用と美のブログ

デザインと使い勝手について書いていきます。

プロダクトデザインの造形力について

2019-05-21 10:01:20 | 日記

モダンデザインは、「課題を解決するのに最もシンプルでバランスの取れた方法を美しいとしましょう」という価値観がベースです。
ですから、当然真四角なものや真ん丸な基本形が多くなります。
一方で、その基本形で果たして要件が満たされているかどうかが問われますが、使い勝手との両立を条件に入れると難しいです。

上の炊飯器は30年以上前のデザインですが、蓋の上に操作部を設けた最初のIH炊飯器です。
同じく同じ考えの炊飯器が他社からも発表されましたが、それが真四角の形で水平に操作部がレイアウトされていました。
使うときは斜めがボタンを押しやすく、遠くからでも炊飯ランプが見やすいようにすると、普通は大きくなってしまいます。

これは、斜めに操作をレイアウトしつつも、後方はカットしてコンパクト化も両立し、斬新で魅力的なデザインが実現できています。
言葉でいうと簡単ですが、そのために必要なのは造形力です。
条件を生かすために不細工なデザインになるのが普通なのですが、ここで頑張ると新しいデザインが創造できるのです。

シンプルなだけのデザインは、学生にもできます。
プロのデザインは、二律背反要件を解決する造形力が求められるのだと思います。
※この商品は様々なデザイン賞を受賞しただけでなく、登録意匠では初の全国発明協会の発明賞もいただきました。



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