「言うまでもなく、家は誰かによって造られるのであり、」という、古代ローマの教師ポールの言葉は、「すべてのものを造ったのは神です」と続きます。
引用シリーズです。
ヌクレオチドとは、DNAを構成する基本単位で、アデニン(A),シトシン(C),グアニン(G),チミン(T)という化学塩基です。この4種類の塩基が,アルファベット文字のようにさまざまな形で組み合わされて“文”を作り,その“文”がDNA複製など細胞内のいろいろなプロセスに関する指示となります。いわゆるゲノムです。これが私たちの体各部のレシピを収めた大きな書庫のようなもので、そこに30億ほどの“文字”,つまりヌクレオチド(塩基)があります。ヒトゲノム解析計画によると,それを紙に書き出した場合,1,000ページの電話帳200冊分の情報量になります。
ちなみに人体の一つの細胞の中にあるDNAをまっすぐ伸ばすと,2㍍ほどの長さです。ある推定によれば,もし体内の幾十兆個もの細胞のDNAを取り出してその端と端をつなぎ合わせたとすると,全長は,地球と太陽の間を670回近く往復するほどの長さになります。光の速さで進んだとしても約185時間かかる距離です。
何だか、ものすごい長い原作を演劇ドラマに縮めるようなものです。これがものすごく難しいのは当たり前で、もっと言うと、人の一生をほんの1時間かそこらにまとめてしまうのは難しいのだけれど、そこを抽出して人前に出して見せるのが我々の仕事です。そこに「意図が必要だ」というのが何度も僕が主張していることです。
ちなみにこのヌクレオチドは、長年,タンパク質の生成のみに関係するレシピだと考えていました。しかしタンパク質のための暗号情報(コード)は,ゲノムの2%ほどに過ぎないので、DNAの残りの98%は,「進化の過程におけるがらくたである」とすぐに片付けられたそうです。でも、ジャンクDNAの多くには,調節RNA(リボ核酸)と呼ばれるある種の複雑な分子に関するレシピが含まれ、細胞の発達,成熟,機能の面で重要な働きをします。最近の研究は,長鎖非コードRNAがかなり複雑であり,正常な発達に欠かせない,ということを示しています。長鎖非コードRNAの機能不全が多くのがん,乾癬,アルツハイマー病などの病気に関係していることも分かっています。以前は“ジャンク”とされていたものが様々な病気の診断と治療のかぎを握っているかもしれないのです。
今回は、まるで生物学の調査研究のようになりましたが、今、新作を作っている過程はまさにその通りであり、今、タイトルとシーンを決めていく過程でたくさんのものを捨てるのだろうな、と思います。
同時に、作品を作る上で、膨大なバックストーリーというのが実は重要で、いろんな知識が他の知識の支えとなっているのだな、と感じます。
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