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やぶ泌尿器科のあたふた診療録

田舎の泌尿器科医、悪戦苦闘の診療記録

タマが腫れた

2005-07-29 | 泌尿器科
 誰でも一度くらいは信楽の狸の見たことがあるだろう。見事なまでのでっかいきんた○。先人達の男性能力に対する憧れが凝縮されているのかもしれないが、泌尿器科医にとってはきんた○が必要以上に大きくなるの事は決して笑い事ではない(多分、普通の人にとっても笑い事ではないだろうと思う)。

 中でも一番怖いのが、きんた○に出来る癌。その名も「こう癌」って、そんな訳ないだろ。この癌は、癌年齢と言われる40歳以上の年代よりずっと若い人に多い。若い男性はきんた○が大きくなってきても、羞恥心もあってなかなか医療機関を受診しない。しかも若さ故、病気の進行するスピードも速い。たまりかねて受診した時には手遅れとは言わないまでも、相当に病気が進行した状態であることも稀ではない。どちらか片方のきんた○が異様に大きく(大抵は硬く)なってきたら、もうちょっと待ってびっくり人間大集合に出演しようなどとは考えず、一刻も早く泌尿器科に行きなさい。

 その他、きんた○が腫れる(正確には陰嚢内容が大きくなる)病気には、きんた○袋に水や精液が溜まる病気(それぞれ精巣水瘤、精液瘤といいます)、腸が袋に入り込むヘルニアなどがあるが、最近多いのがクラミジア感染症による精巣上体炎(副睾丸炎)。きんた○の隣にある副睾丸というところにクラミジアの感染が及び、硬く腫れて痛む病気である。注意深く触ってみると、腫れているのはきんた○そのものではなくて、その横に硬く腫れたしこりがくっついているのがわかる。

 さらに、きんた○に繋がっている血管がねじれる精巣捻転症。すごく痛そうな名前なのであるが、実際ものすごく痛く、袋の中身全体が腫れ上がる。命に関わる病気ではないが、場合によっては緊急手術が必要となる。

 このようにひと言できんた○が腫れる病気といってもいろいろなものがあり、従ってここは泌尿器科学の試験のひとつのヤマでもあったのだ。すなわち「陰嚢内容が腫大する疾患を5つあげよ(きんた○がでかくなる病気を5つ言ってみな)」というのがそれである。
 
 今まで、私のお話を聞い頂いた懸命なみなさんはすぐにおわかりのことと思うが、解答は、

 1、精巣腫瘍(きんた○の癌)
 2、精巣水瘤または精液瘤
 3、ヘルニア
 4、精巣上体炎
 5、精巣捻転症  以上が正解なのである。

 私と一緒に口頭試問を受けてこの問題が当たってしまったA君。ヤマが外れたのかウンともスンとも言わない。「どうした、A君。野球でもとりあえずバットを振らないとボールには当たらんぞ」とせっつかれ、大汗をかきながらその口から出た解答は、

「殴られた、蹴られた、挟まれた、潰された、咬まれた」

 かくして燦然と長く歴史に残る解答が生まれてしまったのである。それにしてもA君、最後の「咬まれた」って・・。

勃起障害診断装置

2005-07-28 | 泌尿器科
 ED(勃起不全)という疾患がある。少し前まではこの状態をインポテンツと称したのであるが、「精神分裂病」が「統合失調症」に、あるいは「痴呆症」が「認知症」に名称変更されたように、誤解を招くような名称や差別的意味合いを持つ名称は変更されるべきであるという世の中の流れに沿う形で「インポテンツ」は「ED」に変更されたという訳である・・ほんとかよ。

 してみると「インポテンツ」にはきっと誤解を招く要素があったのである。泌尿器科医の間では「インポテンツ」を「IMP」と略するのが常であったが、そうすると一般の方々はこれを「インポッシブル」と誤解されたのかもしれない・・って、まさにこのち○ち○の置かれた状況たるや「インポッシブル」そのものではないか。大いなる誤解というより、補足説明にさえなっていそうなのに。何が名称変更の本当の理由なのであろう。

