今年も日本語能力試験の監督をした。10年連続10度目。ワールドカップの出場国になぞらえれば9大会連続13度目のスペインぐらいのベテランである。
公式サイトにアクセスすれば分かるが、今年から能力試験は大きく変わった。
レベルが4つから5つに増えたり、級の名称が1級2級からN1・N2と変わったり、N1・N2の試験が語彙と文法の試験が筆記試験として1つになったり、出題形式も筆記試験・聴解試験ともに変わったり、各科目に合格最低点数が設けられたり、色々な点が変更されている。
試験官であっても、問題の内容を見てはいけないので、問題へのコメントはできない。また、問題をインターネット上で公表すると、情報の漏洩と見なされる。だから、たとえ知っていても守秘義務がある。
でも、問題に関してではなく、試験全体に関する感想を言わせてもらえば、レベルに相当の差があった旧2級と旧3級の間にN3というレベルを新設して、日本語の勉強を断念する学習者を減らそうと試みている点に関して以外は、この新日本語能力試験の変更点に見るべき所があるとは思えない。
実施団体は過去問をしばらくの間公表しないようだが、学習者サイドに立てば、テスト対策という意味でも過去問は是非公表してほしい。さらに、出題範囲も語彙・漢字ともに明確にして公表してほしい。
もちろん世界各国で実施される同試験の問題が昨今の携帯端末などのテクノロジーを通じて、試験前に漏れてしまったりすることは是が非でも防ぐ必要がある。
従って、試験を実施する団体は細心の注意を払って、テストを実施する必要はあるが、試験が終了してから数ヵ月後には同試験を公表・刊行し、来年度試験を受ける学生が試験対策に使えるようにする必要があると思う。
変革しようと言う試みはいいと思う。でも、過去のいい点を改悪することには反対である。
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