ドジョウ
出典 : フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
和名 : ドジョウ(泥鰌、鰌、鯲)
英名 : oriental weather loach
ドジョウ(学名:Misgurnus anguillicaudatus、英: weather loach、weatherfish)は、コイ目ドジョウ科に分類される淡水魚の一種。日本全国の平野部の水田や湿地などに生息。中国、台湾、朝鮮半島にも分布するほか、食用魚として養殖も盛んに行われている。
広義にはドジョウ科全体を指す。英語のローチ (loach) は通常、ドジョウ科の総称である。しかしここではドジョウ科の M. anguillicaudatus 一種について述べる。
特 徴
ヒドジョウ雑食性で、ユスリカの幼虫などを主に摂食する。体は細長い円筒形で、全長は10-15 cm。口ひげは上顎に3対下顎2対で合計10本ある。このひげには味蕾(みらい)があり、食物を探すのに使われる。えらで呼吸するほか、腸で空気呼吸も行う。水中の酸素が不足すると、水面まで上がってきて空気を吸う。体色は茶褐色で、背部に不明瞭な斑紋を持つものがほとんどだが、まれに「ヒドジョウ(緋泥鰌)」と呼ばれるオレンジ一色の白変種もあり、観賞魚として商業流通する。
個体差はあるが、危険を察知した際や水温などの条件によって水底の砂や泥に潜る事があり、飼育下ではこの特徴が災いして水槽内の水草をことごとくほじくり返される事がある。
文 化
ドジョウは古くから食用に用いられており、江戸の郷土料理となっている。ドジョウすくいは泥田でドジョウをすくう姿を滑稽に描写するもので、安来節に合わせて踊られ、忘年会等の宴会芸の定番であった。中部地方(長良川など)では「のぼり落とし」と呼ばれる漁罠を用いてドジョウを捕らえた。
食 材
スーパーマーケットで売られている中国産ドジョウ大ぶりのものは開いて頭と内臓を取り、小さいものはそのままで、ネギやゴボウとともに割下で煮て卵で閉じた柳川鍋とされることが多い。卵で閉じないものはどぜう鍋と呼ばれる。また唐揚げでも食べるなど特に東京近辺で好まれるため、産地は利根川水系のものが大部分を占めているが、韓国や中国などからの輸入品も存在する。有棘顎口虫の中間宿主となるため、踊り食いなどの生食は危険である。
ドジョウの蒲焼き
金沢市では、土用の丑の日にウナギの蒲焼きの代わりにドジョウの蒲焼き(関東焼き(かんとやき))を食べる風習が今でも続いている。しかし近年は、ドジョウの蒲焼きの価格が高騰したりドジョウの苦味を敬遠する人が増えたことから、他地域と同様ウナギの蒲焼きを食べる人も多い。
地獄鍋
生きたドジョウと豆腐をいっしょに鍋に入れて徐々に加熱してゆくと、熱さを逃れようとして豆腐の中にドジョウが逃げ込むが、結局は加熱されてドジョウ入りの豆腐ができあがる。これに味を付けて食べるのが地獄鍋である。実際には、頭をつっこむ程度で逃げ込むまでには至らないことも多い。中国や韓国にも同様の料理があり、中国では「泥鰍?豆腐」などという。
チュオタン(鰍魚湯)
チュオ(鰍魚)は韓国語でドジョウを意味し、韓国で一般的なドジョウのすり身を入れたスープ。
粉末ドジョウ
中国では、ドジョウを「水中人参(水中の薬用人参)」と称する事もあるほど薬膳に用いることも多いが、泥抜きしたドジョウを加熱乾燥し、破砕した粉末を食餌療法に用いる例もある。解毒作用があるとされ、A型肝炎の回復を早めたり腫瘍の予防になるともいわれる。
表 記
多くのドジョウ料理店などでは「どぜう」と書かれていることもあるが、歴史的仮名遣では「どぢやう」が正しいとされている。大槻文彦によれば、江戸後期の国学者高田与清の松屋日記に「泥鰌、泥津魚の義なるべし」とあるから「どぢょう」としたという。「どぜう」の表記は、江戸時代の商人が「どぢやう」は四文字で縁起が悪いとして、同音に読める「どぜう」と看板に書くようになったのが始まりといわれる。
慣用句
二匹目の泥鰌
柳の下にいつも泥鰌はいない
近縁種・類似種
名前が似ているタイワンドジョウ(Channa maculata)は、カムルチーと合わせて雷魚とも呼ばれ、タイワンドジョウ科に属する別の魚である。またカラドジョウ(Paramisgurnus dabryanus)もドジョウと似ているが、別属の外来種である。
出典 : ドジョウとカラドジョウ
