山脇内科小児科医院

医療・医学情報

肥満パラドックス

2009-06-25 17:57:57 | Weblog
余分な脂肪は心疾患の発症の原因となるが、同時に症状の悪化を抑える可能性があることが、これまでの心臓研究でわかった。この現象を「肥満パラドックス」と呼ぶ。肥満は心疾患リスクおよび死亡リスクを大幅に増大させるが、高血圧、冠動脈の閉塞、末梢動脈障害をいったん発症すると、肥満の患者は痩せた患者よりも経過が良好である。このパラドックスは数年前から報告されているが、肥満の心疾患患者は減量する必要はないというような誤った解釈をしないよう正しく認識せねばならない。肥満は糖尿病や高血圧など多数の危険因子をもたらすとともに、それ自体が独立した危険因子でもある。心疾患の患者で最も経過がよいのは体重を減らそうとしている肥満者であり、肥満がよいというわけではない。このパラドックスにはいくつかの理由が考えられる。一つは、肥満の人は疲労感や呼吸困難などの症状のために早期に医師の診察を受け、疾患を早期に治療することができるのではないか。また、体重のある人ほど疾患と闘うエネルギーの蓄えが大きいからではないか。さらに、肥満の人はそもそも肥満でなければ心疾患を発症しなかったはずだが、やせた人が心疾患に罹患するのは別の理由があるため、重症になる可能性が高いからではないか、などである。


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