僕の細道

【となりの山劇】第51話

<専門用語続出オーディオ昔話 の巻、その4>

 まず肝心なのはターンテーブル。これはベアリングなどの回転精度がしっかりしていて、きっちりと芯の精度が出ている事は基本中の基本だが、重いほど良いとされているちなみにSさんは金色した砲金製で5センチもの厚みのあるターンテーブルを用意した。こんなもの何処で売っているのだ?

 次にそのターンテーブルを回すモーター。現在ではDD(ダイレクトドライブ)方式が主流だが、当時のマニアは別モーターを設置して、糸ドライブで駆動する事を良しとしていた。

 次にアーム。形はストレート型とかS型とか、いろいろな型が存在する。Sさんはサエクのストレートアームを用意した。
 次にカートリッジシェル。シェルとは、カートリッジを取付けるベースの事だ。これも、アルミ製とかマグネシウム製とか、短いとか長いとか、重いとか軽いとか様々な形状の物を用意し、試行錯誤していた。

 この次にやっとカートリッジ本体になる。ふうッ、やっと針の話になった。そのカートリッジにしてもMM型とかMC型など様々な発電形式があり、マニアは中でもより繊細な音を再現するというMC型を尊重した。
 さらに、連中は針先の形状にもこだわる。とりあえず接合型の廉価な針を論外とした。マニアはダイヤモンドのソリッド物で、円柱型、角柱型、もしくは楕円型の針を求めたのである。

 忘れてはいけないのが、カートリッジとアームを結ぶ短いコードである。通常、シェルに付属しているコードはさっさと捨て去り、新たにゴツいコードに取り替えられる。
 この銅製のコードは、純度が高いほど良しとされ、OFCなどの単結晶物が採用された。ゴツくて短いコード程喜ばれるのである。

 さらに、これらの構成品をまとめるベースが必要になる。Sさんは重量圧縮合板を積層し、これに穴を開けてベースとしていた。
 このターンテーブルにはアームベースが3つも取付けられ、振動を押さえつけるインシュレーターなどのアクセサリー類も山ほど持っていた。

 そして、Sさんちは他のオーディオ製品もそれなりの見事な揃え方がしてありまして、その再生された音はさすがと言うべき見事なまでにクリアで、「目の前で演奏している」風景が手に取る様に再現されたのでした。

 レコード1枚にこんなにもの音が入っていたのかと思う様な衝撃的な体験でした。これに対しワシのシステムは、DENONの安物プレイヤーにこれまたテクニカの安いVM型カートリッジを取付けただけという単純なものでした。

次号に続く


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