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「環境ビジネスの仕組み化」に挑む社長のブログ  ~将来世代からの「ありがとう」のために~

「環境に配慮したビジネスの仕組みを創る」それが当たり前の世の中にしたい。 100年後も豊かに暮らせるように…

診断士資格の更新研修で講師を務めて

2012-01-21 23:13:47 | Weblog
経営コンサルタントの国家資格である中小企業診断士の有資格者が毎年受講する「理論政策更新研修」。

毎年の中小企業動向や公的な支援施策の内容を学び、診断士として中小企業経営の支援のあり方を考える研修です。
そこで講師の機会をいただきました。

テーマは、自らが手がける「『環境経営』と『海外展開』を切り口にした経営革新」としました。

「海外展開」では日本の抱える閉塞感と新興国の成長機会から既に大企業が大きく事業の軸足を海外へ移しており、取り残された中小企業が今後海外展開を進める上での課題を押さえ、そのための公的支援施策や診断士ら支援者の活動内容を説明しました。

今は、海外の視察ミッションや国内の海外セミナーに多くの中小企業経営者が参加し、関心の高まりを実感します。一方で、いざ進出となると情報不足や事業計画などの準備不足、さらには実務を行う人材不足が露呈してつまづくことが少なくありません。

現在の支援は入口の視察や商談のマッチングなど「海外展開のきっかけづくり」が主ですが、今後は必ず「海外展開の準備や運営のサポート」が必要になってくるでしょう。

その際に必要なのは、「タイミングよく必要なサポートを提供できる、きっかけづくりから運営までの一貫サポート」ですが、そこまで行き届いた体制を作っている支援機関(自治体や行政機関、銀行など)は多くありません。支援ノウハウや支援人材の不足が原因です。

企業の経営全体をふかんし、その事情に応じて必要なサポートを応じる「支援のプロ」である診断士への期待役割は大きいと思います。

「環境経営」では、地球全体(世界)が抱える環境問題の深刻さを踏まえ、ライフスタイルや価値観が変化しつつあることを説明しました。それに応じて企業の商売の仕方が変わり、環境に取り組むことが「コスト」ではなくて「チャンス」になることを事例を挙げながら解説しました。

現在の支援は国主導で複数の環境経営手法が開発、導入促進が行われていますが、業務負担や知識不足から普及が必ずしも順調とはいえず、中小企業や消費者を巻き込む展開に至るのは、まだまだ上記のような現状認識の啓発や「チャンス」にするための具体的な手法や事例が不足しています。

この課題についても「中小企業の実情」を把握し、「ビジネスチャンスの発見と事業化への進め方」をふかんして個別事情に合わせたサポートを行う支援機関や人材が必要です。

現在は、技術者や学識者中心の布陣ですが、ここでも「支援のプロ」である診断士への期待役割が大きくなります。

参加した診断士の受講者皆さんにもご協力いただき、互いの意見交換と全体討議を行いました。皆さんご自身や所属企業・組織の事例も踏まえながらご意見や感想を積極的に発言いただき、活発な議論の場となりました。

当社の2011年5大ニュース!

2011-12-30 15:58:50 | Weblog
今年も残すところ1日と少し。あっという間の1年でした。

この2011年を振り返って当社の偏見と独断と勝手な事情で5大ニュースをあげてみたいと思います。

1.東日本大震災が発生!自然の怖さを思い知る。

3.11は東京出張中で大きな揺れに直面して会議は中止。会食予定の友人らとも連絡がとれず(徒歩5分のところにいたのに…)。ホテルへ戻ろうにも電車が動かず、徒歩で1時間かけて漸く戻るも断水状態。急きょ予定を早めて帰阪しました。その後知った東北の様子に大ショック。大都会で通信・交通などインフラに何の不安もなかった東京都心でも突然の災害で取り残されてしまう恐怖を体験しました。「想定外に備える」。以降はビジネスに、生活に、常に意識をするようになり、自分自身の意識や行動を大きく変えるきっかけになりました。


