046「常識」 叶えぬの 想いの吐血 闇染めて 常識という こころ蝕む 047「警」 深入りは しないと決めた この恋の 警戒水域 とうに溢れて 048「逢」 前世での 逢瀬の強く 尾を引くか 月光となり 君忍び入る 049「ソムリエ」本能の 赴くままに 花蜜寄せ 蜂ソムリエの 甘露の仕上げ 050「災」 この星を 侵してゆくは 他ならぬ 自我人災と 皆既食に問い
041「越」 一線を 越さない意思の 優しさに 傾(かぶ)いてみては 戯(じゃ)れ合っている 042「クリック」 心閉じ アンドロイドの 指先で 一瞬技の 削除クリック 043「係」 香しく 空気のように 纏わりつ お世話係の 君というひと 044「わさび」 清流の わさびの白き 花の群れ ひとり舞い手の 瑠璃色の蝶 045「幕」 暗幕の 隙間の光 映し出す 息を凝らした 遅刻の巻き毛
036「意図」 瞼伏せ 瞳の奥の 揺れ惑う 嵐の君の 鎮めし意図の 037「藤」 黒髪を そっと撫でつつ 君の目に 映る全てと 葛藤の森 038「⇒」 親指と 人差し指の →(やじるし)で バキュンと撃つよ 照準は君 039「広」 強がりと うらはら胸の 恋雫 波紋は広ぐ 限りも知れず 040「すみれ」 さよならの 想い溢るる 涙壷 月光を浴び すみれ色成す
031「てっぺん」 こそばゆく 君と重ねた ゆびの山 てんとう虫は てっぺん目指す 032「世界」 君の住む 世界と言って みたけれど おんなじ星の 時代も恋も 033「冠」 まんじりと 夜更けの満月 青白く 削ぎて雪冠 撫ぞってゆく 034「序」 序破急と 薪の揺れる 足の音 面の内の 数多の念の 035「ロンドン」 半地下の 窓辺の続く 煉瓦路 靴音も濡れ ロンドンは霧
026「コンビに」 闇紛れ コンビニの裏 配られる 弁当を手の 家なき子たち 027「既」 さよならを 切り出せずいる 音も無く 色も消えゆく 皆既食の間の 028「透明」 透明な 心に靄が かかりだす さもしき人の 黒き言葉に 029「くしゃくしゃ」 夜勤明け くしゃくしゃ白衣 赤き目の エメット・ブラウン 時を抜けよか 030「牛」 コート越し どくどく鼓動 触れてみる 歓声の渦 闘牛士のよな