goo blog サービス終了のお知らせ 

Carpe Diem

Seize The Day.それが私の生き方。

アラブ諸国での政変とSNS

2011-02-21 10:12:53 | Weblog
昨日2011年2月20日放送の「NHKスペシャル『ネットが革命を起こした~アラブ・若者たちの攻防~』」面白かった~!

最近も映画「ソーシャル・ネットワーキング」観てSNSの影響力(と、映画鑑賞時はその創設者)の凄さを再認識したところだったけど、まさか今回の中東各地の政変にSNSがこれほど大きく関わってたとはね…。

ちょうどシリアいてた時にチュニジア政変始まって、「どうして今このタイミングでこれ!?」と驚いてたところだったんだけど、チュニジア政変やエジプトでのデモの経過とSNSの関係に焦点を当てた今日の番組を観て、合点がいった。

チュニジア政変のきっかけが、『路上商売を摘発され、不当に暴行を加えられた上に賄賂を要求された青年が抗議の焼身自殺を図った様子を一般人が録画し、you tubeに投稿した映像』だったとは!更に、エジプトでの活動家たちが連絡を取り合い、大幅に活用していたのがfacebookだったとは!当事国でのネット普及率を考えると、それが政変に至った全てのツールであったとは言えないかもしれないが、間違いなく主要ツールであったのだろう。ネット・パワー、SNSパワー、さすがだ。(ちなみに、当事国のデモとネット及びフェイスブック普及率の関係性をまとめている方がいらっしゃったので、参考までに:エジプトデモに見るネット普及率とフェイスブック普及率との関係性

***番組概要***

エジプトやチュニジアで相次いだ長期政権の崩壊は、facebookや twitterなど最新のインターネット・ツールを駆使した若者たちが、言論統制の壁を打ち破り、弾圧された民衆の怒りを噴出させたことにより実現した。

facebookは、情報暗号化の段階が他のサイトより早い関係上、外部からの情報検閲が他のサイトより難しかったことで、活動家たちが活動拠点として利用しやすかった。対するエジプト政府の秘密警察はデモ活動支持者になりすまし、活動のネット拠点に潜入し、アカウント削除と情報網破壊を行おうとするが、活動家たちが人海戦術にて新たなアカウントを素早く立ち上げていくことで対抗。政府側は、上部における(彼らに対する)SNSの脅威への認識不足と、それに伴う人員不足にて対処を断念。

続いて政府は、エジプト全土のネット・プロバイダーの会社4社全てが政府の管理下にあることを利用し、ネット遮断を強行するも、グーグル社を始めとする海外からの批判の増加、また、独裁政権転覆と秘密文書暴露を狙った国際的ハッカー集団アノニマスからのハッキングと情報乱入の集中攻撃を受け、たった二日の後に国内でのネット提供を再開。デモ決行後、大統領の任期満了後の辞任声明という懐柔策にて反政府デモが一時終息に向かい始めるも、活動家によって流されたデモ時の死亡者リストによって民衆の反政府感情が再熱。大勢による激しいデモの中、ついに大統領辞任。

*************

辞任に追い込むまでの道のりも激しかったけど、本当に大変なのはこれからだ…。

当事国内においては、民族間・宗教間・所得差による抗争の恐れも含めた、現在の無政府状態の中での治安、その状態がもたらす社会・経済的打撃、新政権掌握を巡っての抗争と、新たな利害集団の誕生、そして、その結果がエジプトに何をもたらすか、といった多くの懸念がある。

国際的には、現時点での石油高騰などの問題に加えて、どの集団・誰が新政権を樹立し、それがどのような政権となり、どんな対外政策を取るか、が最大の焦点となる。事の次第によっては、中東のみならず今後の世界の様相に多大な影響を与える。

エジプトはアラブ圏においてリーダー的存在であり、多くの中東諸国がその在り方に追随する。エジプトの新政権が民主的なものになるか、再度独裁的なものになるか、政教が一体となったものとなるのか。更に、政権が親欧米になるのか、反欧米になるのか、それとも中立的な違ったものになるのか。それによって、他のアラブ圏諸国の方針と動向が大きく左右されるだろう。

もし、仮にムスリム同胞団といった、イスラム教原理主義集団(貧困層を中心とした一定層の彼らに対する支持は熱い)が新政権を掌握し、例えば反欧米的方針を取った場合、アラブ圏全体において反欧米的風潮が増幅する可能性も考えられ、その際には貿易等での経済的な障害の発生のみならず、その風潮に乗じたテロの増加などから、国際的なテロの脅威が拡大する危険性も懸念される。

