Nothing Upstairs

時事ネタ漫談,書評,映画評,その他あれこれ

政治家がバカなのが「おいしい」なんて最低だ

2007年11月01日 | 時事
「我々はアイヌの血を引く蛮族」民主・山岡氏 直後撤回(朝日新聞) - goo ニュース

 最近クイズ番組などで,誰でも知ってるような問題にトンチンカンな答えをしてバカをさらすのが芸能人にとって「おいしい」という言い方がある。つまりバカをさらしてる間はカメラがこっちを向いていて露出が増えるということなんだが,芸能人はそれでもいいが(あとで議員になろうとかしなければね),政治家がそれぢゃ頭が痛くなる。

 ハトヤマ法務大臣が「友達がアルカイダ」と発言,バカをさらして話題になったのがよっぽど悔しかったのか,こんどは民主党のヤマオカが「こちらはアイヌの血を引く蛮族で」と言いやがった。しかもその後の言い訳を読むと,この男,この発言のどこが問題なのかまったく分かってないようである。どこの選挙区から出た議員か知らぬがこんなやつを国対委員長にしとくとは民主党もよっぽどヒトがいないんだな。

 ヤマオカは発言の真意について「大島委員長の地元は青森、私は栃木県真岡市で、北の方だ。大衆、生活者という総称において、私らは生活者中心の(大衆的な)土壌から出ているんだ、という意味で申し上げた。そういう立場を擁護しようという意味だ」とほざいた。いやだから,だったらそう言えばいいんだってば。わざわざアイヌという言葉を使うこたぁないし,蛮族という言葉がどっから出てくるんだよ。

 このヤマオカの「真意」から「アイヌの血を引く蛮族」という表現が出来する過程はおそらくこうである。いや,間違ってたら言ってくださいね,ヤマオカ委員長。

(1)我々の出身地である「北の方」はその昔,蝦夷の土地であった
(2)蝦夷は(その字面自体がそうであるように)中央政府にまつろわぬ民を「野蛮」と断じた言葉である
(3)蝦夷と言っても現在自らそう名乗る人々は残っておらず,まぁ学問的に正しいかどうか知らぬがアイヌがその末裔と言えるだろ
(4)「蝦夷の血を引く」を「アイヌの血を引く」と言い替えた方がわかりやすいかも
(5)蝦夷から連想される「蛮族」って言葉は,自分に使えば「謙遜」でもある

 まず基本を押さえさせていただくと,自らを「蛮族」と称するのが「謙遜」だというのは,征服されまつろった者の論理でありつまり征服者への迎合,へつらいである。征服者に抵抗していた蝦夷やアイヌは自分を「蛮族」だなんて思ってなかったはずであり,現在だってそうだ。自分を野蛮人だと言うのは勝手だが,よその者までいっしょくたにするな。

 つぎに言い訳のほうも変……と言うよりトッテツケタ感ありありである。そんなことを言ったら西や南の方には生活者,大衆はいないみたいぢゃないか。ヤマト朝廷に征服された時期は早いがイズモだってクマソだって先住民であり「蛮族」だってば。ヤマオカはアイヌについて「(民主党にアイヌ出身の議員がいることを)誇りに思っている」と発言しているが,頭のどっかに「アイヌ=蛮族」という意識があるからこういう「冗談」が出るんだよな。

「民族の誇り」と「蛮族を自称すること」の矛盾に気づかないのはアホの証明みたいなもんだと,同じ栃木県出身のワタシは思いますよ,センセイ。……まさかホントにバカをさらして話題になれば「おいしい」と思ったわけぢゃ,ないよね?




 


最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
アンクル・トムが忌避されるわけ (たまどん)
2007-11-02 12:40:15
 アフロ・アメリカンの人たちの中では、アンクル・トムと言えば「奴隷根性」を意味し、蔑称として使われます。その言葉に込められた差別に対する意識たるや、長野県だかの変な家族が問題視した「ちびくろサンボ」どころではありません。
 日本は国としてアイヌの人々を「先住民族」と認めていません。だから不用意な単一民族発言が政治家の口から出てくる。そのあたりから考え直さなければいけないのに、政治家の発言は「単一民族発言」を単に裏返した意識しかないわけです。みっともない。
返信する