 長年、この状態は泌尿器科医にとっても悩みの種だったのである。EDは決して命に関わる問題ではないのだが、人生に関わる問題を含んでいる。私の目の前で親戚一同を巻き込んで離婚問題に発展しそうなトラブルに至ったカップルもあるくらいなのである。しかし、性機能障害の診断と治療は時として難渋を極め、勃起能力を客観的に判定するためにさまざまな困難があったのである。「立ちません」と簡単に言われても、それが本当なのか、あるいはどの程度の勃起障害なのかを客観的に知るのはそう容易いことではない。まさにその時にそばにいて「ふむふむ」などと判定する訳にはいかないではないか(私なら、その条件だけでEDになってしまう)。

 勃起すればち○ち○が大きくなることは誰でも知っている。これを科学的に述べれば体積が増加することであり、それは全長や周囲の長さに反映されることになる。さすれば最初に思いつくのは通常の場合と勃起時との長さの差を測定する方法を考えればいいということになるなのだが、実はこれでは不十分なのである。たとえばある種の麻酔をかけると、ち○ち○はびっくりするほど大きくなるが、だらりと下に垂れた状態のままなのである。これは勃起とは言わない。言わば「ウドの大木」状態になっただけである。すなわち勃起には「硬度」が絶対不可欠な条件なのである。

 試行錯誤が繰り返された結果、「硬度を伴った膨張」を客観的に知る装置がついに開発されたのである。それは・・なんと「切手」。

 切手にはうまい具合にものに貼り付く能力があり、しかも適当な外力で容易に切れる能力も備わっている。これを通常の状態のち○ち○にぐるりと貼り付け、後はAVを鑑賞するなり、雑誌を見るなりして性的な刺激を加えればいいのである。そしてその結果、見事切手が切れれば、その方には「お役にたてる程度の勃起能力が備わっている」ということになるのである。
 また男性は性的な刺激がなくても、夜間に何度か勃起することが知られている。就寝前にち○ち○の周囲に切手を巻き付けて、朝起きて見事に切手が切れていれば合格ということになるである。 
  
 でも、何度トライしても全く切れないことが奥さんの知るところとなったら、ち○ち○に高額の切手を貼られたまま郵便局に連れいていかれ、「これでこの人を運べるところまで運んで捨てて来て」などと言われる事になるかもしれませんが・・。

そこは入り口ではありません

2005-07-27 | 泌尿器科
 人間にはつくづく共通の習性があるように思われる。そのひとつは「穴があったら、とりあえず何かを入れてみる」という習性である。ローマのサンタ・マリア・イン・コスメディン教会にある「真実の口」だって、この習性を利用したものであろう。違うかな。

 でもって、人間には幸か不幸か体表面にいくつか穴が開いている。どの穴であろうと無茶なものを思い切り奥まで入れたりすると大抵は大問題になるのであるが、幸いにも人には常識というものがあるゆえ、鼻にバットを入れてみた、耳にゴルフクラブを入れちゃったなんて人はいない(だろうなあ・・)。ところが、たとえ適当と思われる程度のものであろうと、入れちゃったらとても困る場合だってあるのである。その代表が膀胱異物。すなわち膀胱の中にまで物を入れちゃうケースなのである。

 女性の尿道は長さにして3~4センチ、ほぼ直線である。男性のそれは20センチ以上はあり(そんなに長くないと思ったあなた。外から見えない部分にも尿道はあります。よかったね)、しかも曲がっているため、膀胱まで物を到達させるのにはかなりのテクニックを要し、場合によっては医者でも苦労をすることがあるのだが、女性は入り口(正確に言うと、これは出口だと思う)から膀胱まで、素人でも容易に物を入れることができるのである。

 人によってはこれがなかなかよいらしく(何がどうよいのか、私には説明できかねます)、尿の出口から物を入れる趣味の方がいるから困るのである。ほとんどのケースはちょっと入れて出すだけだから問題が明るみに出ないのであるが、夢中になっているうちにすっぽり中に入ってしまうとさあ大変。もう自力で取り出すことはできない。尿道に指を突っ込んで膀胱に吐かせるなんて芸当ができる人はいないし、排尿と共に自然に体外に出ることもない(そんな柔なものを入れてもよろしくないからである)。 
 ここでようやく私達、泌尿器科医の出番となるのである。

