赤星のショックは分からんでもないが

阪神・赤星選手が寄付「盗塁」車イス、１台がネット競売に(読売新聞) - goo ニュース

　ちょろっと調べてみた。車椅子でもなんでもピンキリと言えばそうなんだろうが，例えばこのサイト

SeaStar Online

を見ると高いものでも希望小売価格で12万円程度である（このサイトではそれを大幅に値引きしている。別に宣伝ぢゃないよ）。

　赤星選手の寄付した車椅子もだいたいこのクラスの商品だと仮定すると，オークションへの出品者がつけた20万円という入札開始価格は「中古車椅子」の値段ではなくて，「赤星の寄付した車椅子」の値段である，ということになる。報道でははっきりしないが，彼のサインとかそういうものが入ってるのかな。だとすると有名作家のサイン本をプレミアムつけて売るのと同じ？

　ウチにある筒井康隆全集24巻には全て筒井先生のサインと落款が入っている。山下洋輔ニューヨーク・トリオの「Pacific Crossing」にはトリオ3人のサインに山下さん直筆のオレのハンドルネームが「べ様」と添えられている。これら，オレにとってはとても大切なものだけれど，もしオレが今日死んで家人がこれを整理するとしたら，サインのあるものとないものを同じ価格では売るまいと思う。思いませんか？

　赤星の寄付する車椅子がどんなルートでどんな人の元に届いていたのか分からないが，2003年からと言えば今年で4年，その間には死亡するなりして不要になった人もいるのではないか。その場合遺族は普通，それを処分しようとするだろう。今回の件，寄付した側の赤星がショックを受けるのは分からんでもないが，外野が「そんなことは許されない」とイキリ立つほどに異常なことだろうか？

　例えばあなたのお爺さんが亡くなって，彼が使っていた車椅子が赤星の寄付したものだと分かったとして，あなたはそれを粗大ごみに出しますか？


※追記：

以下のサイトで件の車椅子の写真を見つけた。

札幌清田整形外科病院

なるほど，赤星の背番号53番がでっかくデザインされているのね。これを見ると赤星の困惑の深さは分かる。でも「これ売ったらなんぼになるかな」と思ってしまった人の気持ちもちょっとだけ分かる。おれ，悪人ですかね？