日本語教師ブラジル奮闘記

ブラジル生活裏話

父の日のイベントで娘の小学校を訪問して

2010年08月11日 14時19分24秒 | ブラジル事情
 
 昨日は娘が通う小学校の父の日のイベントに参加した。

 ブラジル政府は3、4年前に8年制を9年制に変更し、1年前倒しで6歳から小学校に入学することにした。

 従って、去年の12月に6歳になった娘は、今年の3月から小学校に通い始めた。

 娘が通っているのは僕が公開講座で日本語の授業を夜に行っている私立大学の付属校である。つまり、私立の小中学校ということになる。

 ブラジルでは、幼稚園・小中高・大学と公立学校は、すべて授業料は無料である。しかも、幼稚園・小学校で出される昼食(おやつ)も無料である。

 ただ、小中高の教育環境は30,40年前は良かったそうだが、現在は決して恵まれた環境とは言えない。

 従って、少しお金に余裕のある家庭は小中高は有料である私立の学校に通わせる。そして、大学は無料である州立・連邦大学に行かせるのがブラジルの教育におけるエリートコースなのである。

 今回、娘が通う小学校に初めて行ったが、なかなか環境が良かった。敷地も広いし、休み時間に遊べる場所もありそうだし、建物も新しくはないが、清掃なども管理が行き届いている。

 僕が仕事で訪れる公立の学校は、場所によってかなり老朽化している学校も多い。木造で板が穴だらけだったり、壁に落書きがあったり、ドアや窓には盗難防止のために鉄格子などが設置されている。学校と言うより、少年院みたいな雰囲気の所もある。

 そう考えると、娘が通う学校の教育環境は本当に素晴らしいものだと言える。

 父の日のイベントは、夜6時15分、娘が勉強している教室内で行われた。担任の先生に呼びこまれ、25人余りの生徒の父親達が教室に入ると、それぞれ自分の娘・息子を膝に載せて生徒用の椅子に座った。

 まず、プロジェクターを使って、うさぎの親子がどれだけお互いが愛しているかを競い合う話を紙芝居形式にして先生がみんなに向けて読んだ。

 その後に、生徒たちに雑誌を渡し、彼らがどれだけ父親を愛しているかを表す写真を切り抜き、紙に貼って教室の壁に貼りつけるという作業を行った。

 そして、最後に生徒たちが「あなたがいてくれることが大事で、欲しいのはお金じゃない」という内容の歌詞がサビの流行歌を披露した。

 「欲しいのはお金じゃない」と6歳の子供に歌わせることに、非常に抵抗感がある。確かに、子供自身は「欲しいのはお金じゃない」と思っているのだろうが、それを言葉に出してしまうと嘘っぽく聞こえる。ちょっと選曲ミスのような気がしたのは僕だけじゃないだろう。

 

 それにしても、父の日にこれだけ「愛」が語られるのもブラジルだからだと思う。日本の学校では考えられない。恐らく、日本の学校では、父の日には「愛」よりも「感謝」をより強調するのではないだろうか。

 ブラジルには授業参観はない。だから、こういうイベントがあるのだろうが、今回このイベントを通じて、娘が通う学校を訪問できたのは有意義なことであったと思う。

 僕が訪れた数多くの公立学校の恵まれない子供たちも、ここの私立の学校の恵まれた生徒たちにも共通していたのは、屈託のない、好奇心旺盛な笑顔である。どんな環境下にいようと、子供は輝かしい未来を築くことができる。

 娘は非常に恵まれた環境にいるが、まだアルファベットもあまり書けず、塗り絵ばかりしたがる。そして、僕が遊びなどで教えようとすると嫌がる。強制的にやっても、いい結果は生まれない。だから、僕はそれ以上要求しない。

 つまり、恵まれた環境を十分に利用するかしないかは、本人の心がけ次第である。私立校で勉強しているからと言って、輝かしい将来が保証されている訳でもない。「モノ」にあふれ、それを当たり前と考える尊大な考え方こそ戒めなければならない。

 娘には苦労を自分から買って出て、自分の力で人生を切り拓ける、謙虚で明るい人物になってもらいたいと思った。

 

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