2.タイの大洪水が発生!グローバル・サプライチェーンの浸透を思い知る。


毎年洪水は多発する地域ながら今年は想定外の雨量でアユタヤ地区から大洪水。最後にはバンコク市内もかなりの地域が水につかり、域内進出の日本企業に大打撃を与えました。当社がお付き合いいただいている企業でもタイで生産できなくなった部品の代替受注で商量を増やした企業があれば逆に納品先の生産停止で自社(日本)の部品受注が滞った企業もあり、悲喜こもごもでした。日本の中小企業メーカーはとかくグローバルの生産網には無関係と思いがちですが、既に日本にいながらでもしっかりとそのネットワークに組み込まれており、世界の災害がただちに影響を及ぼすということを実感した1年でした。

3.超円高時代。輸出産業には深刻な影響を及ぼす

本年は、ジェトロ(日本貿易振興機構)の「輸出有望案件発掘支援事業」において環境分野の専門家を拝命いただき、優れた環境技術や装置の海外展開を支援しました。また、資源リサイクル事業ではプラスチック・リサイクル原料の輸出などを継続的に手掛けております。いずれも超円高水準が続いたことにより、国際競争での不利や輸出貨物の価格下落など逆風が吹き荒れて厳しい1年となりました。しかし、デフレや世界他地域の経済不況にも原因があるこの円高は当面続くと覚悟し、中長期的な対策を講じなければいけないと実感しました。

4.静脈産業の海外展開へ向けた動きが加速化する

個人的には前職時代(約8-9年前)から日本の優れたリサイクル技術やビジネスモデルを活用した海外市場展開に取り組んでいましたが、今やそれが日本の重要な成長分野の一翼にノミネートされ、環境省が重要施策の上位に位置づけて促進するに至りました。かつて「公害国会」で対策法制や環境問題対策が加速度的に推進したのは約40年前。それから様々な経験や検討・議論を重ねて整備されてきた関連法令に排出者責任の徹底。いま、こうした培ってきた日本の環境技術や熟練実務リーダーらのノウハウが海外市場で強いニーズに引っ張られる傾向が見えます。廃棄物リサイクルの関係者にはビッグチャンスが到来しようとしてます。

5.「絆」が強く意識される。「つながり」が未来を照らします

大震災以降の社会的な傾向としてしばしばマスコミでも報道され、清水寺で発表された今年の漢字でもあります。そうした「絆=人のつながり」は直接触れ合うつながりだけにとどまらず、インターネット上でのつながりにも広がり、それが中東アフリカで長期政権の打倒やFacebookやクラウドといったネットサービスの発展による新たな産業の創出といった大きな社会変革につながっています。私たちが4年前に始めた「廃棄物リサイクル研究会」も地域の中小企業中心である既存の廃棄物処理業や排出事業者が事業サービスや排出意識の高度化に対応することで、激化する競争や厳罰化する法規制から企業や個人の職場を守ることができるという信念から、その具体的な取り組みを進めてきました。いま、改めて「地域の絆=つながり」が不透明な未来への展望にも一筋の明かりとなるような気がします。

これから何十年も後、振り返れば時代の転換点だったといわれる可能性すらあるような気がする「2011年」。

さまざまな思いとともにもうすぐ過去になろうとしています。

来る「2012年」がその未来へ向けたスタートとなりますように…。

想定外事態への廃棄物リサイクル

2011-09-22 09:14:54 | Weblog
台風15号が日本列島を通過していきました。
今回は、関東や東海地区でも大雨で被害がかなり出ているようですが、関西では特に山間部で洪水や土砂崩れのリスクが高まっています。

茨城県では震度5弱の地震。

自然災害は元々多い国ですが、それにしても最近はその影響が大きくなっているような気がします。

そうした中で東日本大震災以降、特に企業でBCP(事業継続計画)策定への関心が高まっています。
大事なのは「災害に見舞われても事業を一部でも継続し、断絶させないことが企業存続の生命線となる」という考え方。
そこで、企業では継続すべき事業のコアを選定し、そのための体制作りを進めています。

さて、廃棄物リサイクルの視点からこうした動きをみると、意外な盲点が見えてきます。

企業は事業継続に当然ながら収益源となる製造や販売活動の継続に神経を集中させていきますが、その活動に伴って排出される廃棄物の取り扱いや危険物の流出リスクに対する対応まで手に負えないといった傾向を感じます。

今回も災害廃棄物は国や自治体の処理責任で対策が進められていますが、まずは排出する企業が影響を与える地域のため、事業継続を図る自社のためにも、生産・販売活動と同等に排出対策も行われるべきかと思います。