 それでは一体何を入れるかというと、他の候補たちを大きく引き離し、長く一位の座に君臨していたのがかつての水銀体温計。今ならネットでどんな情報でも瞬時に駆けめぐるのであるが、古くから秘密裏に行われていた行為なのに尿道に入れる物が全国で共通していたとは、人間とは似たような発想をするものなのである。当時の水銀体温計は、その形といい太さと言い方さといい、まさに膀胱に入れるために作られたような代物だったのだ(デジタル体温計になってしまった今、替わって何が入れられているのであろう)。

 しかし取り出す方にとって、これはこれでなかなか大変だったのである。下手に取り出そうとして割れたりしたらガラス、それ以上に危険な水銀が膀胱内に散らばってしまう。

 膀胱カメラで膀胱内に放り込まれた体温計を眺めながら、果てさてどうしたものかと思案していると、私のため息でも聞こえたのか、検査台に乗っかった患者さん。自分のしでかした事を棚に上げて「先生、大丈夫なんですか」とまくし立てている。人の気も知らないで・・。

 あまりに「大丈夫ですか」と繰り返すものだから思わず、
「熱はないみたいですけどね」

カプセル型内視鏡

2005-07-26 | 泌尿器科
 1966年に制作されたアメリカ映画「ミクロの決死圏(原題:FANTASTIC VOYAGE)」は、私の中では間違いなくSF映画の中で3本の指に入ろうかという作品である。今から40年も前に造られたとは思えない斬新なアイデア、美しい視覚効果。

 当時、敵対していた東欧圏チェコから亡命してきた科学者の脳出血を治療するため、細菌大のミクロのレベルにまで縮小した主人公達がその科学者の体内に入り込むという、質量保存の法則など知ったこっちゃない豪快な?ストーリーで、当時の医学知識を元に作られているため、厳密に言うと正しくないところもあるのだが、そんなことは些細なことに思えてしまうほどの秀作なのである。

 現在はというと、さすがに血管内を自由に行き来はできないが、血管内を見ることができる装置はすでに開発されている。さらに口からカプセルのようなものを飲み込んで体外から操作しながら観察できる胃カメラが実用化されようとしている。まさにミクロの決死圏のアイデアの一端が現実のものとなろうとしているのである。

 胃カメラなるものは今まで3度ばかりご馳走になったことがあるが、私のように「げーげー」と嘔吐反射が強い人間にとっては飲み込むときがかなり辛いのである。特に電子内視鏡は口径が太いものが多く(うどんくらいの細いものも開発されています)、いつも心の中で「こんなもの、飲めるかー!」などと叫んでいる。もしカプセルのような胃カメラが実用化されたなら、きっと飲み込むのはずっと簡単なはずである。後は検査が終了するまで本を読むなり、DVDを観るなりしてのんびりと過ごす、そんな時代が早く来ないものか。

 今までの内視鏡といえば、口や肛門から挿入して検査を行い、そのまま来た道を引き返して来たのであるが、カプセル型の内視鏡は一方通行、出口まで引き返すことはできない。さすれば「あ、そこの場所、もうちょっと詳しく検査をしたいな」なんて思ったとしても、こちらの都合なんてお構いなしに先へ先へと進んでしまうのではないか。それではちょっと使い勝手がよろしくない。

 そんなケースが続出した後、ついにはそのカプセルに足が生えるのかもしれない。検査医が「ねえ、ちょっと戻って見せてみてよ」なんて指令を出せば、カプセルからニョキっと足が出て「よっこらしょ」っとばかりに逆方向に向かって歩き出すという訳である。これは確かに便利ではあるが、喜んでばかりはいられない。

 口から食べたものは、どんなに美味しいものであっても、最終的には便という形で排泄される。医者のくせにこのような事を申しあげて恐縮なのであるが、口から入ったものは、腸管のどの地点から便と呼べるものに変わるのであろう。腸を切断したことは何度もあるが、今まさに便に変わる境界なるものは見た記憶がない。カプセル内視鏡はこの根源的疑問を白日の下にさらす訳である。「ここではまだ、便じゃないな」「おっと、ちょっと便みたいになってきたぞ」などと言うふうに。

 したがって、誰が見ても周囲が便といえる環境まで進んだ内視鏡は、もはや後戻りをしてはいけないと思うのは私だけではあるまい。この便に変わる境界線は、内視鏡Uターン禁止ラインとして教科書に記載されるのではないか。このUターン禁止ラインを超えたカプセル内視鏡を密かに胃袋まで逆向きに歩かせた日には、その人は知らず知らずのうちにうん○を食べたことになるからである。

 恨みのある人などを検査する時、確信犯的にこのような行為を行うことを称して「クソ喰らえ」と言うようになるのかもしれないが・・。

何が出たって?

