YOU-PROJECT BLOG

『ぐるぐる』紹介、その3:主演俳優インタビュー

まずは、4月29日にあった枚方演劇連盟総会でのパフォーマンス(今度の試演会から10分間の抜粋)の写真から。



そして 今回は、主演俳優の氏田敦さんにインタビューしました。
YOU-PROJECTでは、2006年のシェイクスピア『ジュリエット-Julie Capulet-』でジュリエットの父親役が初参加でした。演出で6人いる娘に対峙する重厚な役柄をみごとに演じられ、その後のブラックコメディの傑作ギィ・フォワシィ『橋の上の男』では、自殺しようとする男を軽妙に演じていました。これは2011年から2013年までの連作で、今回のような時間をかけた作品にしっかり付き合ってくださいました。
2020年から長期間にわたって作ってきたこの作品について、どんな事を語ってくださるのか・・・、秘話が明かされます。どうぞお楽しみください。
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確か新型コロナ感染拡大で、一度目の緊急事態宣言発出の直前の『ワーニャ伯父さん!』公演を終えての次への移行時期に、演出の松浦氏からのお誘いがあった。同じように一人芝居を作ろう、その原作にする、何かしら文章にしたものはないですかと。
あいにく私は著述することはやってなくて、他人に読んでもらえるようなものは一切持ってない。でも何か読ませてほしいということで、ちょうど1年前に入院手術をした、その折に病院で毎日どんなことがあるかをメモ程度に書き付けた、日記とまでも言えないメモ記録を引っ張り出した。
約2か月分のメモを読んだ彼から、入院して手術をした役者の物語にしつらえてみたいとの提案があり、このメモを自由に使って創作構成してもらったのが今回の“ぐるぐる”である。
コロナまん延の状況で自粛自粛の日常となり、あらゆる公演が延期や中止となった。そこでzoomを使っての本読み・読み合わせが提案され、you企画(英語表記:YOU-PROJECT)の「オンライン稽古」をはじめる。世の中でも、不要不急の移動や集会は控えるようになり、人と会うことも話すことも減って一人で過ごすことが多くなり、社会全体に孤独な状態に置かれる人が増えていた。そうして、ソリチュード~孤独~一人芝居シリーズ(初演は2021年12月『七転罵倒』『あずき粒』)が始まっていく。
私には、思えば手術後のリハビリに付き合ってもらうつもりの「ワーニャ」参加だったのが、思いがけなく次の作品つくりにつながったということだ。

さて、その作品だが面白い。メモ書きの中からいろんな気持ちや思いを読みとったり、意味を込めたりして人間を想像させてくれる。自分だが自分ではない人物がいる。また自分でないが自分だろうなと思う人物がいる。やはりさすがに作家サンだと感心する。
しかしだ、これを演じるとなるとなかなかに難しい。あらためて自分を振り返り見直しとらえていかなければならない。異なる部分をいかに取り込み違和感なく自分にできるか、自分そのものをどう自分として表出するのか…、いまさらながら、演じることの困難さが、立ちはだかってくる。面白さが得られるまでに行きつけるのか。わからない。
わからないが、わからないはわからないでそれにぶち当たり、繊細で丁寧で粘り強く表現にこだわりを持つ演出に任せて、指摘されることを忠実にやってみようと思う。何かが生まれ出てくることを期待してみよう。試行の後に楽しめるようになればいいのだが…。
それにしても今のいま、セリフが入らないという現実にぶち当たり四苦八苦だ。覚えがよくないのはいまに始まったことではないが、ここ数年は殊にひどい。年齢的にも衰えてきているのは否めない。身体的にも気力も体力も集中力も記憶力もすべてが低下してきている。
だがしかしだ、そうは言ってられない、やるだけやってみるしかないのだ。そのうえで観客の皆様に何かを感じてもらえれば楽しんでもらえれば…なによりだ、と。
さてさて幕が上がるか――

出演:氏田 敦(劇団冬芽舎)
    京都市生。劇団冬芽舎〈休止中〉代表・俳優 。劇団京都小劇場を振り出しに活動開始。劇団カオスを経て冬芽舎へ 。京都を拠点に関西の舞台で活動。冬芽舎俳優教室指導(1~16期)放送芸術学院・大阪アニメーションスクール専門学校元講師(95‘〜16’まで)など後進の育成にも尽力。劇団活動休止後も独り他劇団への出演を続け現在に。

『ぐるぐる―countless traces—』(氏田敦『入院メモ』より)
“ぐるぐる、てくてく。よりみち、まわりみちして、歩いてく。”
 作:クスキユウ 演出:松浦友 出演:氏田敦(劇団冬芽舎)

“思いもよらないことがいつ誰にでも起きる”
入院と手術を機に声の不調に苦しみ、見えざる“死”と対峙する俳優。
今まで演じたキャラクターと共に闘い、無事に本番を迎えるまでを、チェーホフや聖書、また尾崎放哉、小林一茶の俳句などの引用と共に上演。
演じること、生きることの本質を、多様な発話によって表現する。

2022年5月14日(土)16:30開演 (第39回5月祭参加)
(開場は15分前、上演予定時間20分)

<会場>枚方市立楠葉生涯学習市民センター3階視聴覚室
 〒573-1118 大阪府枚方市楠葉並木2丁目29-5 
<アクセス> 京阪樟葉駅から東へ800m:徒歩約10分
京阪バス、あさひバス停 徒歩約2分
<参加費>500円 
高校生以下無料(要学生証、小学生以下は保護者同伴が必要)
<予約・問い合わせ>
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