エヌのブログ - 永田町激動記 & 東日本大震災記録

2011.8.30新首相誕生に伴い、≪エヌのブログ - 東日本大震災記録≫を、( ↑上記↑ )に改題

TPPに関するとりまとめ文書 (民主党・経済連携プロジェクトチーム)

2011-11-10 09:47:47 | 激動の永田町
民主党経済連携PT
2011年11月9日

経済連携PT 提言 ~APEC に向けて~


1.これまでの経緯

(1)今回の経済連携PT は、平成22 年11 月9 日に閣議決定された「包括的経済連携に関する基本方針」の策定に向けて、昨年秋に16 回開催された、「APEC・EPA・FTA対応検討PT」における議論を引き継ぐ形で開催された。

(2)APEC・EPA・FTA 対応検討PT が同年11 月4 日にとりまとめた「経済連携推進についての提言」においては、「貿易立国はわが国の基本であり、貿易・投資の自由化に関する経済連携については、我が国はさらに本気で取り組まねばならない」とし、アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)構想につなげる道の構築、ペルー・豪州とのEPA の合意、日韓、日中韓、モンゴル、EU とのEPA 交渉の再開又は開始、米国等いまだ交渉に入っていない国・地域との二国間EPA の積極的な推進が提言されている。また、農林水産業の再生・強化、非関税分野、人の移動に関する先行的な国内改革を行うべきことも盛り込まれている。

(3)その上で、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)については、「既存のFTA/EPA及びWTO 交渉との整合性を精査し、アジア・太平洋の各国の主張をしっかり聞いた上で、関係国間の今の状態を把握する、そのためにも、情報収集のための協議を始める」ことを提言し、政府は、その旨を「包括的経済連携に関する基本方針」に盛り込んだ。

(4) 本年3 月11 日の東日本大震災の発生を受け、政府の「包括的経済連携に関する基本方針」に係るスケジュールについては見直しの必要が生じ、TPP 協定交渉の参加時期については「総合的に検討し、できるだけ早期に判断する」こととした。

(5) 野田総理は、9 月の国連総会時の日米首脳会談で、TPP の参加に関して、「しっかりと議論して、できるだけ早い時期に結論を出す」と発言した。民主党では、11月12 日、13 日の、米国ハワイでのAPEC を控え、10 月4 日に経済連携PT を立ち上げ、計23 回の総会を開催し、TPP を中心に議論を行ってきた。議論の成果を踏まえ、①FTAAP に向けた我が国がとるべき立場、②TPP についての我が国がとるべき立場について提言する。


2.経済連携PTにおける主な論点

(1) PT では、政府から、一年間のTPP 交渉に関する情報収集の結果をもとに説明を受け、農業・漁業、消費者、労働、医療、経済界の各団体からのヒアリング、専門家のヒアリングを踏まえて、議員間で徹底的な検証と議論を行い、論点の集約を行った。

(2) 参加した議員一人一人が日本の国としての在り様と行く末を思い、熱心な討議が行われた結果、

・日本は貿易立国として、自由貿易を推進、高いレベルの経済連携を推進していく、

・日本が主導してアジア太平洋地域の需要を取り込むため、同地域の貿易・投資の自由化を進め、FTAAP を構築しなければならない、

ことが改めて確認された。
またアジア太平洋の枠組みにおける日米関係の重要性が認識された。

(3) TPP に関しては、FTAAP に向けた道筋の中で唯一既に交渉がなされているものであり、アジア太平洋の貿易・投資ルール作りを主導するという観点からは日本の考え方を反映するべきものであり、他の経済連携と同時並行で進めるべきだ、製造業の空洞化を防ぐ一つの手段になる、投資環境の改善で、日本への着実な利益の還流につながる等の意見が出た。

一方で、TPP については、具体的でわかりやすいメリットが見えにくいとの指摘があり、市場アクセス分野において、センシティブ品目について除外や再協議は認められないのではないか、市場アクセス以外の分野においては、医療分野、金融分野、食品表示、サービス分野、政府調達などの分野において、我が国がこれまで結んできたEPAを上回る制度の見直しが必要となるような提案が行われる可能性があるのではないか、との懸念が強く出され、日本の地域社会に大きな影響を与えるおそれがある等の論点が出た。

日本として、APEC でTPP 交渉への参加表明をするのか、なぜ今参加表明をしなくてはいけないのか、という点は大きな議論となった。


3.ハワイAPECに向けての提言

上記の議論を踏まえて、PT として以下を提言する。
提言に当たって、政府・与党は、東日本大震災からの復旧・復興及び福島原発事故への対応に、最優先で取り組むことを確認する。

(1) アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)について

・我が国として、WTO を通じた国際貿易ルールの強化が重要であり引き続き積極的に交渉に取り組まなければならないが、WTO 交渉が停滞している現在、積極的に経済連携を推進しなければならない。

・アジア太平洋地域は、我が国にとって、政治・経済・安全保障上の最重要地域である。FTAAP の2020 年までの実現に向け、より幅広い国々と高いレベルでの経済連携を戦略的かつ多角的に進めていく。アジア太平洋地域内において、二国間EPA、広域経済連携を推進するとともに、EU をはじめとするアジア太平洋域外の主要な貿易パートナーとの間の経済連携も推進し、貿易投資立国として、世界の貿易投資の促進に主導的な役割を果たすべきである。

・APEC 首脳会議の際には、「アジア太平洋地域の経済的繁栄を目指すFTAAP の実現に向け、我が国が先頭に立って推進する」ことを高らかに表明するべきである。

(2)環太平洋パートナーシップ(TPP)について

・TPP への交渉参加の是非の判断に際しては、政府は、懸念事項に対する事実確認と国民への十分な情報提供を行い、同時に幅広い国民的議論を行うことが必要である。

・APEC 時の交渉参加表明については、党PT の議論では、「時期尚早・表明すべきではない」と「表明すべき」の両論があったが、前者の立場に立つ発言が多かった(詳細は別表のとおりである)。

・したがって、政府には、以上のことを十分に踏まえた上で、慎重に判断することを提言するものである。








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