2005-07-25 | 泌尿器科
 泌尿器科担当の性感染症(参考までに、性感染症は別にどの科が診たっていいのです。わざわざ泌尿器科に紹介なんてして頂かなくとも・・)の代表選手といえば淋菌性尿道炎、通常「淋病」であります。この淋菌というのは、男性の尿道に生息するためだけといっていいほどの進化を遂げたため、晴れて?男性尿道に到達した日には、待ってましたとばかりに派手な活動を開始し、結果、招かれざる客に住み着かれた尿道にはひどい炎症が生じます。

 ち○ち○からは黄緑色の膿が出ますし、それ自体が腫れ上がる人も少なくありません。排尿時にはトイレに行くのが怖くなるほどの激しい痛み出ることもあります。これに感染しますと、恥ずかしいなんて言ってられないのであります。正確な診断には尿の最近染色や培養検査が必要ですが、まあ症状をお聞きして、診察させていただければほぼ診断がつきます。いくら「身に覚えがない」などと言い張っても、プロの泌尿器科医を誤魔化すことはできませんぞ。自白させるのにわざわざカツ丼を出すまでもないのです。

 ある日、初診の患者さんの問診票(診察の前に症状などをお聞きするアンケートみたいなものです)を拝見すると、「排尿時に痛む」「尿道から膿が出る」などに丸印がついている。まず間違いなく尿道炎、それも淋菌性尿道炎だろうと思いながら診察室に入って頂き、改めて症状をお聞きすると、

「せんせぇ、にょうろうから・・」

 一瞬、目の前にいるのは外国の方かと思ったほどのすごい訛りなのである。
 失礼にならないよう自然に、しかしながら耳に全神経を傾けてお聞きしていると、

「にょうろうから、うにが出てきてぇ、すんごぉくいでえ・・」

 私もそれなりに常識というものは持っているつもりである。正直なところ「これは尿道から膿が出てきて痛いのだ」と訴えられているだろう事は理解できた。でもその時、私の頭の中にはち○ち○の先からウニがころころと出てくる様子がありありと浮かび上がって来たのである。

「それは・・さぞかし、痛かったでしょう」  

性感染症

2005-07-23 | 泌尿器科
  泌尿器科と言えば、かつては「皮膚泌尿器科」などと皮膚科と一緒にされておりました。これは昔、皮膚科の先生が(誰も診たがらないので仕方なく?)泌尿器科の分野も担当されていた名残なのです。町で「皮膚泌尿器科」と看板が上がっている診療所には、ほぼ例外なくお年を召した先生がおられます。
 ちなみに、「泌尿器科・皮膚科」などと分けて書いてある診療所は、泌尿器科の医者が開業するにあたり、泌尿器科の診療だけでは食べていけないので、この際頑張って皮膚科も診るのだ、といった感じでしょうか。私には皮膚科を担当する能力なんてありませんので、専ら慎ましやかに泌尿器科だけに専念しております。それで食べていけるのかって?そりゃあなた、他の世間一般の先生方に比べれば大変な苦労があるのです。それはまた後ほどゆっくりと・・。

 泌尿器科と関係が深そうなのが「性病科」。性病(最近は性感染症といいます)は性行為が原因で感染するという、感染症の中でも極めて狭い範囲の病気です。数ある感染症の中で、なぜこんな狭い範囲だけを切り取って「性病科」なんて診療科を独立させたのかは知りませんが(多分、誰も診たくなかったんだ・・)、もともとはかの有名な「梅毒」の治療を担当していたのが皮膚科であり(バラ疹なんて発疹が出ますから)、「皮膚泌尿器科、性病科」なんて感じで一緒にされていた名残で、今現在も泌尿器科イコール性病と結びつけている方は少なくないのかもしれません。決して性病だけ診ている訳ではありませんが。 

