しねまき ~月刊シネマ鑑賞記~

毎月、劇場で見たすべての映画の記録です。

2005年4月の感想記

2005-05-03 | しねま感想記(終了)
劇場鑑賞本数 30本

フェーンチャン ぼくの恋人
80年代タイの田舎を舞台に、隣同士に住む小学生の男女の日々が瑞々しい。主人公はドラえもんのTシャツを着ているし、級友はジャイアンそっくり。ただのノスタルジーにせず、現在の彼が描き出され、ラストシーンは賛否が分かれるが、ワタクシは支持したい。ビタースイートな青春映画の傑作がここにまた一つ誕生した。

隣人13号
いじめにより二重人格になった青年の壮絶な復讐劇。説明不足はあるものの、勢いで突っ走る。ラストの展開は救いととらえたい。

英語完全征服
思い込み暴走女といい加減で嫌味なイケメンの極上ロマコメ。あまりのばかばかしい描写にあっぱれと言いたい。笑わせ、笑わせながら、最後にキュンとさせる展開は韓国映画の独壇場。

恋の風景
亡き恋人の思い出の地である中国・青島を訪れる香港女性。その彼女に協力する地元青年。心に傷を抱えたカリーナ・ラムの存在に、完全に魅了される。しっとりと落ち着いた描写と展開に、心が洗われる一品。

サマリア
キム・ギドクが援助交際をテーマに真摯に描く。贖罪のために体を売る娘、そのことを知ってしまった父。純粋であるがゆえに、彼女、彼らの行動を非難することはできない。クァク・チミンがあどけないだけに、痛々しい。ラストは絶望ではなく、希望と受け止めたい。

2005年3月の感想記

2005-05-03 | しねま感想記(終了)
劇場鑑賞本数 42本

THE JUON/呪怨
祝・全米№1。リメイクといっても、役者が変わっただけで、舞台は東京、日本映画のスタイルを維持しているのが嬉しい。これまでの4作のエピソードを盛り込み、サービス精神たっぷり。相変わらずの、時間軸を入れ替えた構成も楽しい。

ボーン・スプレマシー
前作にはノレなかったのだが、今回のシンプルな構成、テンポのよい展開、渋い演技陣、小気味よいアクションに好感。いかに広げるかではなく、いかにそぎ落とすか、のいい手本となった。

パッチギ!
60年代の日本人男子高校生と朝鮮高校の女子高生の恋愛ドラマが爽やか。てんこ盛りのケンカ場面やコテコテのギャグも、すべてが淡い印象に映る。「お前ら、一生、知らんかっただろ」という彼らの叫びが胸を打つ。

トニー滝谷
今までどうも合わなかった市川準監督作品に、初めて好印象。だれることなく、心地よい淡々さ。イッセー尾形さん、宮沢りえさんの抑えた魅力、澄んだ映像、そして坂本龍一さんの音楽も美しい。

北の零年
これまで若者の身近な日常生活を描いてきた行定勲監督の冒険は成功。前半と後半でがらりと変わる雰囲気。吉永小百合さん主演でありながら、周囲の人物たちの魅力的なこと。変化する男たちを始め、石田ゆり子さんと豊川悦司さんは特にいい。

復讐者に憐れみを
パク・チャヌク監督、復讐3部作の第1弾。ある誘拐事件が加害者・被害者の両方に悲劇をもたらし、さらなる殺人へと発展していくスケール感。どちらも責められず、どちらにも救いがなく、ただただ痛々しい。痩せたソン・ガンホのカッコよさ、ペ・ドゥナがセクシー&キュート。

マシニスト
不眠症で1年間眠れない男に起こる事件と謎。その描写が神経に障る感じで、非常にうまい。C・ベイルの激ヤセ演技は、見ているこっちが心配になる。

猟人日記
女の水死体を発見する青年(ユアン・マクレガー)の淡々かつ重苦しい日常ドラマに見入る。ミステリーと恋愛と文芸を娯楽にせず、物静かなアート感覚として描いたのが功を奏している。

いぬのえいが
いろんなエピソードがたっぷり詰まっており、犬好きでなくとも十分に楽しめた。中でも、佐藤隆太さん×乙葉さんの話と、田中要次さんの話で大笑いし、宮崎あおいさんのエピソードで、あわや号泣しそうになった。犬童一心、佐藤信介監督らの起用もナイス。

ハサミ男
世間を騒がすハサミによる女子高生連続殺人事件。犯人の2人組と刑事たちと新たな容疑者のサイコサスペンスが実力派の役者陣によって見事に展開される。ワタクシはすっかり騙されました。

サイドウェイ
本年度アカデミー脚色賞。バツイチの神経質でワインおたくな売れない作家と、女たらしのいい加減な落ち目役者、2人のロードムービー。冴えないダメ人間のしょうもないエピソードに笑い、なのにしみじみと暖かい気持ちにさせてくれた。

カナリア
塩田明彦監督の渾身の一作。これまでの子供や若者の日常から、さらにオウム事件に足を踏み込む。主役の少年&少女の存在感。2人の孤独なたたかいとさすらいをじっくりと描いた本作を大いに評価したい。