(*注意:突然ですが、ここから先に、映画「Vフォー・ヴェンデッタ」の重要なネタばれがあるので、「言うなクソがああーーーっ!!」という方は、以下を読まないで下さいな。)

独裁的と判断される政権の転覆を後押ししているハッカー集団アノニマスが声明で利用しているマスクは、映画「Vフォー・ヴェンデッタ」で、近未来英国の独裁政権の転覆を図るテロリスト『V』が使用した、1605年の火薬陰謀事件の実行責任者であるガイ・フォークスの顔を模ったマスクだ。

あの映画は大変出来が良かったと思うし、大好きなのだが、いつも鑑賞後、思うことの一つに、「独裁政権転覆後の無政府状態の中で、はたして人々は理想の政府を築くことができるのだろうか」というのがある。

政権のトップを排除したところで、従来の利害集団は残り、新政権の利権を争う。民主主義(この概念自体の内包する問題はさておき)の在り方を知らず、長く受動的であった国民が大半を占める中、独自に、民主的な政府を確立することができるのか。新たな独裁政権が生まれたり、無政府状態の中で秩序の回復せぬまま、国力が衰退し、社会・経済的に脆弱な国へと転落したり、最悪、民族・宗教・所得差などで生じた不満や不信が爆発し(また、現状を機会とみた、それらのアクターの扇動によって)内戦に近い状態に陥るのではないかという懸念を抱く。

特に映画の場合、革命の主導者であるVが革命成功と同時に死ぬだけに、その後の状況がより一層強く懸念されるが、それらは、現在の中東での相次ぐ政変にも大いに当てはまる。ムバラク政権打倒後の現エジプトでは、新政権を巡る利害集団の攻防の他、賃金上げや労働条件向上のストが毎日行われている状況らしい。この先どのようになっていくのか、今後も目が離せない。

ところで、Vのマスクを付けて、独裁政権を批判するアノニマスの声明映像、以前にyou tubeで見たことがある気がするんだよね…。この集団、エジプトが初めてのターゲットじゃないよね?

*******************

この記事を読んだ友達が、タレントのエジプト人フィフィさんのブログに、今回のエジプトでのデモについて詳細な意見が載せられているとあったので、読んでみた。当事国のアイデンティティを持った方の意見は大変興味深いので、ここにURL張っておきます。いや、彼女のアメブロでのトラックバックの仕方が分からないだなんてそんなことは(略)。『エジプトの夜明け~新たな一頁へ』より一連の記事

最新の画像もっと見る

4 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (yuka)
2011-02-22 16:38:05
NHKスペシャルでやったのは知ってて、見たいなぁーと思ってたので概要まとめてくれてthanks!シリアでもfacebookでデモが呼びかけられ、小規模ながらも決行されました。
そして、今回のこれをきっかけに、今までfacebookやYou Tubeはプロキシをいじらないと見れなかったのが、政府の許可がおり、今では自由に見れます。

激動の中東であります。
返信する
Unknown (Q)
2011-02-22 22:12:00
>yukaさん

コメントとシリアのアップデートをありがとうございます!

シリアでもデモがあったことはニュースで存じ上げていましたが、それもfacebookで呼びかけられたデモだったんですね!
そこで政府がネット規制を強化するのではなく、それらSNSを自由に閲覧できるようにしたのはすごいですね。デモの要求が何だったのか存じ上げないのですが、SNSの自由閲覧を許可したことで、民主的な政府であって圧政ではないとアピールしたのでしょうかね。
返信する
Unknown (KokeSano)
2011-02-22 23:52:01
タレントのフィフィさんのブログ、エジプトデモのことすごく真面目に書いてはって正直ビックリやった。
てかシリア行ってたのにもビックリ(;゜0゜)
返信する
Unknown (Q)
2011-02-23 09:59:56
>KokeSanoさん

これはフゾッキーのSanoちゃんかな?

コメントありがとう!!

そうか!フィフィさんエジプト人だったよね!!
彼女のブログのこと教えてくれてありがとう!「エジプトの夜明け~新たな一頁へ」からの一連の記事、さっき見に行ってきた。当事国のアイデンティティのある方のお話を伺うのは本当に興味深いわ。

2011 年1月にシリアとヨルダン行ってて、トルコ、そしてエジプトにも昨年行ってるんだ。まさかこんなことになるとは思わなかったけど、治安が安定しているうちに行けてよかった~!!アラブ圏旅行談は、そのうちまたブログに上げます!^^(って言って書けてない旅行がまだいっぱいあるんだけどね…^^;)
返信する

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。