二人,元助と伊八 五庄屋 菊竹源左衛門の物語は作者が
白血病の闘病生活を続けながら書かれたものです。
彼は、作家であり、現役の医師でもあります。

人間の生命の重さを軽々と描く場面など微塵もなく

嗚咽なしには読めない一巻となっています。


読見終えて、カバーの絵を見ると「上」は五庄屋と百姓
その向こうが、筑後川。
「下」は菊竹源左衛門 犬は元助の飼い犬。


カバーを見て、また涙、涙でした。

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