物騒な場面です。これは、先日見たヒトラーを欺いた黄色い星、という映画のラストに近いシーンです。ピストルを持っているのはソ連兵。二人の民間人はベルリンにいたユダヤ人です。ソ連はドイツと戦って、勝つのですが、ドイツに対する憎しみは消えていません。このシーンのソ連兵も、もしこの二人がドイツ人なら、射殺も辞さないというところです。しかし、この二人は我々はユダヤ人だと言います。この当時、ナチスはベルリンのユダヤ人は一掃した、と宣伝していたので、このソ連兵もユダヤ人はいないはずだ、と言い、ユダヤ人ならユダヤの子供でも知っている教えの一節を言えと迫ります。二人のユダヤ人は声を揃えて朗唱します。そのとたん、このソ連兵は二人を抱きしめたのです。かのソ連兵はユダヤ人だったからです。戦争は善悪を足元に追いやります。正しいか正しくないかではなく、敵か味方かなのです。