原発や今後必要なエネルギーを考えるブログ&五行詩

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森林はCO2を吸収しない。え~それじゃ木を植えてもCO2の削減にならないの?

2012年07月07日 | 科学リポート

 

森林はCO2(二酸化炭素)を吸収しない

え~それじゃ

木を植えてもCO2削減にならないの?

植林したての若い森は二酸化炭素(炭酸ガス)を吸収しますが、成熟した森は全体としては成長が止まっているため、当然ながら吸収と排出が釣り合っています。

 

1)  まず、樹木自身も生き物であるため、昼夜を問わず炭素化合物を消費して(呼吸作用)炭酸ガスを排出しますが、昼間は日光を受けて、空気中の炭酸ガス、土中からの水などを使ってをセルロースなどの炭素化合物の合成もします(炭酸同化作用=光合成)ので、森全体として日光が多く当たる昼間は炭素同化作用が優勢で、全体として二酸化炭素を吸収します。

 

2)樹木から落ちた葉、下草、朽ちた老木などは、微生物の作用により最終的には二酸化炭素にまで分解されます。

 

3)シベリアなどの寒冷地、水分の多い沼地などでは微生物が十分に分解できないため、どんどん蓄積される場合があります。

したがって、一般の森林では、1)、2)のように二酸化炭素の生成量と分解量がおおむね釣り合っていることになります。

(そうはいっても、二酸化炭素増大を食い止めるためにも、それ以外の良い地球環境を守るためにも、森林を守り、増やすことはきわめて重要なことです。現在、ブラジルに限らず、大量の森林が壊されつつあることなども非常に危機感を持っています。正しい考えに基づいて、何とか森林破壊を食い止め、森林を修復することは緊急の問題です)


前の地球温暖化防止京都会議が開かれたときのこと、テレビで若い女性が
「わたしもベランダで、プランターや鉢にいっぱい花や木を植えて、二酸化炭素吸収に貢献しています」
と言っているのを放送していましたが、とんでもない、何も分かっていないなと感じました。
その女性はもちろんですが、そんなことを注釈もなく放映するマスコミ関係者も分かっていません(チェック機構もあるはずなのに)。
もちろん専門家はよく分かっているはずですが、運動家の中には、分かっていないのに発言する人がいるので、時に混乱を引き起こします。既成の森林はもちろん二酸化炭素の吸収と排出がつり合っているはずです。

太古の地球は酸素がなく、二酸化炭素(炭酸ガス、CO2)に取り巻かれた惑星でしたが、何億年もかかって二酸化炭素の炭素分がシアノバクテリアなどの微生物、次いで動植物の働きにより炭酸カルシウム(石灰岩)、炭素(石炭)、炭化水素(石油)、一時的ですが全体として森林などに炭水化物(セルロース)などの形で固定化され、現在は大気中に二酸化炭素が0.03%残った状態で釣り合っています。


ところが近年、この何億年もかかって地下に貯めた固定化炭素(特に石油)を数十年で使い切るような勢いで消費し始めたため、二酸化炭素が極端に増加し、温暖化問題を始めとする危機が迫ってきているのです。

吸収した炭素の行方を確認しなければ、意味がありません。その植物体を燃やさず、腐らせず木材などの用途に何十年、何百年でも使うなら二酸化炭素吸収に大いに有益と言えます。


最初に述べましたベランダで植物を育てている女性の場合も、なるほど育っている内は(植物の生長のため)二酸化炭素を吸収しますが、最後はゴミに出すなり野に捨てるなりし、結局すべての炭素分は二酸化炭素に戻ってしまいます。

化学式でいえば、二酸化炭素はCO2炭素と酸素の化合物ですね、炭素Cが酸素と結合して二酸化炭素CO2として空気中にでます。

石油や天然ガスは鎖状飽和炭化水素として、直鎖構造であれ分枝構造であれ、CnH2n+2であらわすことが出来る。環を1つ持つとCnH2n(単環性炭化水素)、2つ持つとCnH2n-2(双環性炭化水素)…となる。また、不飽和炭化水素の水素数は、相当する飽和炭化水素の水素数から多重結合の多重度の総数の二倍だけ少なくなる。それ故、基本的なアルカン、アルケン、シクロアルカンなどは一般式で表現されることもある。

と大変難しくなりますが、炭素Cが含まれている化学式を確認出来ると思いますが、石油や天然ガスを使用して燃やすと酸素と結合して空気中に炭素Cが放出されるということです。

樹木の炭素量=材積 X 容積密度 X 拡大係数 X 地下部・地上部係数 X 炭素保有量0.5

簡単に説明するなら、大きな木を乾燥させた約半分が炭素Cです。木材であれ紙であれ、石油製品(炭素の割合が違う)すべて燃やせば二酸化炭素CO2が増えることになります。

小エネは化石燃料の消費を少なくすることが空気中に炭素C 酸素と結合した二酸化炭素をCO2を増やさないことになります。


森の役目は炭素Cだけの保存ではありません。生物多様性の保全・自然資源の持続的提供・表層破壊や土壌侵食の防止・水源函養水質の浄化・防風防火・塵やホコリの補足吸着などまだまだ森の多面性機能をすべて解明しているわけではありません。

少なくとも森が恐るべき速さで伐採され地球上からなくなっている現状は誰が考えても私たちの子供たち孫たちの時代には、私たちの今の選択がどれだけ重要な時期なのか知ることになるでしょう。手遅れにならないうちに森を育てましょう。

 私は森の植生工学士です。