 現在、泌尿器科が担当する性感染症といえば、これも有名な「淋病」と、今や飛ぶ鳥を落とす勢いの「クラミジア」。クラミジアなんてのは、妊婦を検査すると(風俗嬢じゃないんだよ)5%が陽性に出るという、まさに疫病の様相を呈しているというのに、世の中の平和ボケ?の若者達は怖いもの知らず。まあ、たとえ感染しても、浮気がバレて刺されたなんてことがないかぎり死にはしませんけどね。 

 感染経路が性行為と限定されている性感染症は、他の感染症とは違って一種独特の衝撃を受けるようです。私の診療所でも、「お前が悪い」「あなたのせい」などとちょっと険悪になるカップルも珍しくはありません。交際相手に風邪を移されてひどい目に遭ったとしても、決してこのような事にはならないでしょうに。「君の病気なら喜んでもらってあげるよ」という博愛精神は性感染症に関しては適用されないようです。

 片方の性のパートナーが1人だけで、もう片方が複数のパートナーを持っているのであれば話は比較的簡単?なのですが、今時の若者達は二人とも複数のパートナーを持っていることが珍しくないようです。二人が性感染症とわかったとたん、その二人の間でいろんな事が走馬燈のように駆けめぐっているのでありましょう。狼狽、言い訳、駆け引き、恫喝、泣き落とし・・ううむ、下手な心理ドラマを見てるより奥が深いなあ。

 性感染症というものは、他の感染症とは比べものにならないほど当人達を暗く惨めな気持ちにさせる感染症なのかもしれません。ああ、それで「暗惨ア」って言うのか。

泌尿器科

2005-07-22 | 泌尿器科
 私は何を隠そう泌尿器科医なのす。泌尿器科とはなにをするところかと言えば、腎臓や膀胱、はたまた尿道などの尿に関係した臓器(これが泌尿器です)と、男性の生殖器関係を扱う科です。男性の場合、排尿に関係した臓器(わかりやすく言えばち○ち○ですね・・て、のっけからこんな事を書いて倫理規定にひっかからないのでしょうか)を生殖に共用しているためにこうなったものと推察されますが、今一度冷静に考えてみれば、泌尿器科のテリトリー?っていったい誰が決めたんでしょうね。もっと戻って、各科が扱う領域って、いったい誰が何の基準で線を引いたのでありましょうね。ひょっとして・・とりあえず誰も診ようとはしないものをぐしゃぐしゃって集めて作ったのが泌尿器科じゃないだろうなあ。

 泌尿器科では、真面目にお話しをしていてもその内容が下ネタというハンディキャップはあるにしろ、他の科に比べて殊更ひどいことをしている訳でもないのに、いわゆる「行きたくない科」ベスト(ワースト)3には常にランクインする科なのす(もう一つの有力候補は精神科だな、きっと)。だから患者さんの来ないこと来ないこと。人が多い大都会ならいざ知らず、田舎で泌尿器科を開業するなんてのはサハラ砂漠でコンビニを開店するようなものなのです。まあ、高級外車が欲しいとか、高級クラブを飲み歩きたいとか(田舎のどこにそんなものがあるんだよ)、一流ゴルフクラブの会員になりたいとか、愛人の2、3人ぐらいは持ってみたいなんて野望を抱かなければ、それなりに暮らしてはいけますけど。

 しかも泌尿器科の医者はいわゆる「かっこいい医者」の範疇から思い切り排除されています。「白い巨塔」の財前教授は何科の教授でした?里見先生は泌尿器科医でしたか?もし泌尿器科の医者がドラマに登場するとして、その配役にSMAPの木村拓哉さんが起用されるでしょうか?どこかコミカルでちょっと変わった雰囲気の竹中直人さん(竹中さん、ご免なさい)などがはまり役のように思えるのは私だけでしょうか。

 儲からない上にイメージが悪いのでありますから、当然、泌尿器科の医者を志す医学生はとても少ないのです。外科系の医者で泌尿器科の医者が占める割合はわずか2~3%、外科系の医者の約40人に1人くらいでしょうか。もしあなたが泌尿器科の医者を見かけたのなら、それはとても珍しいものを見たのです。そのうち、きっといいことがあるでしょう・・多分。

 でもそんな珍しい泌尿器科の医者だからこそ、一般の方はもちろんのこと、他の科の医者も知らないような話をたくさん知っているのであります。

 さて、何からお話しましょうかね。