とはいえ、自社単独でこれを仕切るには限界があります。

そのため、排出する企業は普段から取引する廃棄物処理・リサイクル事業者や地域行政・住民らと協働して迅速な回収や流出防止対策、地域の対応などを考えていく必要があります。

つまり、通常言われる「サプライ・チェーン(物資供給のつながり)」の企業対応を動脈(製品が供給される流れ)のみならず、静脈(製品や原材料が使用された後の流れ)にまで広げて準備すべし!ということです。

と同時に、廃棄物処理・リサイクル事業者側の視点に立てば、そうした排出事業者の事業継続計画の取り組みにおいて、静脈側の緊急対応を実行する上で重要な機能を発揮する役割を担うことになり、これは今後ますます重要になる「当業界のあるべき(目指すべき)姿」といえます。

地域や同業者とネットワークを連携して被災後ただちに廃油を回収して火災発生や水質汚濁の防止に貢献した廃油リサイクル事業者の事例が広くマスコミ等で紹介されていましたが、まさにそうした緊急対応が今後業界がめざすべき「あるべき姿」ではないかと思います。

また、そうした視点で業界の役割をとらえれば「廃棄物減少で需要衰退の産業」から「災害多発で緊急対応ニーズが高まる産業」というパラダイムシフト>も引き起こせるのではないでしょうか。

こうした視点や今後の対応を10月19日(水)13:30~@奈良県橿原市で開催される「排出事業者研修会」(主催:奈良県産業廃棄物協会、後援:奈良県)で考えていきたいと思います。
http://nara-sanpai.com/index.html

資源獲得手段としてのリサイクル・ビジネス

2011-08-16 13:17:28 | Weblog
連日各国政府の動きに応じて世界のマネーが活発な流れを見せています。
ドルやユーロからの逃避や円やスイスフランへの流入など為替相場での動きもそうですが、
金など商品や資源への資金流入は、リサイクル・ビジネスにも大きな影響を及ぼします。

資源は、こうしたマネーの影響のみならず新興国の経済成長に伴って実需が伸び、供給が
その伸びに比例して増加しないことによる需給ギャップも相場上昇の重要要因ですね。

当社が特に深く携わっているプラスチック・リサイクルは原油相場にかなり連動性が高く、
最近は80ドル~100ドル/バレル近辺で比較的「高止まり」しているため、中国など資源
需要旺盛なアジア等新興国で再生プラスチックへのニーズが高まり、活発な原料調達
(使用済みプラスチックの輸入)が行われています。

元々日本では「廃棄物の抑制」という視点でのリサイクルが重要視され、引き取りには
排出側が料金を支払って処理(再生等)を委託するといった業態を中心に市場を形成
してきました。

そこでは、「排出者に適正料金を払わせるための法規制や企業イメージの遵守をどう
納得・共感してもらうか」がリサイクル・ビジネスの主要な課題でした。そのため、
リサイクル事業者は「コンプライアンス重視や自社のイメージアップ、より付加価値
(「経済的価値」というよりも「廃棄物の削減率=リサイクル率」)の高い再生へ
取り組んできました。

しかも、そうしたリサイクルへの取り組みに、行政や金融機関などが積極的に支援し、
事業者側もそれが「ビジネスの成否を判断する基準」であるとの認識で事業が進め
られてきました。

こうした取り組みは、経済活動というより社会活動の側面が強くなり、「お金が
かかります」


ところが、前述の経済情勢がこうした「リサイクル・ビジネスの価値」を根本から
変革しようとしています。

「廃棄物の削減」という社会的価値もさることながら、「産業資源の獲得」という
グローバルな経済活動の中で重要な役割を担う
ようになってきたのです。

そこでは、経済的価値が非常に重要です。

「生産コストを抑え、再生資源としての品質をいかに安定的、高水準化するか」が
重要であり、比較対象が「廃棄物の削減」よりも「バージン資源との比較優位」に
なってくるのです。

こうなってくると、高コスト体質で運営してきたリサイクル・ビジネスでは不利
になってしまいます。とはいって社会的な価値がおざなりにされてはいけないのは
勿論であり、コンプライアンスを前提とした経済競争を勝ち残ることが求められて
いるわけです。

「厳しい」と思っても、よく考えたらそれってほかの業種・業態と全く同じです
よね。

とはいえ、これからますますグローバルに展開していく日本企業のビジネス活動
において、リサイクル・ビジネスがもたらす資源供給の役割は重要になってきます。

新しい役割を担えば、そこに新しいアイディアやビジネスチャンスが生まれます。
伝統的で保守的な業界であったリサイクル業界が今後ますますおもしろくなって
きましたね。

タイの環境ビジネスが熱い!

