エヌのブログ - 永田町激動記 & 東日本大震災記録

2011.8.30新首相誕生に伴い、≪エヌのブログ - 東日本大震災記録≫を、( ↑上記↑ )に改題

TPPで飛び交う3つの嘘  「開国」ではなく「属国」、永遠にアメリカの要求が続く

2011-10-30 18:21:47 | 激動の永田町
金子勝の天下の逆襲
TPPで飛び交う3つの嘘 「開国」ではなく「属国」
日刊ゲンダイ 2011年10月26日(25日発行)


TPPをめぐる動きをみていると、あからさまな嘘が行き交っている。

まず、農業は被害を受けるが、工業製品の輸出は伸びるという嘘だ。工業製品が伸びる保証は、どこにもない。TPPは24の交渉分野があるのに、政府はその詳細を明らかにしていない。メディアがそれを暴露するどころか、片棒を担いで「農業イコール抵抗勢力」といったキヤンペーンを繰り返す。まるで小泉政治のようだ。

2つ目は、韓国は米韓FTAを結ぴ、アメリカに食い込んでいるので、日本もTPPに参加しなくてはいけない、という嘘だ。だが、TPPとFTAは決定的に違う。FTAはおおむね1割程度の例外項目が認められており、米韓FTAも主食のコメは自由化から外した。ところが、TPPは原則、例外なしの関税撤廃である1俵3000円のカリフォルニア米が入ってくれぱ、低所得者はそちらを食べるだろう。デフレが加速する。

もうひとつ、TPPはネガティブリスト方式をとっていることを隠している点だ。ネガティブリスト方式では例外項目以外はすべて自由化するのに対して、ポジティブリスト方式は自由化する対象項目を記載する。従来、日本のFTAやEPAはポジティブリスト方式をとってきた。お互いウイン・ウインの関係で自由化を進めることができるからだ。

ネガティブリスト方式をとるなら、最初に例外項目をしっかりと決めることが不可欠だが、実際には例外項目はほとんど認められない。たとえぱ、カナダは酪農分野を例外にと主張したために、TPPへの参加を断られた。

しかも、日本の「植民地」官僚たちが、アメリカ相手に、これを例外にしろ、あれも外せ、と交渉する能力があるとは思えない。イラク戦争しかり、普天間問題しかりである。

いったん日本がTPPに参加してしまったら、アメリカから永遠に「あれを自由化しろ」「これも開放しろ」と要求されるのは明らかだ。しかもTPPは、要求する側のアメリカに決定的な正当性を与えることになる。

甘い考えでTPPに参加したら、アメリカ企業が日本で自由に儲けられるようになるまで、永遠にアメリカの要求が続くことになるだろう。これは平成の「開国」ではなく「属国」化なのだ。(隔週火曜掲載)




最新の画像もっと見る