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フランス犯罪映画にはなんとも言えないクセみたいなものがあると思ってるんだが

2010年03月02日 | 時事
 
なかなか時間が取れず2月中は結局1本も観られなかった「フランス映画祭2010」の上映作品。ようやく昨夜,試写に顔を出すことができた。上映作品はニコラ・ブークリエフ監督の「スフィンクス(仮題)」。

深夜,パリの町をパトロール中の警官,シモン(フレッド・テスト)たち3人に騒音苦情の連絡が入る。駆けつけてみると高級マンションの一室から大音響でクラシックが……。ノックするも返事はなし,ところがドアを蹴破った最初の一人が胸に銃弾を受けて即死。その背後にいたジュリー(セシル・ド・フランス)が犯人の足を撃って取り押さえる。男の手には観たこともない蛍光色の薬物が……。

シモンとジュリーはありのままに事件を報告するも,男が有力政治家の御曹司だったことからヤクはなかったことに。警官を殺したのも正当防衛ということになり,逆に彼に怪我を負わせた2人は傷害罪で告発され,免職どころか服役の可能性も。当然2人は上司に無実を訴えるも,コトナカレ主義の上司は彼らを切ってコトを治めると決めていた。

追い詰められた2人には,「スフィンクス」と呼ばれる蛍光色の麻薬の密売ルートを洗い出し,あのドラ息子との関係を明らかにするしか助かる道はない。売人を襲って活動資金を調達した彼らは,昼間は「処分を待って謹慎中」の警官,夜は南仏から来た麻薬ディーラーという二重生活を送りながら,徐々に組織の中枢に近づいて行く……。

昔からフランス犯罪映画にはよそのクニのそれにはない,なんとも言えないクセみたいなものがあると思ってるんだが,それが何なのかイマイチうまく表現できない。警察組織が腐ったヤクタタズなのはフランスに限ったことぢゃないし(ただフランス映画ではそれが「いつもいつも例外なく」なんだけど),犯罪者仲間にある種の仁義みたいなものがあるのは日本のヤクザ映画もアメリカのマフィアものもそうだし……。

一応自分たちの無実を晴らすため,ではあるんだけど,そのタメにジュリーとシモンが手を染める犯罪行為へのハードルが妙に低いというか……とにかくその,フランス犯罪映画特有のイワク言い難い何モノがが,とっても色濃く出てる映画。CGを使ってどうこうというような派手なアクションはないのだが,終わったあと結構な活劇を観た気分になるのはやっぱりサスペンスフルってことなんだろ。

ジュリー役のセシル・ド・フランスはあのダニエル・トンプソンのハートウォーミング映画「モンテーニュ通りのカフェ」のジェシカ役と同じヒト。でもそうはとても思えず,帰ってきてから確認して「へぇ!やっぱり!」と驚いた。女優はコワいっすね。

とにかく映画祭は3月18日から22日,TOHOシネマズ六本木ヒルズで。

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