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日本語教師ブラジル奮闘記

ブラジル生活裏話

約束を守らずにストレスがたまるブラジル社会と約束を守るがゆえにストレスがたまる日本社会

2008年06月18日 10時34分38秒 | ブラジル事情
 日本も派遣社員が合法化されて以降、正社員との間に社会的格差を生み出し、昨今いろいろ問題を起こしてきている。
 
 「勝ち組」「負け組」などという言葉も聞くようになり、日本は僕がいた10年前と比べて確実に社会格差が拡大した社会になってしまった。以前は一億総中流の言葉に代表されるように一番社会主義的な資本主義国家であったのが、グローバリゼーションの名の下に、せちがない世の中になってしまった。
 
 でも、まだまだブラジルの貧富の差と比べたら全然かなわない。
 
 ブラジル人は基本的に楽天的である。今という瞬間の楽しみ・気持ちしか大事にしない。将来のことはあまり考えない。自分が働かなくても、誰かが助けてくれるだろうと思っている。恵んでもらうことは恥ではない。そういう社会にした政治家が悪いと思っている。
 
 国民の8割が貧困だそうだ。数字だけ聞くと嘘みたいに聞こえる。なぜなら、ショッピングセンターなどにいくと、とんでもなく高そうな服に身をつつみ、高い携帯を片手に電話しているとっても綺麗なお姉さんなどがたくさんいるからだ。彼女達だけでなく、ショッピングセンターには本当に裕福そうな人がたくさんいる。でも、信じがたいことだが、その人たちは本当はその逆の2割に属している人たちなのである。
 
 ちょっと大きな道から少し小道に入ったり、少し中心から離れた所などに行くと、さっきとは全く違った風景が目に入ってくる。そこに住んでいる人はみんなお金もなく、服も汚らしく、麻薬などを売買していたりする。
 
 金持ち地域から1区画先に行く、1つの道を越えただけでこのような貧民地区を目にすることができる。ブラジルは貧困層と富裕層が隣り合わせで生きている。これではどう考えたって、強盗が多いのは仕方がない。物がなければ奪うのは人の本性であろう。
 
 こういった貧困層の人は町の大通りに出て、交差点で車に近寄って運転手に物乞いをする。ほとんどの人は何も渡さないが、憐れに思う人はお金を恵んだりする。そうすると、さらに物乞いが大通りに増えるという悪循環を生み出す。彼らは時々、拳銃などを持って車強盗になってしまうから恐ろしい。物乞いと思いきや強盗になりかわるのである。
 
 これら8割の人の多くは教育を十分に受けていない。教育を受けていない・家族は崩壊している→雇ってもらえない→収入がない→物乞いをする。こういう悪循環にはまり込んで、彼らは将来に希望も持てず、一生貧民層であり続ける人が多い。
 
 ブラジルは無料で医療を受けることができる。また、公立の大学の授業料はただである。これは国民の大部分が貧民層であることからの措置であるが、ブラジル人全体が教育や医療は無料で受けられてしかるべきものという意識を助長するので、必ずしもいい制度とは言えない。
 
 こういう制度があるからこそ、ブラジル人は余計努力しなくなってしまう。努力してお金を稼いでも、お金があるという理由だけで、医療や教育を無料で受けられなければ不公平さを感じるからである。
 
 ブラジル人自体自分の国を見限っている気がする。人の心配をしても、損をするのは自分だけだから、どうせなら自分の利益だけ考えようという思考形式だ。だから、自己中心的な人が非常に多い。約束は破るためにあるものという感じがする。行動や言動に無責任な人が非常に多い。
 
 その点日本は行動や言動に責任を持つ。約束を破ったら責任問題だし、ビジネスに関わることであったら社命がかかったりもするからだ。でも、ブラジルの場合、一流企業を除けば、約束はあくまで目標みたいなもので、破ったからどうなの、誰か死ぬのみたいな軽い感覚なのだ。

 「嘘も方便」。ブラジル人はカッコいいことを平気で言うが、実行はしない。その瞬間の気持ちを言葉で言い表しただけで、本人達はその言動に従って行動はしない。だから、極端な話、「愛している」などと言っていた数時間後に、「お前は大嫌いだ」みたいなことを言うのは普通である。その瞬間において思った感情を言葉にしただけの話である。ある意味自分にとても正直なのである。その点、日本人は冷静だから「愛している」も「お前は大嫌いだ」もどちらも言わない。前者は言うのが恥ずかしいし、後者は相手を傷つけたくないという配慮をするからである。
 
 言動をとても重視する真面目な日本人はブラジルでは絶対に生きていけない。なぜなら、何事も計画通りに進まないために、日々ストレスがたまるだけだからである。その点日本の場合、何事も計画通り進ませるために自分のかかわっている仕事をきちっとするから、日々ストレスを感じながら働くのである。つまり、どちらの世界に住んでもストレスがたまるのである。
 
 僕が日本で暮らそうが、ブラジルで暮らそうが、僕個人が社会をいい方向に改善することはできない。どの社会で暮らしても、現実を現実として受け入れて、そこの価値観にうまく合わせながら、適当なところで妥協して幸せな生活を目指すしか方法はない。
 
 人生はゲーム。ルールを知っていれば、勝つ確率は高い。

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