カサカサの感想ハダで備忘を保てるか

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『有頂天家族』の雑談(その2)

2013-11-19 22:00:00 | 有頂天家族
○「先刻ご承知」

主人公の下鴨矢三郎は天狗の如意ヶ嶽薬師坊(赤玉先生)の世話をするようになって付き合いが長く、互いに心中を察して振る舞う間柄となっている。

時にはそれ故の芝居掛かったやり取りが交わされる。

原作では、そうした状況を「先刻ご承知」という言葉で説明している。これは物語のはじめの方から出てくる言葉で、赤玉先生が南座の屋根の上で弁天さまに振られてしまったあと、矢三郎が声を掛けるが、ここでも互いがなぜそこにいて、なぜそう声を掛け合うのかが「先刻ご承知」というわけである。

アニメの第一話の同じ場面では、一切「宣告ご承知」という言葉が用いられなかった。

そこで私は、動画や声の間で表現できるアニメ(それに限らぬ動画コンテンツ)では、いちいち「宣告ご承知」という説明もナレーションも必要なく、むしろそこは演出で表現しようというのがアニメ制作側の意図であろうか、と考えた。

それで第二話以降、「宣告ご承知」の間合いに注目しながら視聴するようになった。

「宣告ご承知」は後半になって時々セリフの中で出てきたが、結局、矢三郎と赤玉先生の関係に使われることはほぼなかったように思う。

この辺りがアニメ制作側の意図的な演出だとすると、とても心憎い。
(さらにつづく予定)


出町橋と賀茂川(高野川と合流してからが鴨川)。(2013年8月4日撮影)




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