2011-08-03 10:47:24 | Weblog
近畿経済産業局で「タイでの環境ビジネスの展開について」という調査発表会が行われました。

同局では以前より「アジア向け環境ビジネス市場を関西の中小企業が参画するチャンスにしよう!」という目的の下、長年段階的に調査を進めていました。

弊社も2009年度にどっぷりと関わらせていただいたのですが、素晴らしい取り組みであると感じました。理由は、

1)長期方針に基づいて、継続的・段階的に取り組みが進められていること

2007年度に東南アジア各国で広域な調査を行い、
2008年度にタイにターゲット・概要調査、
2009年度に詳細調査とマスタープラン作成、
2010年度に具体的な取り組みの枠組みを構築、
2011年度に枠組みに基づいて個別施策を実現

と進められています。単年度主義でぶつ切りになることが多い行政主導事業でこのような長期的展望に立った取り組みはめずらしいのではないかと思います。

2)環境ビジネスの特性(「官民連携が重要」)に適応していること

法規制や補助金などの施策で大きく市場が形成されたり、消失したりと「官」の動きが大きな影響をもつ環境ビジネスでは、他産業以上に官民が連携して市場開拓に取り組むことが求められます。

当該事業では、日本の行政機関が相手国の行政機関や業界団体などと協力合意文書を交わし、それに基づいて環境関連のデータなどなかなか手に入らない情報を得て、相手国事情に応じた日本側支援の在り方やビジネスの枠組みを決めていきます。

⇒今回のタイ向け環境ビジネスでは>、「同国最大規模の工業団地と提携して『廃棄物リサイクルの促進』に関わるサービスセンターの設立とリサイクルの受け皿産業育成」
を旗印に今後具体策が実施されることとなります。

課題としては、その構想が即中小企業のビジネスチャンスになりにくく、企業自身がその構想にどのような関わり方をすべきか(できるか)を自ら考え、工夫していく必要があることでしょうか。

ともかく、経済成長著しいアジア各国で生活水準が上がってくると、環境問題に関心が高まり、産業や行政が対策を迫られるのは、日本で既に体験済みです。

今後もアジア市場で「日本の環境ビジネス」が大きな期待を可能性を背負うことになりそうです。

注:「経済産業局のアジア向け環境ビジネス」に関する取り組みは以下URLから参照できます。
http://www.kansai.meti.go.jp/team_e_kansai/index.html 




香港企業の環境ビジネスに注目!

2011-07-21 09:20:54 | Weblog
先日、香港貿易発展局( http://www.hktdc.com/info/ms/s/jp/wn/Japanese/What-s-New.htm?WHATSNEW=Y )主催の環境ビジネスセミナーに参加してきました。

香港は中国への返還後も「一国二制度」の枠組みで独自のポジションを持ち、中国ビジネスへのゲートウェイという役割を積極的に対外アピールしています。

急速に需要が高まりながらも依然事業リスクが高いとされる中国本土へのビジネスにおいて、パートナーとして、アドバイザーとして香港企業との連携を日本で情報発信するために開催されたセミナーでした。

香港の環境ビジネスベンチャーや業界団体のトップも来られ、熱く現在のビジネスチャンスや自らの役割を語っていただきました。

今回は、この香港企業との環境ビジネスにおける連携に対して、香港当局が多額の助成金を出して支援することや、10月26-29日に香港で大規模なアジア環境ビジネス展示会が開催されることを題材に、日本企業へ進出のチャンスを呼び掛けられました。

「一国二制度」とはいっても、香港は自国にビジネスマーケットがなく、強力な国際金融機能の後ろ盾であった英国の支援も失った今となっては明確な強みの発揮が難しくなったのも事実ですが、こうした積極的なマーケティング活動を続けてこられていることが素晴らしいと思います。

また、香港貿易発展局には相談機能や商談の手配(マッチング)など充実したサポート機能も備わっているので、中国市場への展開を検討している日本企業がこうした機能を活用して「香港企業との連携」を有力な選択肢の一つとして検討されるのは有意義だと思います(私も活用させていただきたいと思っています)。