出典 : フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
和名 : ドジョウ(泥鰌、鰌、鯲)
英名 : oriental weather loach
ドジョウ(学名:Misgurnus anguillicaudatus、英: weather loach、weatherfish)は、コイ目ドジョウ科に分類される淡水魚の一種。日本全国の平野部の水田や湿地などに生息。中国、台湾、朝鮮半島にも分布するほか、食用魚として養殖も盛んに行われている。
広義にはドジョウ科全体を指す。英語のローチ (loach) は通常、ドジョウ科の総称である。しかしここではドジョウ科の M. anguillicaudatus 一種について述べる。
特 徴
ヒドジョウ雑食性で、ユスリカの幼虫などを主に摂食する。体は細長い円筒形で、全長は10-15 cm。口ひげは上顎に3対下顎2対で合計10本ある。このひげには味蕾(みらい)があり、食物を探すのに使われる。えらで呼吸するほか、腸で空気呼吸も行う。水中の酸素が不足すると、水面まで上がってきて空気を吸う。体色は茶褐色で、背部に不明瞭な斑紋を持つものがほとんどだが、まれに「ヒドジョウ(緋泥鰌)」と呼ばれるオレンジ一色の白変種もあり、観賞魚として商業流通する。
個体差はあるが、危険を察知した際や水温などの条件によって水底の砂や泥に潜る事があり、飼育下ではこの特徴が災いして水槽内の水草をことごとくほじくり返される事がある。
文 化
ドジョウは古くから食用に用いられており、江戸の郷土料理となっている。ドジョウすくいは泥田でドジョウをすくう姿を滑稽に描写するもので、安来節に合わせて踊られ、忘年会等の宴会芸の定番であった。中部地方(長良川など)では「のぼり落とし」と呼ばれる漁罠を用いてドジョウを捕らえた。
食 材
スーパーマーケットで売られている中国産ドジョウ大ぶりのものは開いて頭と内臓を取り、小さいものはそのままで、ネギやゴボウとともに割下で煮て卵で閉じた柳川鍋とされることが多い。卵で閉じないものはどぜう鍋と呼ばれる。また唐揚げでも食べるなど特に東京近辺で好まれるため、産地は利根川水系のものが大部分を占めているが、韓国や中国などからの輸入品も存在する。有棘顎口虫の中間宿主となるため、踊り食いなどの生食は危険である。
ドジョウの蒲焼き
金沢市では、土用の丑の日にウナギの蒲焼きの代わりにドジョウの蒲焼き(関東焼き(かんとやき))を食べる風習が今でも続いている。しかし近年は、ドジョウの蒲焼きの価格が高騰したりドジョウの苦味を敬遠する人が増えたことから、他地域と同様ウナギの蒲焼きを食べる人も多い。
地獄鍋
生きたドジョウと豆腐をいっしょに鍋に入れて徐々に加熱してゆくと、熱さを逃れようとして豆腐の中にドジョウが逃げ込むが、結局は加熱されてドジョウ入りの豆腐ができあがる。これに味を付けて食べるのが地獄鍋である。実際には、頭をつっこむ程度で逃げ込むまでには至らないことも多い。中国や韓国にも同様の料理があり、中国では「泥鰍?豆腐」などという。
チュオタン(鰍魚湯)
チュオ(鰍魚)は韓国語でドジョウを意味し、韓国で一般的なドジョウのすり身を入れたスープ。
粉末ドジョウ
中国では、ドジョウを「水中人参(水中の薬用人参)」と称する事もあるほど薬膳に用いることも多いが、泥抜きしたドジョウを加熱乾燥し、破砕した粉末を食餌療法に用いる例もある。解毒作用があるとされ、A型肝炎の回復を早めたり腫瘍の予防になるともいわれる。
表 記
多くのドジョウ料理店などでは「どぜう」と書かれていることもあるが、歴史的仮名遣では「どぢやう」が正しいとされている。大槻文彦によれば、江戸後期の国学者高田与清の松屋日記に「泥鰌、泥津魚の義なるべし」とあるから「どぢょう」としたという。「どぜう」の表記は、江戸時代の商人が「どぢやう」は四文字で縁起が悪いとして、同音に読める「どぜう」と看板に書くようになったのが始まりといわれる。
慣用句
二匹目の泥鰌
柳の下にいつも泥鰌はいない
近縁種・類似種
名前が似ているタイワンドジョウ(Channa maculata)は、カムルチーと合わせて雷魚とも呼ばれ、タイワンドジョウ科に属する別の魚である。またカラドジョウ(Paramisgurnus dabryanus)もドジョウと似ているが、別属の外来種である。
出典 : ドジョウとカラドジョウ