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Q:Quickness

Q:Quickness

表題は、“すばやさ”です。
バレーボールをやっていた人にとっては、Aクイック、Bクイックというプレーのクイックが馴染み深いでしょう。
あるいは水泳のクイックターンとかのクイックもこれです。
一日遅れで書いていて、テーマがクイックネスなのは、笑えます。(申し訳ない)

今日は、素早さに関わる事柄について気づいてきたことを伝えたいです。

先日、生徒から集めている授業の感想の中で、僕の指示を実現できなかったことについて、
その指示が嫌だったのではなくて時間がなかったのだ、ということが書かれていました。

その男子生徒にした指示はもはや覚えていないのですが、恐らく素早く代案を提示してしまったのだと思います。
一度やってもらってできなかったので、次の指示を出しました。
彼がその指示を嫌がっているのかな、と思ったのかもしれません。
それで俳優の意向を汲んで別の提案を出した覚えがあります。

演出家にとって必要なことは、この二度目の指示の素早さでしょう。

私は基本的に映像が頭に浮かんで、それを逐一舞台上で実現させて行きたい、というタイプではなくて、
戯曲が要求するルールの中で、ゴールというか、クリアしたい課題があって、
それを俳優たちや音や明りを用いて解決していく、というタイプです。

書写や写生をする画家ではなく、どっちかというと医者ですね。
作品として舞台上に載せる時に、成し遂げておきたい事柄というのがあって、
それには困難がある。その困難を打ち破って、どんな方法を用いてでも実現させる、ということです。

例えば、そのシーンに緊張感がいる場合、最も楽な解決法は緊迫する音楽を流すことです。
あるいは、だんだん明りが暗くなる、明滅する、なども使えます。

俳優を使うなら、俳優自身を緊張させる、という手もありますし、何かガラスを割ったり、とかナイフを手に取らせる、などでも良いかもしれません。

例に出した男子生徒は、演出の指示を実現できなかった、と落ち込ませてしまい悪かったですが、僕にとっては、俳優さんができなかったら二本目の矢を出すのは当たり前で、むしろそこでこそ演出家の力量が問われている、と考えています。

悲しみを表す場合、戯曲が要求する悲しみの表現それ自体には幅が必ずあります。
その俳優さんと創り上げてきたキャラクターの幅もありますし、その俳優さん自身の表現方法の引き出しも多彩でしょう。
だったら、たくさんの方法を試す方が、単なる演出家の1アイデアを実現させるのに汲々とするよりは、よほど実りがあるかと思うのです。

そして、演劇作品には必ず公演日という〆切がありますから、その点でも二度目の指示の素早さは演出家には必須の能力だと思います。


話は変わりますが、手話をやりながら素早さ(quickness)について、気付いたことがあります。

僕は、自分で言うのもなんですが、手話が早い方です。
覚えがではなくて、実際に表現するスピードがです。

これは、ピアノをやっていたせいがあるかな、と思っています。
ピアノをやっていた人は多分、「ドミソ」というと、親指と中指と小指が均等に開かれて、鍵盤を押さえる手の形にすぐなるんじゃないかな、と思います。
「ドファラ」だと、親指が少し離れて、中指と小指は均等に開かれている形になるでしょう。
これらは和音を押さえる形です。

こうした手の形を出す時に、心の中で「ドファラ」と言ってますし、イメージが浮かんでいます。
手話でも、特に指文字(あいうえおの50音)はこれと同じ経過がたどれます。

手話をしている人たちは、言葉を考えて、それを表す手の形を検索し、それから表現する、という三段階の作業をこなすことになります。
長年手話を使っている人を見ていると、当然ながらこの作業スピードが違います。
早い人は考えながら次の瞬間には手話になっています。

この「考えたり言葉を心の中で言いながら手を動かす」という作業に、先述のピアノで慣れている僕はずいぶん有利なのかもしれません。

誰かに、「話をしながらこの身振りをしてください」という指示をだすと、決まってその箇所で止まってから、その身振りを行います。

これはとても時間がかかります。
ここを素早くしようと思うと、話しながら手を動かす必要があります。

これがやれない人は多いので、言葉と手を同時に動かすということに慣れていない人が意外に多いのだろうと推察しています。

さらに言うと、手話を使うほうが表情が豊かになります。
これは逆に、手話で喜びという動きをしていることが表情に反映されているのだと思います。

「よ・ろ・こ・ぶ」と単に言うだけでは、喜ぶという手話をやるほどの表情は出ないと思います。
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