ただ、同様の役割は「台湾企業との連携」が数年前に注目を浴びたことを参考に考える必要があります。
当時、香港と同様「資本主義経済のビジネス手法を理解し、中国市場にも精通した有力パートナー」と注目されましたが、友人の中国人(上海)は、「台湾人は『短期利益狙い』で一定の利益を上げた後にすぐ撤退するケースが相次ぎ、本土であまり信用されていない」とも聞きました。

結局、「台湾だから」とか「香港だから」ではなく、「そのパートナーの信用性」を見極め、他人任せではなく、自らがリスクを取って長期的に中国で貢献していくための事業展開を考える上で、価値観やビジネス手法の相互理解や信頼関係を構築できるビジネスパートナーと連携できるかどうかがカギなのだと思います。

おおいなる展望と慎重な姿勢を併せ持って、是非アジアの発展を自らの発展につなげていきたいものですね。


静脈(資源リサイクル)産業の海外展開

2011-06-29 13:54:35 | Weblog
昨日は東京で「日本の廃棄物リサイクル事業のこれから」というタイトルの講演をさせていただきました。

当該分野のコンサルティングでは第一人者の平田耕一氏との共演で、同氏が「日本市場での将来展望」を、そして私が「海外市場へ打って出る将来展望」をテーマに話をしました。

長らく「日本社会のゴミ問題を解決する」というローカル対応を求められ、成長してきた廃棄物リサイクルの業界が、今その役割を変えようとしています。

「世界のゴミ問題を解決する」、そして「日本の資源戦略の一翼に担う」という壮大な期待を背負う業界になってきたのです。

環境省がこの業界を「静脈産業(ものづくり産業を人間の体でいう動脈とした場合の対比で定義)」と呼び、その海外展開を国策として支援する施策を打ち出したのです。  
http://www.env.go.jp/guide/budget/h23/h23-seisaku_pc/mat03.pdf

世界、特にアジア地域での経済成長に伴い、廃棄物の問題が深刻化しています。これを適正に処理し、社会の衛生を保ち、同時にエネルギーや再生資源に活用するという課題は、日本が長年培ってきた技術やノウハウが活かせる分野です。

とはいえ、上述のとおり、そもそもローカル対応が発端であり、現在でも自治体の許可業種で、活動範囲や取扱可能品目も細かく規定されているため、海外展開するほどの体力や人員を有する企業は多くありません。また、「海外展開」という視点そのものが想定外であり、突然言われてもとまどうというのが正直なところでもあります。

今回の講演はそうした「伝統的な概念をいったんリセット」し、「改めて自らの役割と将来の期待やチャンスを見直す」機会になればとの思いで話をさせていただきました。

聴講の方々の熱心な姿勢に支えられて、パネルディスカッションや質疑応答も踏まえた3時間があっという間に過ぎました。
講演後にも多くの方々とお名刺交換の機会をいただき、皆さまの熱い意欲と希望に触れることができ、私自身も活力をいただきました。

とかく閉塞感漂う昨今の日本経済界ですが、ここに新たな可能性を背負った期待の産業が世界へはばたこうとしています。


「真摯(しんし)である」ということ

2011-06-13 10:20:51 | Weblog
廃棄物処理業の会社見学に行ってきました。

通常、同業界の見学というと高度な技術を使った処理設備や多数の車輌など「ハード」を対象にする場合が多いのですが、私たちはあえて「ソフト」を見学してきました。

そこは車輌10台ほどの比較的小規模な収集運搬事業者。取扱品目も特別なものがあるわけではありません。それでも見学したい「ソフト」な経営資源とは…。

それは、「ひと」であり、その「仕事のしかた」でした。

とかく汚れがちな事業内容にも関わらず、
-きれいに清掃された事業所
-きれに洗濯されたユニフォーム
-清潔なスタッフの容姿

そして、最大の見どころは同社の「ミーティング」。
-顧客目線で仕事をしたことを振り返り、
-互いの発表に意見や感想を言い合う
-日々の感謝を全員で唱和する
-運営はすべてスタッフ自らが行う(社長が仕切らない)

