山路智恵の絵手紙ブログ

絵手紙をかき続けて25年。
山路智恵の絵手紙や創作風景、
日々の出来事などをご紹介します。

宮殿とモスクの至宝(イスラム美術展)

2005年12月04日 | Weblog
小田急線「千歳船橋」駅から歩くこと40分(バスもある)、世田谷美術館へ到着。今日は最終日。雨でも人は多かった。
ロンドンのウ゛ィクトリア・アンド・アルバート美術館より選りすぐりの122点の美術品が日本初公開。ギャラリーの改装に伴い、ワシントン・ナショナル・ギャラリーなど4館を巡回する国際展。日本では世田谷美術館のみの開催だ。
V&A美術館は、工芸や装飾美術の美術館として世界屈指のコレクションを所蔵している。とりわけイスラム美術には美術館設立当初から高い関心を寄せ質の高い内容豊かな作品が数多く集められてきた。出品作品は、陶器や絨毯類に留まらず、金工、木工、象牙細工、ガラスなど多岐に渡り、年代も8世紀から19世紀まで、これまでになく幅広い内容だ。
5章で構成され、
1章 礼拝の場のイスラム美術
2章 聖なる言葉・文字の意匠
3章 宮廷の美術・美と権力
4章 王朝による美術庇護
5章 イスラムと中国・ヨーロッパの美術交流
と、なっている。宗教的な背景、時代性、国際的な美術交流などを観ていくと、展開が面白い。
その中には、今後、館外に貸し出される機会はほとんどないと思われるスケールの大きな作品も含まれていた。高さ7mを超える15世紀エジプトの精緻な木工製のミンバル(説教壇)や、高さ3m半を超える18世紀のオスマン・トルコの色鮮やかなタイル製暖炉、5m半の16世紀イランの技術の粋を凝らした宝麗な絨毯など圧倒される。
宮殿とモスクに代表される、聖(宗教的な)、俗(非宗教的な)両面から、重層で複雑な様相を呈するイスラム美術を観ることができた。
駅から美術館まで歩くのはちょっと遠いが、いい汗を流し、展覧会にも満足できて、あと味さわやかな1日になった。


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