拉致問題はどうなったら「解決」なのか

「鉄の意志持って拉致解決に臨む」首相が米・中東訪問出発(読売新聞) - goo ニュース

　アメリカ行って慰安婦問題に関する発言の言い訳をしてくるのかと思ったら（いや，どうもそれもしてくるつもりのようだけど），それだけぢゃなくブッシュと仲良くなって来ると。まぁいいでしょう，どっかの文豪ぢゃあるまいしカボチャとナス描いて

「仲良きことは疎ましきかな」

なんてことワタシは言いません（なんか間違ってます？）。

　渡米前の発言で，ちょっとサカナにしたいのは「北朝鮮による拉致問題については、私は鉄の意志を持って解決に臨んでいくことを申し上げたい」ってこれである。つか，これ別にアベ首相だけぢゃなく，広くマスコミとか評論家とか偉い人や偉そうなだけの人偉くも偉そうでもないのに自分だけ偉いと思っているみたいに見える人たちにお聞きしたいのだが，あの拉致問題というのはどうなったら「解決」なんだろうか。

　いやもちろん，拉致被害者の人たちがみんな戻ってくれば解決だというのはオレだって分かるし，出来ればそうなってもらいたい。しかしだよ，縁起でもないことを言うと叱られるかも知れんが，拉致されたのは昨日今日ぢゃないのだ。いなくなってから30数年経っている人もいる。日本にいたって30年の間には死ぬ人もいるよ。現にオレのガキの頃の友達はこの30年間に3人死んでます，ましてや餓死者も出てるという北朝鮮の話なのである。横田めぐみさんの遺骨というのはニセモノだったが，何十人といる拉致被害者の皆さんが一人残らず元気に日本に帰る日を待っている，なんてのはやっぱりどう考えても幻想でしょう。違いますか？

　で，あれば，辛いことだが不幸にして既に死亡している方もおられるかも知れぬという前提を入れて，北朝鮮に「これこれこうしろ，そしたらニホンは拉致問題が解決したと考える」という条件を示さなければならない。つうか，現在のように「お前らウソツキだ（ウソツキなんだけどさ），拉致したヒトを返せ戻せ」と騒いでいても，そりゃアベ人気の下支えにはなるかも知れないけど実質なぁんの進展もないぢゃないの。

　繰り返すが，拉致自体が犯罪なんだから許す許さないで言ったら許せるもんぢゃないのは当然なのだ。全員無事に戻ってきたって許せまい。が，時間は遡れないし未来は続く。なんだかオレには，アベ首相も他の政治家も新聞記者も評論家の先生もコメンテータのねーちゃんも「北朝鮮は許せませんねひどいですね被害者の方がお気の毒です一日も早い解決が望まれます」と言いながら，そう言っていればコメが買えるこの状況がそれほどイヤでないみたいに見えるんだけど。