この業界は、こうしたやり方を受け入れるのに抵抗感を覚える人がとかく多いため、ベテランも若手も一緒に、毎日こうした行動を繰り返す「真摯さ」に驚きました。

ちなみにマネジメントの父であるP.ドラッカー氏は、「マネージャーの資質」として「ひとつだけ後では得られないもの」として「真摯であること」を挙げています。

廃棄物処理の分野では、「不法投棄」が依然深刻な社会問題であり、頻繁にその撲滅へ向けて関連法令の改正や通達が繰り返されています。一方で、「優良な(不法投棄をしないと信用できるような)廃棄物処理事業者の育成」も課題となっており、環境省が定める条件として
1)法令違反がないこと
2)環境マネジメントへの取り組み
3)経営内容の情報公開
が挙がっています。

しかし、これらは全て「行為」であり、形だけ繕おうと思えばできてしまうものでもあります。

「真摯さ」とは日々の「姿勢」であり、「心がけ」、そしてドラッカー流にいうと「本来備えているもの」です。
商売の都合や法令改正などで急に身につけようとしても身につくものではありません。

本当に「信頼できる事業者」とは
0)真摯であること
なのだと思います。

自分たち一人一人が「真摯」であること、そして仕事に対して「真摯」であることが取引の判断基準になること。

難しいですが、そんな気持ちを忘れないようにしていきたいと思います。




大災害が起きた今、私たちにできること 

2011-03-23 09:39:55 | Weblog
2011年3月11日、東北と関東の一部に未曾有の大震災が発生しました。
あの阪神淡路大震災を超える被害に言葉を失う衝撃でした。
今もなお救出作業が続き、原発事故も予断を許さない状況が続いています。

多くの行事が中止となり、企業の活動も震災の影響で滞ったり、自粛したり、
と震災地域のみならず日本全国で厳しい状況に陥っています。

企業活動を続ける関西の企業人からも「今、収益事情をやっていいのか」
「何かできることはないのか」といった声を頻繁に聞きます。

私たち自身もそうした状況で、会社行事の一部中止を決め、情報発信活動も
しばらく控えておりました。

「今、わたしたちできること」

皆さん、それぞれの考え方があります。大切なことは、

「一人一人が災害の被害者を見守り、思いを寄せること」
「一人一人が自分の立場からできることを懸命に取り組むこと」

ではないでしょうか。例えば、災害関連の情報に引き続き関心を寄せる、
救助や復興にあたる人たちへの賞賛を忘れない、被害を受けた方々の力に
なれる機会を常に探し、できる限りの貢献をする。

そして、今、ビジネスパーソンであるわたしたちが最もしなければならない
ことは、「日本の復興を経済で支えるために、いつも以上に働く」ことでは
ないでしょうか。世界は動いています。自粛だけでは未来を支えきれません。

この苦境を共に戦っていきたいと思います。
ますます厳しくなる日本の経済情勢から会社を守り、社会を守ることで
災害にあった人たちを支え、身近にいる人たちを守るために…

「ゴミ・ゼロ」が世界で議論。廃棄物処理ビジネスはどうなる?

2011-02-24 12:15:13 | Weblog
環境省のHPに掲題の会議結果が公表されました。
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=13491

国際的にも「ゼロ・ウェイスト(ゴミ・ゼロ)」が提唱され、
そのための国際協力に関する枠組みが議論され、実現していく
ようです。

まさに「あるべき姿」ですが、極端な話、それが実現すれば
廃棄物処理ビジネスはなくなってしまいそうですね。

ちなみに、この実現に必要なものとして
1) 資金
2) 政策・制度の枠組み
3) 知識(技術)や経験の共有

が課題として掲げられています。

特に2)や3)は、
度重なる法改正と不法投棄との戦いの歴史、
市民や企業を巻き込んだリサイクルへの取り組みなど、
日本が何十年もかけて培ってきた社会の仕組みと企業や
人材のノウハウがもたらした成果でもあり、日本の財産
だと思います。

公的なセクターが仕切るべき要素もありますが、民間参入
への期待も大きくなっているようにて、ここにビジネス
チャンスもあるといえそうです。

一見、「ゴミ・ゼロ」で廃棄物リサイクル分野のビジネス
チャンスが消える話に見えますが、

こうした「仕組み」や「ノウハウ・経験」の価値を利用
すれば、日本の廃棄物リサイクル産業が世界にビジネス
チャンスを拡大する可能性ががますます広がってきて
いるのだと思います。