物置、その存在の指し示す方向。

冬タイヤの季節です。

自分でタイヤ交換できないゆとりなので

そのような時は基本、整備屋に全任せです。

（最近の出費はどうも車ばかりな件。）


タイヤを車に積んでいかんとならんので物置の鍵を探しました。


3個くらい持っていったら使えるのがありました。
どの鍵だかすぐに忘れるのです。


南京錠ハァハァ。

物置の中は
照明が起動しないので暗闇です。

懐中電灯は基本ウザいので所持せず
勘のみで内部へと侵入しました。

眠っている農機具と、
死んでいる家具と
別の生物になろうとしているじゃがいもをかいくぐり

「闇に目を慣らしているのさ…暗闇の中で君を見失わないように」
という模範的なセリフを吐きました。


そうして

なんとか

内側からもう一つの扉を開けて、その扉からタイヤを運び出そうとしたら

通り道はおびただしい数の盆栽群によって閉ざされていました。
（最初に気付いていた件。）


「うっぜ！うっぜ！盆栽うっぜ！」
という理性的な言葉と共に、私は盆栽を動かさず

隙間からそっとタイヤを運び出しました。

案の定

枝が折れました。







夕食の時、父にそのことを打ち明けると


父は悲しそうな顔をしました。


そしてこう言いました。


「請求はあとでまわしておく。」





枝を折ったのは実に20年ぶりです。



払う気は全くねーよ？